紹介
名前は知っているけれど、いったいぜんたい、日本人には、どんな国なのか
よく分からない国・イラン。
2年間の滞在を通して、おもしろくも厄介で、
そして愛すべきイラン人との生活で知ったイラン人の生態。
素朴だけれどもアクの強い、テヘランの下町の人々は、
こんなにもおせっかいで、あいさつを重んじて、多様性のない食生活……。
50の短文から構成されている本書で「イラン人の不思議」が分かる!
実際に何かをしてほしいというときには、イラン人ほど頼もしい存在はないが、
一方でとくに何もしてほしくないときには、彼らほどうっとうしいものはない。
「自分はあなたのことを気遣っていますよ」というサインをいつも出し続けていないと
気が済まないイラン人は、たいした用事もないのに、家族や親友のあいだで
一日中電話をかけまくっている。僕自身もイラン人の友人たちから毎日のように
かかってくる電話にはほとほと悩まされたものである。
しかし、「うるさいなあ」と思って無視したりすると、次に会ったときにしっかり
覚えていて、「もう俺とは絶交か?」などと詰問される羽目になる。
「便りの無いのが良い便り」などという発想は、イラン人にはまず通用しない。
(本文「おせっかいなイラン人」より)
目次
はじめに
一、テヘラン下町、その日その日
◆モストウフィー横丁のこと
◆最初の喧嘩
◆アクバルの店
◆ルーティー
◆お昼はみんなで
◆レザーのこと
◆Mの思い出
◆肉屋のマフムードじいさん
◆クルドの兄弟
◆ジャマールの背中
◆極悪管理人シーラージー
◆怪盗モハンマディ
◆ホセインのこと
二、イラン人、このフシギな人々
◆地下鉄とイラン人(一)
◆地下鉄とイラン人 (二)
◆火事と喧嘩が江戸の華なら…
◆あいさつ
◆タアーロフ
◆イスラムは寛容か
◆おせっかいな人々
◆配慮の国から
◆イラン人の仕事(一)
◆イラン人の仕事 (二)
◆イラン人の美意識
三、イチジクの木の下で
◆バッガーリ
◆ふたつのスープ
◆イランに四季はあるか
◆夏の風物詩
◆多様性のない食事
◆テヘランの街並み
◆雨
◆Y先生の思い出
◆イランで酒を飲む
◆デレステル
◆アーシューラー
◆アリーさんの禿げ頭
四、革命をこえて
◆イラン人の容貌
◆西洋と東洋のはざまで
◆チン、チョン、チャン
◆イランで日本人であること
◆ぼったくりタクシー
◆いざ裁判所へ
◆スタンダードの不在
◆国民統合を阻むもの
◆僕と妻のチャドル論争
◆ヘジャーブ、そして革命の本質
◆革命の理想
あとがき