目次
プロローグ
本書のセールスポイント
第1章 私が出会った人々の例
街を歩けば♪
貧困巡礼の旅人・カマやん
Yさんのジレンマ
Hさんは職人ピラミッドの頂点まで行った
ギャンブル依存症地獄を抜けたTさん
天はなぜにGさんにかくも重き荷物を…
最後は丸~くなった男
H・Mさん。釜ヶ崎に最も似合わない人?
N・Sさん。糸の切れた凧は今いずこ?
N・Sさん。愛犬チャロがくれた奇跡
Tさん。釜ヶ崎の映画人
財布を拾った生活困窮爺さんのお話
カマやんに最も似ていた男、カワやん
T・Yさん。「職住食」一体型就労の終着点に釜ヶ崎が
生き延びて生き延びて、再びつながる
第2章 釜ヶ崎原論
建設末端労働者をめぐるミステリー(1)
西成から「ケア・支援補助金制度」を提案します
企業も就労支援を待っている
「中間就労」で目からウロコ
夏の夜に見た、ほんとうの話
「立ち話力」を考える
夕暮れ時の釜ヶ崎慕情
生き方のヘタな人々 それ以前の人々
舞台は生活困窮者自立支援法の体系へ
社会的弱者が圧倒する街の、超少数派の悲哀
女性の貧困化と男の街・釜ヶ崎
西成ジャズがストリートに流れ出る街
住宅扶助切り下げの深刻な影響
日本労働遺産か、記憶遺産にしたい(バーチャルで)
ホームレス問題と格闘して得られたもの=「住む」ことの意味
建設末端労働者をめぐるミステリー(2)
建設末端労働者をめぐるミステリー(3)
生活困窮者自立支援も独自の型で
説明すればするほど理解困難?
もう一つの「日本列島総釜ヶ崎化」を
“汽水域”交差点でワシは考えた(1)
“汽水域”交差点でワシは考えた(2)
貧困の中にも見える、社会の質
手荷物一時預かり所に見える社会の変貌
異なる生活様式への洞察力を養う場
サービスハブって何?(1)
サービスハブって何?(2)
究極の断捨離のまちVS釜ヶ崎型ゴミ屋敷問題
たかがトイレ、されどトイレ
見てきた「フォーマルとインフォーマルの関係」
現場に足を運んでこそわかる誤解の例
よくわからない人々
キャッシュレス先進地域?
転居とはパンドラの箱を開けること?
コロナ禍の今こそ生活保護で、野宿脱出・居宅確保を
この20年の経験やしくみを駆使して対コロナ総力戦だ
ああ、定額給付金10万円岳への道
定額給付金10万円岳への道(その後)
サービスハブ論とコモンズ
「通りすがり型居場所」づくりを考えてみた
まちのやさしさは細部に宿る
簡易宿所、この超柔軟な変容
流入する若者層とSNSによる攪乱
アユの里帰り、または釜ヶ崎型関係人口
「多文化共生」への手探り
第3章 まちづくりの源流から関わった者の実録
【資料1】あいりん地域関連年表
【資料2】あいりん地域まちづくり会議全体構成と全委員名簿
【資料3】第二期西成特区構想へのまちづくりビジョンの有識者提言
【資料4】あいりん総合センター建て替え広報チラシ
【資料5】あいりん総合センター跡地等利用イメージ
【資料6】新・労働施設基本設計イメージ
西成特区構想への向き合い方を考える(1)
西成特区構想への向き合い方を考える(2)
釜ヶ崎とメディア論(1)~記者向けの研修制度を創設~
地域トータルケア構想の提案
磨くべきは提案力・企画力~屋台村構想の具体化にあたって~
空き地でコミュニティ菜園づくりだ
こうしてボトムアップ型になった~西成特区構想有識者座談会体験記~
釜ヶ崎とメディア論(2)~マスコミとの向き合い方を変えてみた・その後~
まちづくりって何? 福祉・医療とは無関係?
