目次
日本語版への序文
謝辞
第1章 宗教改革の遺産
大いなる希望の国に住む風変わりな人たち
騒然とした時代
ルターとプロテスタント宗教改革
チューリヒの急進派
再洗礼派の誕生
厳しい迫害
再洗礼派の合意文書
北方で起きた諸問題
ドルトレヒトでの決断
生存戦略
第2章 アーミッシュの誕生(一六九三~一七一二年)
逆説の時代
大胆な改革者
社会的忌避は適用すべきか
分裂のとき
広がる分裂
異なる環境、異なる立場
赦しを願うアーミッシュ、それを拒むメノナイト
分かれ道
第3章 移民による存続――ヨーロッパのアーミッシュ(一六九三~一八〇一年)
安定を求めて
圧迫と歓迎
北上してオランダへ
北米と東欧へ
持続する集団意識
第4章 新世界における定住と苦闘――一八世紀ペンシルヴァニアのアーミッシュ
大地に根を下ろす
新しい土地の新しい教会
適応と分離
フロンティアの戦火
信仰復興(リバイバリズム)の影響
トーリー、反徒、そして平和主義者
戦争による疲弊
不安定な立場
第5章 試練のとき――ヨーロッパのアーミッシュ(一七九〇~一八六〇年)
寛容と市民的義務
ナポレオンとの交渉
農業面での評価
教会を去るかヨーロッパ大陸を去るか
アーミッシュ移民の新しい波
第6章 北米での繁栄と約束(一八〇〇~一八六五年)
新しいフロンティア
ヨーロッパからの新たな移民
たえず移動する人たち
教会内の緊張関係と争い
文化的衝突
革新と積極的活動
民主党、ホイッグ党、共和党とアーミッシュ
野蛮な戦争
「その罰を免れるべき人はいるでしょうか」
第7章 分裂の時代(一八五〇~一八七八年)
対立の背景
たちこめる論争の暗雲
教役者会議
一八六五年の決裂
その後の教役者会議
アーミッシュ・メノナイトの分裂
ジョセフ・スタッキー
アーミッシュ・メノナイトの将来
第8章 諸派の伝統の融合――北米とヨーロッパのアーミッシュ・メノナイトとメノナイト(一八七〇~一九三七年)
連携のための努力/伝統維持の動き
アーミッシュ・メノナイトの制度づくり
共通の信念
アーミッシュ・メノナイトと「オールド・メノナイト」の合同
アーミッシュ・メノナイトの別の道
独立系のアーミッシュ・メノナイトから「保守メノナイト教会協議会」へ
スタッキー・アーミッシュから中央部メノナイト教会協議会へ
エグリ・アーミッシュから福音主義教会フェローシップへ
ヨーロッパのアーミッシュの黄昏
ヨーロッパ最後のアーミッシュ
第9章 伝統の保持――オールド・オーダー・アーミッシュ(一八六五~一九〇〇年)
オールド・オーダーの選択
伝統と革新
境界線に関する論争
恐慌対策
第10章 現代アメリカで見つけた居場所(一九〇〇~一九四五年)
進歩に夢中
技術、オルドヌング、アイデンティティ
戦争熱
親ドイツ?
学校をめぐる対立
ペンシルヴァニア州での法廷闘争
ビーチー・アーミッシュ=メノナイト
大恐慌の時代
戦時中の世界
第11章 対立、妥協、再生(一九四五~一九七五年)
代替役務をめぐるトラブル
良心の危機
こじれる学校問題
連邦最高裁判所の判決
福祉国家との折り合い
二〇世紀なかばの再生――伝道への関心、保守派の声、「ニュー・オーダー」の誕生
第12章 現代世界のただなかで
一致と多様性
職業の多様性と社会的変化
注目のまと
現代世界のただなかでの成長
日本語版への補遺――連続性と変化(二〇一五~二〇二五年)
人口増と経済的発展
南米の実験
教会と国家の問題
隣人たちとの交流
訳者あとがき
注
参考文献・資料
索引
前書きなど
日本語版への序文
アメリカの小都市を訪れる人は、郊外のショッピングモールの駐車場に停めてある自動車の列のなかに古風な馬車がまじっているのをみつけて驚くことがある。近づいてよく観察すると、その馬車に乗っているのは前世紀の遺物のような質素な服を着た人たちで、男性は長い髭を生やし、女性はボンネットと長いドレスを身につけていることがわかる。
この人たちは現代人に古い慣習を伝える役を演じる映画俳優かなにかだろうか。それとも時代にとり残された農民たちだろうか。あるいは近代社会に適応できずに消滅しつつある遅れた集団の最後の構成員なのか?
馬車を降りてくる人たちは、それらのいずれでもない。彼らは「アーミッシュ」と呼ばれるキリスト教のマイノリティである。彼らは北米の社会のなかで独自の生活スタイルを維持しようとする集団に属しており、それは成長を遂げているがゆえに、ますます注目を浴びるようになっている。近代化に背を向けた人たちは絶滅に向かうはずだと思われるかもしれない。しかしアーミッシュは西洋世界において繁栄を謳歌している。
(…中略…)
本書はアーミッシュ教会の起源と進化の過程を詳しく描いたものであり、一九世紀なかばの運動としての伝統主義的なオールド・オーダー・アーミッシュ[保守的な旧派アーミッシュ]の出現についても当然のことながら掘りさげて論じている。著者の願いは、さまざまな文化的背景をもつ読者たちにとって、アーミッシュの物語が自分たち自身の信念や美徳についてあらためて考える機会になることである。
(…後略…)