前書きなど
あなたは、「わたしは誰からも愛されていない」「誰からも必要とされていない」と感じたことはないだろうか?
嫌われる、うとまれる、バカにされる、無視される、価値を認めてもらえない。そんなことが長く続けば、誰だって人の顔色をうかがって、びくびくするようになる。自分の意見や気持ちを素直にあらわすことができなくなってしまう。生きていることがつらくなってしまう。
みんなに嫌われているのは悲しい。でもいちばん大きな問題は、長いことそういう状態におかれていると、あなた自身の心に「歪み」が生じてくることだ。
自己嫌悪や劣等感は、夜、ひとりになったとき、あなたを襲う。むかしのいやなことを思い出し、自分が「生きる価値のない人間」のように思えて、ベッドのなかでひとりうめいてしまう。あなたは、何度も何度も、つらい記憶を掘り起こし、ダメな自分を再現し、あなたを傷つけてきた言葉を呪文のように反復する。
失敗したことを思い出し、ほんとうはもっと上手にできたはずなのにと思う。なぜ、あんなことを言ってしまったんだろう。なぜ、あんなことしをしてしまったんだろう。わたしはほんとうにダメな人間だ。もっと別な人生があったはずなのに、どうしてこうなってしまったんだろう。なにがいけなかったのか。どうしたらいいのか。
あなたは苛立ち、まわりの人に腹を立て、社会から孤立して、ときには世界そのものを嫌悪する。世界中があなたの敵のように思える。あなたは、怒りながら、同時に孤独に苦しんでいる。それはとても辛く苦しいことだ。
でも、待ってほしい。あなたはいったい誰にむかって怒っているのだろう。あなたが世界を嫌悪するとき、その嫌悪はたいていの場合、あなた自身にむけられている。なにかに腹を立てているはずなのに、あなたは自分に腹を立てている。誰かを憎んでいるはずなのに、あなたは自分を憎んでいる。世界への嫌悪が頂点に達すると、あなたは世界ではなく、自分自身を破壊してしまう。