目次
プロローグ
序 章 現代のアウグスティヌス
第1節 心理的時間の研究は不良設定問題
不良設定問題としての心理的時間/不良設定問題を良設定もんだいにするには
第2節 心理的時間の複雑性と多様性
心理的時間の基礎/心理的時間の多様性/心理的時間の複雑性
第3節 心理的時間の研究法
時間知覚と時間評価の研究法/研究方法の違いが結果に対して持つ意味
第4節 本書の構成
第Ⅰ部 心理的時間の複雑性/第Ⅱ部 心理的時間の多様性
参考図書(解説付)
第Ⅰ部 心理的時間の複雑性
第1章 時間知覚
第1節 時間の感覚的処理と認知的処理
感覚的処理モデル/認知処理モデル/2つの統合モデル/時間情報/心理的時間の構成過程
第2節 時間弁別とウェーバー比
過去に行われた時間弁別の実験/弁別能の測定法/音の持続時間の弁別機構のモデル/その他の時間知覚モデル
第3節 時間近くのモデルの応用――人の情報処理過程を調べる――
トーマスとウィーバーのモデル/注意のメカニズムを調べる/注意の測度
第4節 音声の識別における時間の文脈性
日本語の音声における時間の役割/実験の方法/単語音声におけるモーラ音素の同定実験/ドーラ音素の同定に対する文脈の影響
第2章 時間評価
第1節 思い出す時間と予期する時間
時間評価における2つのパラダイム――思い出す時間と予期する時間/2つのパラダイムの時間評価をどのように説明するか/予期的時間評価と追走的時間評価を比べると/2つのパラダイムを非常に長い時間の評価に適用する/2つのパラダイムで何が異なるか
第2節 運動パターンの時間評価
時間評価を基礎づける心的機制/知覚される変化の大きさと時間評価/運動パターンを用いる際の問題/速度の時間評価に及ぼす効果/実験結果を説明する2つの仮説/知覚される変化の大きさの仮説の検証/速度の効果と注意の関係
第3節 子どもの時間と大人の時間と
幼児でも時間評価を学習するか/幼児・自動に楽しく時間評価を学習させる方法/子どもはどのように正確な時間評価を学習するか/子どもは高頻度の刺激のある時間を長く感じる/幼児は自動よりさらに刺激頻度の効果が強いか
第4節 時間評価のモデル
どのようなとき,時間は長くあるいは短く感じられるか/時間評価に関するさまざまのモデル/4要因乗法のモデルの提案
参考図書(解説付)
第3章 テンポとリズム
第1節 生体リズムとその意義
動きのリズム発生機構とそのゆらぎ/呼吸循環機能の自動リズム形成機構とそのゆらぎ/運動のリズムと生理的リズムとの同期化
第2節 精神テンポの発現機構
精神テンポの基本的特徴/従来の研究の問題点と新しい視点/精神テンポ決定・維持のメカニズム/精神テンポの生理的メカニズム
第3節 音楽における好みのテンポ
音楽にとってテンポは大切か?/どのようなテンポが好まれるのか/何がテンポの好みに影響しているのか
参考図書(解説付)
第4章 タイミングと間
第1節 動作の時間的側面を規定する心理的時間
タッピング動作と時間知覚/ウイングとクリストファーソン(1973b)のモデル/ウイングとクリストファーソン(1973b)のモデルの一般化/動機課題への一般化モデルの適用
第2節 ドラマーのばちさばき
単純反応タッピング/リズム・タッピング/ポリリズムとは?/学習ストラテジーのモデル/学習ストラテジーを同定するためには/5:3ポリリズムを産出できたのは/どちらの学習ストラテジーが採用されたのだろうか?/両手協応のタイミング・メカニズムは?
