目次
「移民・ディアスポラ研究」12の刊行にあたって[駒井洋]
はじめに[田巻松雄]
第1部 高校・大学入試における特別定員枠の意義と課題
第1章 「外国人の子どもが社会で自立していくため」の高校での「適切な教育」の在り方[小島祥美]
第2章 大阪における特別定員枠について[榎井縁]
第3章 神奈川の特別枠「在県外国人等特別募集」――継続調査を踏まえた行政とNPOの協働による拡充のプロセス[吉田美穂]
第4章 私立大学における「外国にルーツを持つ生徒対象入試」――東洋大学社会学部国際社会学科の事例から[村上一基]
第5章 宇都宮大学国際学部の実践――国立大初めての外国人生徒入試[田巻松雄]
第2部 学校――公立夜間中学、高等学校定時制・通信制課程
第6章 外国人生徒が学ぶ学校――公立夜間中学と定時制高校を中心に[田巻松雄]
第7章 東京における定時制高校――多文化共生とインクルーシブな学校へ[角田仁]
第8章 北関東(栃木・茨城・群馬県)における定時制課程[田巻松雄・井田綾]
第9章 通信制課程――もう一つの可能性[小綿剛]
第10章 日系ブラジル人大学進学者の就学歴とキャリア形成についてのケーススタディ――全日制、通信制、私立大学、チャーチスクール[鄭安君]
第3部 学校以外の多様な学びの場
第11章 外国人学習者の学びの場としての自主夜間中学[田巻松雄]
第12章 「多文化共生センター東京」の活動[枦木典子]
第13章 移民子弟の多様な学びの場――言語教育と制度的生活文化としてのAMAUTA[小波津ホセ]
第14章 在日コリアンから外国につながるこどもの人権保障&共に学ぶ場――だれもが夢を持ち、いきいきと生きていくために[原千代子・鈴木健]
第15章 西和自主夜間中学の取り組みから[山本直子]
第16章 NPO法人たかとりコミュニティセンターの取り組みから[吉富志津代]
第17章 学び続けるための支援――あーすぷらざ外国人教育相談の取り組み[加藤佳代]
コラム1 教育組織における真の教育の理念の重要性[駒井洋]
コラム2 高校進学を振り返る[石雯漢]
コラム3 AMAUTAの元学習者――二郎[小波津ホセ]
コラム4 たぶんかフリースクールの卒業生として[徐緒隆]
コラム5 イラン大使館内の高校から日本の大学へ[ルヒナ・マヘルプーナ]
コラム6 学習支援の経験を生かして公務員になった[白聖瞾/佐々木聖瞾]
書評[駒井洋]
おわりに[吉富志津代]
前書きなど
「移民・ディアスポラ研究」12の刊行にあたって
(…前略…)
シリーズ第12号のタイトルは、「多様な学びの場をつくる――外国につながる学習者たちの教育から考える」とすることにした。外国人移民の流入や定住化の進展とともに、かれらの学びの場をどのように設置し確保するかは、ますます緊急の課題となりつつある。本書を刊行する目的は、外国人学習者の多様なニーズに寄り添う学びの場をどのように構築したらよいかについて、問題提起をおこなうことにある。本書は「はじめに」と「おわりに」のほか3部から構成されている。「高校・大学入試における特別定員枠の意義と課題」と題される第1部は、外国人生徒への学習権保障という点で大きな意味をもっている特別定員枠に焦点をあてている。「学校―公立夜間中学、高等学校定時制・通信制課程」と題される第2部は、学びの場として重要な役割を担っている公立夜間中学や定時制高校とともに、学習者の数こそ少ないもののその役割が期待される通信制高校をとりあげる。「学校以外の多様な学びの場」と題される第3部は、学校以外の多様な学びの場を紹介する。
本書が日本に滞在する外国につながる人びとの学びの場の確保と改善につながることを切望する。