目次
第1章 早期教育より家庭教育
幼児には遊びと生活の豊かさを(汐見稔幸)
子どもの”自立する力”を邪魔しないで(見尾三保子)
脳の発達への誤解と早期教育(小西行郎)
子どもを育てる汚れる遊び、危ない遊び(内田幸一)
第2章 テレビ・ゲームより共感力を育てる家庭教育
人間関係が上手な子どもを育てるために(佐々木正美)
テレビのない生活は楽しい!(吉良創)
第3章 親子の絆が強くなる家庭教育
親の性格と家庭の事情に添った子育てが一番いい(毛利子来)
おうかがい症候群にかかっていませんか?(青山繁)
専業主婦、共働き夫婦の子育て(高木紀子)
第4章 元気な体を育てる家庭教育
免疫力を高めて子どもの心と体を守る(西原克成)
子どもの歯と矯正(岩附勝)
子どもを危険な食品から守るために(安部司)
第5章 性と生命の大切さを伝える家庭教育
どうしてますか? 子どもの性(いのち)の教育(北沢杏子)
「性」を大切にした出産と生に寄り添って(矢島床子)
前書きなど
毎日のように子どもたちが事件、事故で亡くなっていくニュースが報道されています。顔の見えない”犯罪者”によってだけでなく、友達や近所の人、ときには親によって危められる場合もあれば、自ら命を絶つ子どもたちもいます。
また、最近の子どもたちについて「自分勝手で我慢ができない」「対人関係が苦手で、誰かと一緒にいるよりも一人でいる方が楽に感じる傾向がある」「感情のコントロールが苦手で、すぐに他人のせいにする」「何をしたいかわからないためか、自分が楽しいことしかしない」「体力が低下していて、すぐに病気になりやすい」「集中力、根気がない」「生命の大切さについての意識が希薄」などといったことがしばしば指摘されます。
こうしたことの原因は一つだけではありません。しかし、日々、実際に起こっている子どもたちの危機的な状況を変えなければ、子どもたちを守ることはできません。子どもたちの身体も心も健やかに成長できる環境を作ることは、少なくとも過程の責任だと思います。
そのために私たちは、家庭という身近なところから子どもとの関係をもう一度考え直していくことが大切だと考え、本書を編みました。
テレビやゲームに育児をまかせるのではなく、親子で話したり、笑ったり泣いたりすること、幼いうちから早期教育に走り、塾やお教室に通うのではなく、できるだけ近くの公園や広場で友達と遊んだり、ケンカをしたりする経験からの学びを大切にすること。いいかげんな性の情報に迷わされずに、しっかりと自分と他人を捉え、生命の大切さを見つめる心を育てること…こうしたことを家庭の中から始めてみたら、きっと子どもたちも変わり、すくすくと伸びられるに違いありません。