第3節 ダイナミック・パターン形成のタイミング
タイミング課題の選択/タイミング・コントロールと運動制御の階層性/フィーフォバック制御過程のパターン形成/適応制御過程のパターン形成/反応測度間の相補性と秩序パラメータ
第4節 音系列の音高情報符号化におけるタッピングリハーサル方略
記憶におけるリハーサル方略/非言語情報(音高情報)に対する記憶方略/指の運動(タッピング)方略
第5節 音楽・スピーチにおける”間”
”間”の感性/音楽における”間”/スピーチにおける”間”/”間”の科学/”間”と呼吸/”間”における「いきの合う」現象/”間”と精神テンポ
参考図書(解説付)
第Ⅱ部 心理的時間の多様性
第5章 モニター中の時分割
第1節 座禅時の時間体験
禅の時間論/時間体験にとっての座禅の特徴/座禅時の時間体験についての実験/実験的課題と展望
第2節 コンピュータ作業中の時間評価
どのようにして調べるか/コンピュータ作業の特性とは/コンピュータ作業中の時間評価の測定方法/コンピュータ作業中の作業はどうなったか/時間評価と時間感覚はどうなったか/作業意欲と作業への姿勢はどうなったか/時間評価が短縮されるわけ/時間評価の歪み(短縮)は無自覚のうちに起こる
第3節 自動車運転中の時間評価
自動車運転における心理的時間/ギャップ・アクセプタンス/右折行動所要時間の評価/右折行動の困難さと所要時間評価の関係/所要時間評価を短くする要因/予測的・展望的評価の基礎となる認知過程
第4節 計算課題中の歩行時間の評価
作業中の時間評価/歩行速度と時間評価/計算課題中の歩行時間の評価/時間評価の手がかり
第5節 教師発言の時間分析――ベテラン教師と教育実習生の比較――
授業分析/教師発言の時間的要因の分析/小学4年生の国語と算数の授業への適用
参考図書(解説付)
第6章 時間概念の発達
第1節 観葉的時間外年の発達――日曜日の次は月曜日?――
慣用的時間概念の発達/慣用的時間を操作する2つの能力/操作能力の発達/研究のめざすもの/実験の進め方/処理能力の発達/系列特性の理解と発達/正答率および内省報告
第2節 時間は空間よりも理解が難しいか
どのようにして比較するか/ピアジェ流のパラダイム/時間と空間に関して等価な課題の作り方/時間と空間に関して対称な13課題対/課題が対称ならば課題が対称ならば反応も対称か/小学生で距離判断課題が易しいわけ/小学5年生でもなぜ難しい?
第3節 距離と速さで決まる時間
関係概念としての時間の研究の問題点/時間,距離,速さの関係概念を調べる方法/時間と距離と速さの関係は,どのように理解が進むか/発達の相
第7章 時間的展望
第1節 時間的展望とは何か――概念と測定――
時間的展望の定義/時間的展望の理論/時間的展望の機能的要素/時間的展望の機能/時間的展望研究の心理学的意義/時間的展望のレベル/時間的展望の測定/時間的展望の下位概念/時間的信念と統制の所在
第2節 未来時間の分節
未来時間の分節/未来を表す言葉にみられる時間分節/未来に予想されるイベントと時間分節/未来のイベントの特性と時間分節
第3節 時間次元における自己像と自我同一性
過去・現在・未来の自己と自己概念/過去・現在・未来の自己の出現/過去・現在・未来の統合と自我同一性の達成/時間次元における自己像の関連性と自我同一性レベル/時間次元における自己像間の不一致と時間的態度
第4節 青少年の時間的展望
時間的展望の発達/学校生活が青少年の時間的展望に与える影響/社会の状況と青少年の時間的展望の関連/青少年の未来の希望はどこからやってくるのか
第5節 慢性疾患者にみる「時間」と「未来」イメージ
調査対象/調査の方法/時間のイメージ研究/時間概念のイメージ/将来概念のイメージ研究/DMD患者の時間評価能力
参考図書(解説付)
第8章 現代社会における時間と焦燥
第1節 生活時間と時間の価値
生活時間とは/生活時間のデータの意味/生活時間の調査データ/労働時間と獲得財の国際比較
第2節 時間に対する態度と性格
時間意識・時間観・時間的態度/時間的態度の研究状況/時間的態度に関する調査/回答者属性分類比較/特定項目について肯定的評定者と否定的評定者の比較/時間観(時間イメージ)について
第3節 時間への不安
時間不安の現代的意味/時間不安とパーソナリティ/時間不安の測定尺度/時間不安と時間評価/時間不安と心拍リズム/時間不安と集団指向性
第4節 タイプA性格から捉えた時間的切迫感と心身の健康
時間切迫を生み出すもの/タイプAと時間切迫/タイプAと健康/タイプAの矯正/タイプAの形成/現代社会に望むこと
参考図書(解説付)
終 章 これからのアウグスティヌス
第1節 諸科学における時間研究
物理学における時間/生物学における時間
第2節 心理的時間研究の総括と展望
心理的時間の形成を探る/心理的時間を形成するモデルの検証/心理的時間研究の諸相
参考図書(解説付)
事項索引
人名索引
執筆者紹介
エピローグ