紹介
知の巨人ポール・ド・マンを脱構築する!
旧大陸ヨーロッパにおいて政治的に挫折した自身の過去
を清算し、新大陸アメリカにて新たな自分自身を再創造
しようとしたド・マン。
盗む者がいれば、盗み返す者も枚挙にいとまがなかった時代。
まさにそうしたメカニズムが世界を稼働させ、
パラノイドと反知性主義が蔓延する時代に、
ド・マンはどのようなアメリカの夢を見たのか、
そしていかにして独自の脱構築戦略を練り上げたのか?
「ウォーターゲート事件」から「ソーカル事件」へおよぶ射程で、
ド・マンを中心にアウエルバッハ、パリッシュからニクソン、
ポー、ホフスタッター、アーレント、メアリ・マッカーシー、
バーバラ・ジョンソン、オスカー・ワイルド、
マージョリー・ガーバー、そして水村美苗におよぶ
テクストが縦横無尽に読み解かれる。
アメリカ文学思想史最大の謎にアメリカ研究の第一人者が挑み、
学者批評家ポール・ド・マン自身を「脱構築」する、
エキサイティングな論考!
※ 著者、三年振りの単著! 特に第三部は、書き下ろし 130 枚!
『メタフィクションの謀略』(筑摩書房、 1993 年)、
『メタファーはなぜ殺される』(松柏社、 2000 年)に続く
批評理論研究の新たなる展開!
目次
【主な目次】
第一部 盗まれた廃墟 ――アウエルバッハ、ド・マン、
パリッシュ――
第一章 戦場のディコンストラクショニスト――暗号学と文献学
第二章 修辞学の復権――または荒野に棲む魑魅魍魎
第三章 ミメーシスの逆説――または「文学Z」の野望
第二部 水門直下の脱構築――ポー、ド・マン、ホフスタッター――
第一章 陰謀理論から反知性主義へ
第二章 ラカン、デリダ、ド・マン――「盗まれた手紙」論争再考
第三章 盗まれたテープ、盗まれたミサイル
第四章 真実の夢盗人
第三部 鬱蒼たる学府――アーレント、ド・マン、マッカーシー――
第一章 イスラム国時代のアイヒマン
第二章 ある亡命ジャーナリストの肖像
第三章 リヴァーサイド恋物語
第四章 アメリカ大学小説の起源――『鬱蒼たる学府』を読む
第五章 イカルスの帰還
第四部 注釈としての三章――ワイルド、水村、ジョンソン――
第一章 箴言というジャンル――ソーカル事件の余白に
1 あるダンディの秘訣
2 不愉快な嘘か、難解な真実か
3 ファッショナブルの文学
第二章 アレゴリーはなぜ甦る――水村美苗のポール・ド・マン
第三章 人造美女の墓碑銘――バーバラ・ジョンソンの遺言――
1 アメリカ的批評のスタイル
2 墓碑銘文学の伝統
3 モーセの娘たち
ポール・ド・マンのアメリカ文学史年表
索引