紹介
ハプスブルク、再興の夢
ヒトラーとスターリンのはざまを生きたヴィルへルム・フォン・ハプスブルクの数奇な運命と、
20世紀ヨーロッパ史の深暗部を鮮やかに描ききる不世出の歴史家、ティモシー・スナイダーの傑作。
華麗と虚飾に満ちた19世紀末――。ハプスブルク家の末裔としてこの世に生を享けたヴィルヘルム・フォン・ハプスブルクは、第一次世界大戦期にハプスブルク帝国陸軍将校を務め、君主国の版図のなかで、ウクライナ・ハプスブルクの創設を夢見た。策略が失敗に終わり、パリに遁走した1920年代には、高貴な生まれの鼻つまみ皇族としての淫蕩な日々を過ごし、30年代にはヒトラーに傾倒して、ファシストになったかと思えば、一転して、ナチス・ドイツとソ連に対してスパイ活動を働き、戦後、キエフの牢獄で悲惨な死を遂げた。
ヒトラーとスターリンのはざまで、ウクライナ王になることを夢見、ハプスブルク帝国の再興を夢見た、「赤い大公」ヴィルヘルム・フォン・ハプスブルクの政治的な夢と挫折とが綯い交ぜになった53年の生涯を通して、19世紀末から20世紀にかけての東欧、広くはロシアからイベリア半島やバルカン半島にまで至るヨーロッパ全体の歴史の深暗部を鮮やかに描ききる、不世出の歴史家、ティモシー・スナイダーの傑作。
目次
プロローグ
GOLD
皇帝の夢
BLUE
海辺の幼少年時代
GREEN
オリエンタル・ヨーロッパ
RED
戦う大公
GREY
影を支配する王たち
WHITE
帝国主義の手先
LILAC
ゲイ・パリ
BROWN
貴族的ファシズム
BLACK
ヒトラーとスターリンに抗して
ORANGE
ヨーロッパの革命
エピローグ
訳者あとがき
家系図
人物略伝
ハプスブルク家略年表
用語と言語についての註記
参考文献
原註
索引