紹介
混迷を深めつつある現在、20世紀の様々な国際社会システム理論──リベラリズム、リアリズム、国際政治経済論、従属論と世界システム論、コンストラクティビズム──を超えて、新たな理論構築を目指した国際関係論の入門書!
本書は、現職の大学教師として学生たちとの議論も踏まえ、学生たちへのメッセージというスタンスで執筆されたものであり、テキストとしての活用ができるよう豊富な資料の使用はもとより、国際関係を考えるための基礎的知識にもれのないように配慮して書かれたものである。
現代の学生・社会人が最も緊急に必要と考えられる課題を、国際関係、国家機構、国際協力の視点で選択、各問題について、何が本質的な原因で起こっているかを分析して論じ、それに対応する理論(経済学、政治学、国際間論)を単に批判したり反対するだけではなく、実行可能な具体的な代案を示すことに努めた政策論でもある。
目次
目 次
はしがき
第1章 国際関係の理論
リベラリズム リアリズム
国際政治経済論
従属理論と世界システム論
コンストラクティビズム
オルタナティブ国際関係理論
第2章 安全保障
バランス・オブ・パワー
個別的安全保障から集団的安全保障へ:国際連盟の成立と崩壊
国連による集団的安全保障体制
国連改革
軍事同盟の矛盾
抑止理論のジレンマと失敗
戦争責任
第3章 軍備管理・軍縮・不拡散の諸課題
核保有国の核兵器配備状況
軍事費と軍産複合体
軍備管理・軍縮・不拡散の取組み
日本の非核三原則
北朝鮮の核開発問題
イランの核開発問題
第4章 地域紛争
第1節 大国の思惑や介入による紛争
パレスチナ紛争
湾岸戦争
「9.11」とアフガニスタン戦争
イラク戦争
第2節 人為的にナショナリズムを煽った紛争
ナショナリズムとは
ソ連の崩壊と民族紛争
ユーゴスラビア紛争
中国における地域紛争
第3節 植民地主義の負の遺産によるアフリカの紛争
ルワンダ内戦
ダルフール紛争
第5章 人権・人道の諸問題
国際人権法
国際人道法
難民と人道問題
第6章 国際通貨金融
「ケインズの双子」
構造調整プログラム
IMF改革
第7章 世界金融経済危機
サブプライムローン問題
信用不安に伴う金融機関破綻の波とその対応策
1990年代後半の日本の経験
金融機関の国有化の意味するもの
米国発世界金融・経済危機の意味するもの
規制緩和の意味するもの
第8章 開発援助
開発援助の必要性
世界銀行と貧困対策
グッド・ガバナンス
世界銀行改革
第9章 貧困国の重債務問題
貧困国における対外債務の累積化
債務削減の動き
債務ブーメラン
債務取消を求める運動
第10章 社会開発
人間開発指数
雇用
保健
教育
第11章国際貿易の現代的課題
自由貿易と保護主義
ITOの挫折からGATTへ
WTOによる支配
FTA、EPA、TPPの矛盾
途上国とUNCTAD
第12章 地域経済統合
地域経済統合の分類及び役割
拡がる自由貿易協定
欧州の地域統合
北米の地域統合
南米の地域統合
アジアの地域統合
第13章地球環境問題
近年の環境の変化
国際機関の取り組み
国際協調メカニズム:京都議定書
持続不可能な成長
第14章 グローバリゼーション
グローバリゼーションをめぐる議論
多国籍企業の支配
オルター・グローバリゼーション
反グローバリゼーション
NGOの課題
あとがき