目次
日本語版序文
監訳者はしがき
はじめに
頭字語・略語一覧
要旨
第1章 教育における多様性、公正、包摂の概要
はじめに
第1節 学校教育における多様性、公正、包摂を形成する文脈の進展
第2節 公正と包摂の領域における進展
第3節 教育における多様性、公正、包摂の概念化
第4節 多様性
第5節 多様性、公正、包摂のための全体的枠組み
付録1.A 方法論と定義
第2章 公正と包摂を推進する教育システムのガバナンスと設計
はじめに
第1節 公正と包摂のための教育目標とカリキュラム
第2節 公正と包摂のための規制枠組み
第3節 教育における公正と包摂に関する国の枠組み
第4節 教育における多様性のインターセクショナリティ
第5節 教育における公正と包摂の責任と運営
第6節 教育の提供は、公正と包摂の目標をサポートするように設計することが可能
第7節 政策立案への示唆
第3章 公正と包摂を推進するための教育システムの資源提供
はじめに
第1節 主要な配分メカニズム:通常の資金配分がどのように公正と包摂の目標を考慮できるのか
第2節 対象を絞った資源の分配:児童生徒を支援するための対象を絞ったプログラムと資源
第3節 政策立案への示唆
付録3.A 資金配分方式と資金モデルの評価において考慮される生徒
第4章 公正と包摂を推進するための能力形成
はじめに
第1節 多様性の高まりに応え、公正で包摂的な学習環境を創り出すための教員養成と支援
第2節 公正と包摂を推進するための学校管理職の能力形成
第3節 多様な背景のある教師の採用と定着
第4節 児童生徒間の良好な関係を促進する
第5節 ステークホルダー間で教育における多様性への認識を高める
第6節 政策立案への示唆
第5章 学校レベルでの介入を通した公正と包摂の推進
はじめに
第1節 学校内の資源と児童生徒の学習ニーズの調和
第2節 学校風土
第3節 多様な児童生徒を支援するための学習方略
第4節 公正で包摂的な評価実践を保証する
第5節 学習指導以外の支援とサービス
第6節 親・保護者やコミュニティとの関わり
第7節 政策立案への示唆
第6章 公正と包摂のモニタリングと評価
はじめに
第1節 教育における公正と包摂の推進の進捗状況をモニタリングする
第2節 教育における公正と包摂を推進するために、政策、プログラム、プロセスを評価する
第3節 評価プロセスを通して公正と包摂の実践を推進する際に学校を支援する
第4節 政策立案への示唆
第7章 教育における公正と包摂に向けた重要なステップ
ステップ1 公正と包摂に関する政策枠組みを開発し、教育政策のあらゆる領域に組み込む
ステップ2 教育システムが児童生徒のニーズに柔軟に対応することを保証する
ステップ3 教育システムの主要な資源配分メカニズムと対象を絞った資金配分の双方の原則として公正と包摂を含める
ステップ4 学校や教室における政策枠組みの実施に関係するすべてのステークホルダーを関与させ、連携を強化する
ステップ5 公正と包摂の領域において教師と学校管理職を養成し、育成する
ステップ6 児童生徒のニーズを特定し、かれらを支援し、その進捗をモニタリングする
監訳者解説 「公正と包摂をめざす教育」を考える論点――異文化間教育と教師教育から
前書きなど
はじめに
政府および教育政策立案者は、人口動態の変動、移民や難民の危機、不平等の拡大、気候変動のような大きな世界的潮流によって、教育における公正と包摂にますます関心を抱いている。これらの潮流の展開を通して多様性が高まっていることから、教育における公正と包摂に多様性が与える影響を調査することが必要になる。
過去4年間にわたり、OECDの「多様性の持つ強み」プロジェクトは、各国が多様な児童生徒のニーズを特定し、支援し、そしてより公正で包摂的な教育システムを推進することに役立つ豊富なエビデンス・ベースを発展させてきた。
OECDは「多様性の持つ強み」プロジェクトとともに、各国がより公正で包摂的な教育システムのための政策を展開し、実施することを支援する用意ができている。これは多様な児童生徒に恩恵をもたらすだけでなく、ますます多様で複雑化する社会において他者と建設的に関わるすべての個人を支援することにもなる。
本報告書はプロジェクト第2期(2019-22年)における分析、各国調査、ピアラーニングの作業を通して明らかになった「多様性の持つ強み」プロジェクトの主な調査結果をまとめている。教育における多様性、公正、包摂を調査研究するための全体的な枠組みを示し、5つの主要な政策分野(ガバナンス、資源提供、能力形成、学校レベルの介入、モニタリングと評価)を検討し、優れた政策と実践例を提示し、そしてより公正で包摂的な教育システムを推進するための政策助言を提案している。
(…後略…)