紹介
▼はたして、倫理的な戦争などというものが、あるのだろうか。あるいは、「善」なる目的を掲げ、戦争によって「正義」を実現することは可能だろうか。国家主権の境界線を越えて、人権の問題、道徳の問題、倫理の問題を問うことは可能であろうか。▼イギリスのブレア首相は大きな国際的秩序の構想を掲げて米欧の間をつなごうと試みたが、イラク戦争をめぐって自らの構想と戦略において大きく躓き、自らの政治的名声を損ねることになった。▼ブレアが苦悩し、真剣に直視したこれらの難しい問題こそ、21世紀の国際政治を考える上で中心的な課題であり、本書では、ブレアが外交を指導したこの十年間を振り返って、その意味を再検討する。▼多くの公開資料をふまえた外交史家の広い視野からの考察と、いきいきとした筆致が最後まで一気に読ませる、渾身の大著。本書は、日本図書館協会選定図書です。
目次
はじめに序章 新しい世界の新しい戦略第Ⅰ部 戦略の革新へ第一章 ブレア労働党政権の外交理念 一 新しい政治指導者の誕生 二 ロビン・クック外相と「倫理的対外政策」 三 「ブレア・ドクトリン」 ——「国際コミュニティ」のドクトリン第二章 新しい安全保障戦略——冷戦後の防衛政策とSDR 一 冷戦後世界における防衛政策の転換 二 ブレア労働党政権とSDR 三 「防衛外交」任務の導入——外交と軍事の総合 四 「危機管理」任務のための防衛力整備第三章 欧州防衛統合へのリーダーシップ 一 欧州政策の革新へ——一九九七年 二 ブレア・イニシアティブと欧州防衛統合 三 コソボ戦争と欧州防衛統合の進展 四 「アイデンティティ」から「防衛能力」へ第Ⅱ部 ブレアの戦争第四章 倫理的な戦争——イラク空爆とコソボ戦争 一 イラク空爆と英米関係 二 コソボ戦争への道 三 「正しい戦争」という理念第五章 九・一一テロからアフガニスタン戦争へ 一 ブッシュ新政権と英米関係 二 九・一一テロと「新しい悪」 三 アフガニスタン戦争をめぐる摩擦第六章 「特別の関係」の代償 一 米欧対立の構図 二 対米協力という孤独第七章 イラク戦争という挫折 一 イラク危機の暗雲 二 深刻化する米欧対立 三 軍事攻撃への決断第八章 ブレアの凋落 一 偽りの勝利 二 戦後復興の挫折終章 戦争の教訓と未来への展望あとがき主要参考文献一覧索引