紹介
本書は、家族だけで、お金をかけず、本当に心のこもった法事法要を行ないたいと願っている方の本です。
お坊さんを呼んで、お経をあげてもらったり、お寺へ行って、お墓参りをしたり……。
亡くなった方をしのぶには、いろいろな方法があります。けれども、たいていは時間もお金もかかります。家族以外の人もいて、なんとなく慌ただしく、亡くなった方をしのぶ余裕すらなかったということも……。
そんなことでは、なぜあらたまって法事法要を行なう必要があるのか、わからなくなってしまいます。
亡くなった方を思い出すために、ちょっとあらまった会を行なう──。
それは、家庭のなかで死について語るチャンスでもあります。
人間はみな、いつか必ず死んでしまう。そのはかない命を、いまともに生きている。
亡くなった方をしのぶ法事法要は、家族でそのことを確かめあう貴重な場でもあるのです。
本書は
・法事法要がすぐできる台本つき。
・経典ルビ(お経)・現代語訳つき。
・祭壇の作り方。
・セレモニー料理レシピ。などを掲載。
この一冊があれば、誰にでもすぐに法事法要を行なうことができます。
本書が掲載したお経は、仏陀が語ったことが最も確実な初期仏教の経典。
わかりやすい現代語訳を併記しました。
私たち日本人に大きな影響を与えてきた仏教を橋爪大三郎が解説。
法事法要を行ないつつ、仏教の神髄に触れることができます。
目次
はじめに
いちからわかる法事・法要
思い出すということ/死ぬということ/セレモニーの、よい点/なぜ仏式なのか/「仏教系無宗派」のすすめ/お釈迦さまも死んだ
まえもって、やっておくこといろいろ
テーブルの飾りつけ── お香/キャンドル
みんなでいただく食事── 彩りが鮮やかな野菜カレー/簡単で豪華にみえる洋風混ぜ寿司/ヘルシーでさっぱりトルティーヤ/カラフルおでん
法事・法要Q&A
法事・法要実践マニュアル
10分コース/15分コース/30分コース/45分コース/60分コース
法事・法要 式次第
前書きなど
はじめに
この本には、家庭で行なう「法事・法要」のやり方が、書いてあります。
「法事・法要」といっても、かた苦しく考えないでください。家族や親しい人びとが集まって、亡くなったあの人をしのぶ。子どもの「誕生日」を祝うように、大事な人をそのゆかりの日に思い出す「メモリアル」があっていい、と思います。いわば、「手づくりのご法事」です。
ふつうの「法事」は、三回忌、七回忌などのとき、親戚がおおぜい集まります。お寺でお坊さんがお経を読み、お墓に参り、そのあと一緒に食事をして、おしまいです。
こういう集まりもよいのですが、かた苦しくて気づかれするし、子どもは退屈します。お金だってかかります。手軽に、そう何回も開くわけには行きません。
この本が提案するのは、もっと手軽に、家庭でできる集まりです。
家族の手でやるので、お坊さんは呼びません。
心がこもっていれば、それでいいのです。
けれども、セレモニー(儀式)である以上、形式も大切です。そこで、どんなふうな式次第で行なったらいいか、台本をつくって、くわしく書いてみました。
ですから、この本が一冊あれば、「やさしかったおばあちゃんの思い出に、お父さん、お母さん、子どもたちがそろってダイニング・テーブルを囲み、ちょっと改まった思い出の会をする」なんていうことが、簡単にできるのです。……