紹介
作家というものは社会的観点から見て何のために存在するのか・・・
現在のような危機の時代にあっては、作家はもっと積極的に明確な形の
社会的反応を示すべきだと予想されるが、あらかじめできあがっている
要求を携えている社会情況から目を離して、作家自身に目を向ければ、
作家がなすべきことをもっと多く知ることができるのではないか―
―もし〈文学〉が人間性の研究であるべきものならば、キリスト教的文学は
ありえないことになる。罪深い人間について罪のない文学を試みることは、
言葉の矛盾である。何か極めて偉大で高邁なものを、過去のいかなる〈文学〉
よりも高邁なものを集めることはできるかも知れない。
だが、そうし終わったときには、それが〈文学〉でも何でもないことが分かるだろう。
(グレアム・グリーン文学事典、彩流社、2004年より)
目次
序 文
Ⅰ V・S・プリチェットからエリザベス・ボウエンへの書簡
Ⅱ V・S・プリチェットからエリザベス・ボウエンへの書簡
Ⅲ エリザベス・ボウエンからV・S・プリチェットへの書簡
Ⅳ グレアム・グリーンからエリザベス・ボウエンへの書簡
Ⅴ V・S・プリチェットからグレアム・グリーンへの書簡
Ⅵ グレアム・グリーンからV・S・プリチェットへの書簡
Ⅶ エリザベス・ボウエンからグレアム・グリーンへの書簡
訳者あとがき──解題にかえて