紹介
いま、多くの十代の子どもたちが、きわめてあいまいで安易な診断(誤診)により、精神医療につなげられ、重篤な薬害が出ている。
「思春期に発症しやすい心の病気を早期に発見・支援し、予防する」という、一見良い目的のためであるかに見える取組みにより、学校現場と精神医療がむすびついている。しかし<精神科の早期介入>には、劇薬である精神薬を、まだ病気を発症していない若者に、予防と称して大量の薬物を投与し続けることの倫理的問題が横たわっている。
たとえば、境界性人格障害との誤診が出て、劇薬を飲まされ続けたことにより被害を受けた若者の家族のことば――
「本当に地獄のような毎日でした。私の育て方が悪かったのかと悩んだりもしました。先生は、あまり薬を使いたくないけどと言いながら、結局どんどん強い薬、たくさんの薬を使うようになっていって、私は何かおかしい、何かおかしいと。でも目の前の出来事に振り回されるだけで、薬のことなどしっかり調べることもできませんでした」
どんな時代にもいた「ちょっと変わった不思議な子ども」。誰もがこころの状態が不安定になる思春期。そのとき彼らは、薬によって、大人にとって都合のいい、手間のかからない「良い子」に改変される。
目次
第一章 こんなことが実際に起きている
不登校から精神科へ―智美さんのケース
診断の曖昧さ
不登校と精神医療
国によって若者への精神科早期介入が進められようとしている
第二章 知っていますか? 精神医療の実態
精神科を受診するとこんな治療を受けることになる
精神科医の「実力」
精神医療の特殊性
第三章 子どもと精神医療の危ない関係
子どもへの向精神薬投与の実態
発達障害という概念
広汎性発達障害を統合失調症と誤診された渡辺孝一君のケース
医原病・薬原病
第四章 精神科早期介入という暴挙
そもそも早期介入って何?
日本の早期介入はたいへんなことになっている
学校を舞台に行われた早期介入実験