紹介
さみしさは心の弱さではない。生き延びるための本能-。人類は、なぜ「さみしい」という感情を持つのか?あなたの知らないあなたの心を脳科学が解き明かす!「ひとりでいるのがつらい」「誰といても満たされない」集団をつくり、社会生活を営むわたしたち人類のなかで、さみしい・孤独だと一度たりとも感じたことがない人は、おそらくいないのではないでしょうか。集団をつくる生物は、孤立すればより危険が増すため、さみしさを感じる機能をデフォルトで備えているはずだからです。さみしさは人類が生き延びるための本能であり、心の弱さではありません。それなのになぜ、私たちは、「さみしいのは、よくないことだ」「ひとりぼっちは、みじめだ」などと考えてしまうのでしょうか。そこには、さみしさという感情を捉える際に起こりがちな、さまざまな思い込みや刷り込み、偏見が隠れています。本書では、脳科学的、生物学的な視点から、なぜ、さみしいという感情が生じるのかという問いに焦点をあてていきます。また、なぜ、さみしいという感情をネガティブなものと捉えてしまうのか、その科学的要因、社会的要因からも考察していきます。すべての感情には、意味があるはずです。であれば、さみしいという感情が生じたときにも、無理に抑え付けたり、なかったことにしたりするのではなく、「そこにはどんな意味があるのか」を考え、理解していくほうが、この感情をスムーズに扱えるのではないでしょうか。さみしさの扱い方に慣れ、その生じる仕組みを理解することで、さみしさを必要以上におそれることなく、振り回されることもなく、上手に付き合いながら、長い人生をより豊かに、穏やかな気持ちで過ごしていくことができるようになるはずです。
目次
○第1章 なぜ、人はさみしくなるのか
…さみしさは「人間が生き延びるため」の仕組み
…さみしさの本質を知る意味 など
○第2章 わたしたちがさみしさを不快に感じる理由
…「さみしいのは、よくないことだ」という思い込みが苦しみを強める
…なぜ「ソロ活」は流行し、「ぼっち」は忌み嫌われるのか など
○第3章 脳や心の発達とさみしさの関係
…わたしたちの脳や心は石器時代から変わっていない
…思春期に孤独感が強くなる理由 など
○第4章 さみしさがもたらす危険性
…心の弱みに付け込む悪意ある人たち
…「激しい怒り」に内在する強いさみしさ など
○第5章 さみしさとうまく付き合っていくために
…趣味でつながる新しい共同体の在り方
…さみしいときに持つべき思考の〝置き換え″ など