紹介
家族離散の可能性、永遠の生き別れに遭遇する
不安と苦痛は計り知れない!
かつてアメリカの奴隷制下で家族を失ったことは、
アフリカ系アメリカ人たちに重くのしかかった。
それは想像できるものではなかった。
汚れなき者への冒瀆であった。
子供たちが徐々に学んだように、奴隷であるがゆえに人は、
売られるがままとなるしかなく、親や兄弟姉妹や夫や妻や家族を
失わないようにするための権限をもつこともなく無力であった。
人びとは喪失という経験を忘れず、その苦しみをもたらした特定の
個人の権力と奴隷制度の威力を忘れなかった。
家族が離散させられる可能性、さらにはその現実が、
奴隷制下にある黒人たちの生涯に幽霊のようにつきまとった。
奴隷制が廃止された後も、その苦しみの記憶は消えなかった。
本書は、家族から強制的に引き離された「奴隷」たちが
「人」としていかに悲しみ悩み、
それでも生きてお互いを求め続けたか、
「人の絆」を活き活きと描き、歴史のなかに生きた人びとの
生の言葉を通して現代に問いかける名著である!
目次
【収録内容】
はじめに
第一部 離 散
第一章 「丈夫な少年を売ります」──
奴隷とされた子供たちの別れと喪失
第二章 「神によって結ばれた二人を何者も別れさせてはならない」
──夫と妻の別れ
第三章 「子供たちに再会しますように」
──家族の別れと白人たち
第二部 捜 索
第四章 古い綿布に包まれた青いガラス玉
──奴隷制下での家族捜し
第五章 「情報を求む」──奴隷制廃止後の家族捜し
第三部 再 会
第六章 語れぬほどの深い幸福感──家族の再会
エピローグ
「私の家族(マイ・ピープル)捜しを助けてください」
──家族離散の系譜
訳者あとがき
参考文献
註
索引