目次
はじめに
解説 私たちが行った施設訪問アドボカシーとは?
第1部 アドボカシー一問一答
1 アドボカシーとは何ですか?
2 アドボカシーには、どのようなものがありますか?
3 アドボカシーで大切なことは何ですか?
4 アドボカシーはひとりでもできますか?
5 アドボカシーセンターとは何ですか?
6 アドボカシー活動に制度は必要ですか?
7 行政機関にできるアドボカシー活動はありますか?
8 当事者運動とアドボカシーはどのような関係ですか?
9 同じ経験をもつ当事者としてアドボケイトになれますか?
10 どのような人がアドボケイトになるのですか?
11 アドボケイトへのサポートはありますか?
12 施設訪問アドボカシーがなぜ必要なのですか?
13 施設訪問アドボカシーはどのような施設で取り組まれるのですか?
14 施設と職員にとって施設訪問アドボカシーは役に立ちますか?
15 コーディネーターの役割は何ですか?
16 アドボケイトとして気をつけることはありますか?
17 アドボケイトの役割を子どもにどのように説明しますか?
18 アドボケイトは施設におけるさまざまな支援活動にかかわりますか?
19 アドボケイトは子どもの思いを聴くために何をしますか?
20 アドボケイトはどのようにして意見形成を支援しますか?
21 アドボケイトはどのようにして意見表明を支援しますか?
22 子どもの声を職員に届けることのできた事例を教えてください
23 施設訪問アドボカシーの失敗事例を教えてください
24 アドボケイトにはどのようなジレンマがありますか?
第2部 施設訪問アドボカシー活動マニュアル
はじめに――施設訪問アドボカシーとは何か?
基礎編
実践編
・児童養護施設編
・障害児施設編
・障害者施設編
第3部 活動ツール
Ⅰ アドボケイトの養成・契約書・スーパービジョン
資料1 施設訪問アドボケイト養成講座
資料2 施設訪問アドボカシー利用契約書
資料3 施設訪問アドボケイト・TODOリスト(児童養護施設)
Ⅱ 利用者向け アドボケイト説明資料
資料4 アドボケイト説明資料 4コママンガ「アドボさん」(障害者施設)
資料5 ポスター「アドボケイトって何?」(児童養護施設)
資料6 入所者を対象とした説明会で使用した資料(障害者施設)
資料7 アドボケイトメンバー紹介(障害児施設)
資料8 寸劇「アドボケイトってどんな人?」のシナリオ(児童養護施設)
資料9 子ども委員委嘱状(障害児施設)
Ⅲ 施設職員向け アドボカシー活動契約・説明・研修
資料10 施設職員対象説明会資料
資料11 施設職員を対象とする研修の配付資料(障害児施設)
Ⅳ 話を聴くためのツール
資料12 アドボケイト利用同意書
資料13 「いろいろおしえて」パワーポイント
資料14 子どもアドボケイト説明アニメ
前書きなど
本書の目的
あなたが施設で生活をしていて、施設のルールや食事などに不満をもっていたとしましょう。忙しそうにしていたり、お世話になっている職員にそのことを伝えるのはむずかしいかもしれません。職員や他の利用者からの暴力について、「言うと余計にひどい虐待を受けるから我慢しよう」と思う人もいるかもしれません。
そんなときに、施設の外から利用者の思いを聴き、代弁していく取り組みが「施設訪問アドボカシー」です。
本書は、イギリスで行われている施設訪問アドボカシーを参考に、児童養護施設・障害児施設・障害者施設で実際に施設訪問アドボカシーを実践したノウハウやツールを提供し、読者の方々が活動を始めやすくすることを目的としています。
本来、アドボカシーはすべての場で必要とされています。アドボカシーの共通基盤を土台に、高齢者施設、病院、学校など、他の分野でのアドボカシーに取り組もうと考えておられる方々にも活用していただくことを願っています。
アドボカシーの制度化の機運と試行実践の経緯
アドボカシーは、いま、制度化が急がれています。社会福祉基礎構造改革によって、措置から契約へと制度が転換するなかで、弱い立場に置かれた高齢者や障害者のアドボカシーは必要不可欠なものになりました。昨今では、相次ぐ虐待死の悲惨な事件を受けて、子どもアドボカシーの重要性が高まっています。児童福祉法改正により、2022年度に子どもの権利擁護制度を創設することとなり、国・自治体で検討が進んでいます。また、市民の活動も発展しています。児童福祉領域において、アドボカシーの構築は喫緊の課題です。
このような状況のなかで、児童養護施設と障害児施設においては2017年9月~2019年8月の23カ月にわたって、障害者施設においては2018年4月~2019年8月の16カ月にわたって、科研費による施設訪問アドボカシーの試行実践とアクションリサーチを行いました。研究期間終了後も、アドボケイトのみなさまの熱意により、訪問アドボカシーは継続されています。この経験から明らかになったノウハウを社会に発信し、これからアドボカシーに取り組む方々に資することが本書を刊行した動機です。