目次
訳者序言
序文
謝辞
はじめに
モジュール1 修復的実践のロジック(論理的構造)
ジレンマ
よくある誤解
修復的実践はどこから来たのか?
修復的実践についての原則と研究
修復的実践のロジックモデル
修復的実践を毎日のかかわりに織り込む
あなたの歴史はどのようなものでしょうか?
修復的文化
私はどれくらい修復的か?
自己評価:私はどれくらい修復的か?
ジレンマ:第2幕
手続き
事例
推奨と意味
振り返り
モジュール2 尊重の基盤
ジレンマ
よくある誤解
自己評価
教師の信頼性
生徒の主体性を育てる
意図的に生徒の主体性を育てる
個人的振り返り
所属と主体性の文化を毎日のかかわりに織り込む
ジレンマ:第2幕
事例
推奨と意味
振り返り
モジュール3 期待を設定し、能動的参加のための教育を行う
ジレンマ
よくある誤解
修復的文化の学習への招待
修復的文化における高い期待とは
自己評価:あなたは高い期待を持つ教師ですか?
修復的文化における能動的参加
学習についての認知的課題を克服する
修復的文化におけるクラスの合意
ジレンマ:第2幕
事例
推奨と意味
振り返り
モジュール4 感情の言葉を用いた修復的会話
ジレンマ
よくある誤解
自己評価
認知的リフレーミングと修復的会話
感情の言葉と修復的会話
感情の言葉を学校の日常に織り込む
感情の言葉は大人にも効果がある
あなたの努力をだいなしにする:クリップチャートと公的な屈辱のテクニック
ジレンマ:第2幕
事例
推奨と意味
振り返り
モジュール5 促進的会話を使った修復的会話
ジレンマ
よくある誤解
自己評価
促進的会話の原則と研究
促進的会話の目的と目標
促進的会話の準備
促進的会話を台本にする
飛んだ時・潜った時(うまくいった時、ダメだった時)
バンキングタイム
2×10テクニック
促進的会話を毎日のかかわりに織り込む
対立を横取りする
ジレンマ:第2幕
事例
推奨と意味
振り返り
モジュール6 修復的サークル
ジレンマ
よくある誤解
自己評価
修復的サークルの原則
各サークルの要素
サークルミーティングの段階
あなたのサークルプラン
修復的サークルのタイプ
修復的サークルを学校生活に編み込む
修復的サークルでの行動を管理する
ジレンマ:第2幕
事例
推奨と意味
振り返り
モジュール7 正式な修復的会議と被害者・加害者対話
ジレンマ
よくある誤解
自己評価
正式な修復的会議と被害者・加害者対話についての原則と研究
学校を基盤とした正式な修復的会議
学校を基盤とする正式な会議:学校でのアルコール摂取
振り返りの比較対照
年少の児童の場合はどうすればよいでしょうか?
争いに踏み込む:両者に過失がある場合
決定と結果
サークル・センテンシングという司法モデル
リエントリープラン
リエントリーに保護者を含む
ジレンマ:第2幕
事例
推奨と意味
振り返り
成功するイメージは湧くでしょうか?
ウリエルの物語
修復的実践を行う時間をどこで見つけられるでしょうか?
学校が修復的になるまでにどのくらい時間がかかるのでしょうか?
修復的実践を知らない人にどのようなアドバイスがあるでしょうか?
もしあなたが、修復的実践は効果がないと思う場合どうしますか?
あなたの物語
引用・参考文献
訳者あとがき
前書きなど
訳者序言
(…前略…)
修復的実践は、歴史や研究、その実践を紐解くと、とても壮大です。そして、何かが起きた時に、その対応としてみんなで話し合うと聞くと、とても難しいことのように感じる方もいるかもしれません。しかし本書は、そういう難しい話はさておいて(これが本書の最もよいところです!)、日々の会話とかかわりをいかに対話的なものにしていけるか、そしてそれを土台にして、何か「こと」が起きた時にどうやって関係者同士で会話していくかをわかりやすく説明してくれています。修復的実践が何かわからずこの本を手に取った方でも、最後には「難しいことはわからないけど、なんだか日々の実践に取り入れたい!」と思わせてくれることを保証します。
本書の原題はThe Restorative Practices Playbook: Tools for Transforming Discipline in Schools(直訳すると、『修復的実践のプレイブック――学校の規律を変容するツール』)です。「プレイブック」とは、誰が・いつ・何をするのかをルール化・戦略化した作戦ノートのことであり(https://helpdog.ai/media/playbook/)、経験から学んだ具体的なノウハウや知識を蓄積したものを指します。スポーツであれば、相手チームに勝つためにどのようなフォーメーションで挑むかといったセオリーが、ビジネスであれば目標を達成するための戦略や業務手順などが内容として含まれます。マニュアルは、誰でも同じ成果をあげられることを目的としたものであるのに対し、プレイブックは、その手法を十分に理解している人が他の人を導きながら作戦を成功させるためのものです(https://helpdog.ai/media/playbook/)。つまりプレイブックは、ポンと誰かに渡して「これやっておいてね」「できるよね」というものではなく、周囲の人と一緒に読み、先人の実践からコツを学び、ともに実践するための道しるべです。
修復的実践は、問題(とされている人)を診断して「○○という特性を持つ人にどう対応するか」とか「○○をどう治療するか」という視点によるかかわり方のノウハウではないことは申し添えておきます。問題や原因などを、勝手なメガネを通して見て「判断し解決を急ぐ」前に、何が起きたか、それぞれが起きたことにどのような気持ちを持っていて、どうなることを望んでいるのか、気持ちを「聞き・伝え合う」という「人と人のかかわり」の原点を示すものです。
本書は学校での修復的実践に関する本ですが、「学校」「生徒と先生」を読者の置かれた環境に置き換えて読んでいただければ、人にかかわり、人を育てるすべての職業の人にとても役に立つ本です。日々の実践や、組織風土を変えたいと思っているすべての方にお手に取っていただけると嬉しいです。
(…後略…)