目次
第一部 いま、何が起きているのか—グローバリズムとナショナリズムの間で
ナショナリズムの復活?
あるいはグローバリズムとナショナリズムの共犯? 李省展
国家とナショナリズム—憲法改正案に見る人権 高橋哲哉
ODA「日本の心」は
「国際貢献の現場」で「排除の心」に変わってしまうかも 村井吉敬
全世界にばら撒かれる奈落の連鎖 姜尚中
「がんばれ」って私に言う、あなた自身はどこにいるんだ? 辛淑玉
第二部 聞きたい! —フロアから
知恵を使って、どんなことがあっても被害者を助ける 辛淑玉
靖国と憲法改正案をつなぐ回路 高橋哲哉
ナショナリズムの魔力 村井吉敬
かくて「テロとの戦い」はペスト撲滅と同義となりき 姜尚中
第三部 もう一度、語る
グローバル化を逆手に—国境を越えた「ただの人たち」がつながる 村井吉敬
ナショナリズムの克服—内戦の痛みを知る 姜尚中
国家に寄りかからずに生きる。つながる。 高橋哲哉
第四部 グローバリズムとナショナリズム、私の見方
グローバリズムとはアメリカ式「収奪ルール」を世界標準とすることだ 辛淑玉
もはやご臨終?とは言い難いナショナリズム
グローバリゼーションとの併走 村井吉敬
離米に向かう世界の反グローバリズム運動と
東アジアのナショナリズムを考える 高橋哲哉
グローバル・スタンダード押し付けの構造 李省展
深い「怨」を抱えた韓国ナショナリズムを溶解するために 内海愛子
恵泉女学園大学大学院 国際シンポジウムに寄せて 恵泉女学園大学学長・大口邦雄
(付)日本国憲法、自民党新憲法草案 おもな条文対比表
(付)南北問題を見る早わかりデータ
(付)日本のおもなできごと・流行−戦後から現在まで−
前書きなど
従来、グローバリゼーションが進むと国家や国境はゆらいでいくと想定されてきたが、今の日本を見れば、ナショナリズムはむしろ強まっている。この数年のうちに、教科書を書き変えること、靖国に参拝すること、憲法を書き直すことが「私」の回復になると信じ、強い国家に「私」を重ねる人々が一気に増えた。不安を抱える「私」のアイデンティティ探しによって生まれた「ぷちナショナリズム」現象から、恐るべき排外ナショナリズム運動のスパイラルに、この国は入ろうとしている。その中で、国家に頼らない生き方をどう発見するか。これからの未来に、それ以前より少しはマシな世界を手に入れることが出来るのか。姜尚中・高橋哲哉・辛淑玉・村井吉教ら気鋭の言論人による白熱の激論。