目次
日本語版刊行に向けて
序文
まえがき
謝辞
第1章 家族間暴力――加害男性に対する介入方法とその理論的背景
第2章 加害行為を行ってしまった父親による養育
第3章 暴力に晒された子どものニーズ、ならびにF4Cプログラムの研究成果
第4章 F4Cプログラムによる介入の理論的根拠
第5章 治療適応の評価法、ならびに治療計画の立案方法
第6章 フェーズ1:治療契約を結び、治療動機を高める段階
第7章 フェーズ2:内省機能を向上し、各種スキルを構築する段階
第8章 フェーズ3:共同養育者同士のコミュニケーションを促進する段階
第9章 フェーズ4:父子間の育児関係を修復する段階
第10章 F4Cプログラムの終結、ならびにその他の考慮事項
第11章 エピローグ
補足資料A
F4Cプログラムで使用する書式・ワークシート・配付資料
補足資料B
推奨する書籍と情報リソース
参考文献
訳者あとがき
索引
前書きなど
序文
(…前略…)
本書には印象的な3つの特徴があり、それらが見事な表現力で描かれている。1つ目は、特に父親を対象とし、父親が子どもの人生に及ぼしている重要かつ独特な役割を考慮した介入法を伝えている点である。2つ目は、加害者であれ被害者であれ、家庭内の暴力の当事者に対しての医療者の関わり方を確実に変化させていく必要性を説いている点である。そのためにストーバー博士は「治療者/支援者というのは、親密パートナーやその子どもに対して暴力を振るう人の動機・感情・信念に対して判断を下すのではなく、理解をしようと努力するべきである」ということを何度も強調しているのである。3つ目は、親密パートナーに暴力を振るってしまう人が経験してきたことを理解するために、愛着・メンタライゼーション・生育歴という観点を組み込む必要性が強調されている点である。ストーバー博士は、幼小児期の逆境的体験の影響というのは成人期にまで及んでおり子育てにも影響を及ぼしていること、ならびに成人して以降のパートナーとの親密で思いやりにあふれた関係性を維持出来るか否かという問題にも影響を及ぼしているという、果てしなく長きにわたる軌跡について深く理解している。この「父親が幼小期に体験した逆境的体験というのは、成人期以降においても対人間暴力を行使してしまう根っことなっている可能性ある」という背景への十分な理解は、Fathers for Change(F4C)プログラムの核となる大前提ということが出来る。
(…後略…)