目次
プロローグ
第一部 トーキーの夜明け
第一章 ミドルブラウのアダプテーション空間
――『スタンブール特急』と『オリエント急行殺人事件』
1 一九三〇年代初頭のミドルブラウ文化
2 嫌々ながらのミドルブラウ作家
3 アダプテーションとアプロプリエーション
4 グリーンの動くホテル
5 鉄道、映画、モダニティ
6 ロシアより愛をこめて
7 列車の停止
第二章 風刺としての資本主義批判
――『ここは戦場だ』と『自由を我等に』
1 モダニズムの余白に
2 日常生活と出来事の弁証法
3 モダニズムにおける映画的技法
4 ヒッチコックの影、あるいは視覚的な無意識について
5 二つの初期トーキー映画
6 コメディの巨匠たち
7 機械の時代の風刺劇
第二部 ジャンルの法則
第三章 メロドラマ的想像力とは何か
――『拳銃売ります』と『三十九夜』
1 「エンターテインメント」とは何か
2 イギリス時代のヒッチコック
3 サスペンス、あるいはメロドラマの表層的位相
4 メロドラマ的想像力
5 スクリューボール・コメディの影
6 二つのスクリューボール・コメディ
7 平等性のコメディ
8 ジャンルの法則、あるいは初夜について
9 メロドラマの深層
第四章 聖と俗の弁証法
――『ブライトン・ロック』と『望郷』
1 カトリック小説とは何か
2 宗教と道徳の弁証法
3 世俗の逆襲
4 生と死の哲学
5 サスペンスとしての恩寵
6 三つの映画
7 フランスの詩的なリアリズム
第三部 映画の彼方へ
第五章 プロパガンダへの抵抗
――『恐怖省』と『マン・ハント』
1 グリーンの「神経戦」
2 ラングとグリーン、あるいは二つの『恐怖省』
3 反ナチス映画
4 「敵」の表象
5 だまし絵のヴィジョン
第六章 男たちの絆
――『第三の男』と『ヴァージニアン』
1 偽装するモダニズム
2 二つの『第三の男』
3 ダブルの増殖
4 ホモソーシャルとは何か
5 フロイトのパラノイア理論
6 西部劇への偏愛
7 西部劇としての『第三の男』
8 ジャンルの法則、あるいは救済の原理について
9 暴力の原風景
エピローグ
あとがき
グレアム・グリーン年譜
初出一覧
参考文献
索引