古地図のロマンはジイサンを元気にする
まちづくり合同会社をつくりました
釜ヶ崎から見える戦争傾斜政治
ゴミ回収仕事から見える貧困層の暮らし
「つながり」は距離感がだいじ~徳島・海陽町を訪ねて~
福祉の発想とまちづくりの発想の違い
【資料7】毎日新聞記事2014年10月22日夕刊
釜ヶ崎の天王山~人は決定的場面で検証される~
修羅場で学ぶ学生たち
愚直に、ひたすら愚直に、話し合い
【資料8】朝日新聞記事2015年1月27日朝刊
【資料9】あいりん地域まちづくり検討会議のまとめ(市長への提言)
200回、積み重ねて
訪日客泊めて、下流老人脱出?
紛争国の研修生たちが見た、釜ヶ崎のまちづくり
釜ヶ崎丸ごと爆買い? 地元の対抗策は?
覚せい剤は再犯を絶つケアづくりが急務
公的団体の職員が地域人材となるには(1)
公的団体の職員が地域人材となるには(2)
それぞれのまちづくり~釜ヶ崎と横浜・寿町~
「誰がやるのか論」と「他人のふんどし論」
憲法なら12条 「不断の努力」こそ
大人を超えた? 児童たちのまちづくりプレゼン(1)
大人を超えた? 児童たちのまちづくりプレゼン(2)
中国系不動産業者らと語らった
地域と行政の関係が変わったのだ
カマやんの街に世界銀行研修団がやってきた
〈参加〉について考え込まされた日
たとえばベッド・メイキングの仕事づくり~万博開催・ホテルラッシュとの向き合い方~
まちづくり授業のススメ
西成関連はフェイク・ニュースだらけ
ジャパン・ミステリーを推察する コロナ禍篇
オンライン版「まち歩き&語り合い」の効果は?
新・大阪社会医療センターは大きな成果
続・サービスハブ論~女性の自立支援ハウス~
まちづくり議論の現在地点~地域住民と全国の見守りの皆様へ途中報告~
創造的な「ワンストップ窓口」とは?
〈まちづくり秘話〉犬が人を咬むので集まった
まちづくりの「敵」はヘタな人事異動
釜ヶ崎で民主主義を考える
全国の人々も注視する釜ヶ崎の方向性
最優秀の沖縄型を超えたいね~全国の就労支援総合拠点巡り(1)~
釜ヶ崎の良さを生かした型が見えてきた~全国の就労支援総合拠点巡り(2)~
もうやめとこ 周辺地域同士の分断・憎悪の歴史
変化の実像を追っかける~釜ヶ崎の最新人口動態分析から~
第4章 ありむら潜の創作裏側日記
ホームレス状態と人生のリセット
パーソナル・サポートセンターと我が家
「亜流」の存在意義
カマやん漫画の読み方・異聞
あるオッチャンとワンコの散歩道
そして、子供が住めなくなった街
犬と人間社会のささえあい
センターだより500号、カマやん連載40年
人の心に寄り添うということ
あいりん総合センター建て替えと漫画カマやん
漫画カマやんが遺す底辺労働者の実相
貧困者の街ほど人生ドラマがある
青年Rの苦難と「西成の力」実感論
私の祖父の話をしよう~大都市大阪の光と影~
居酒屋福祉って? その西成版
あなたも私も、依存症?
トシとると、先人たちの姿がよく見える
カマやんが「未来」を徘徊してみたらこうだった
屋久島の原生林で考えた
若返り策 まず自ら実行したゾ
エピローグ
誰だってより快適に住みたいから あたりまえ
大切なものは継承しつつ、外国人住民と新しい章へ
【資料10】釜ヶ崎のまちスタディ・ツアー
【資料11】新今宮スタディ・ツアー
あとがき
前書きなど
本書のセールスポイント
「いわゆる「西成もの」は最近やたら多いけど、この本の特長は何なの?」
この本はエッセイと4コマ漫画で構成されています。
エッセイは、釡ヶ崎で地元の人々とまちづくりをコツコツと積み上げてきたことを、私、ありむら潜が内側から克明にルポし、解説したものです。
それに対して4コマ漫画は、この街を拠点に危なっかしくもオモロイ人生を、だいたいなんとかこなしてきた元日雇い労働者カマやんの、日常生活の気分やファンタジーです。
「ちょっと読んでみたけど、見事なミスマッチよね。笑。逆に、その組み合わせがオモロイと私は思うわ」
おおきに。老いてもなおカマやんは、相変わらず自由気ままで、人生丸ごと旅人意識で、まちづくりなどというものとは多くの場合ですれ違い、ある時はおちょくり、ある時は寄り添い、でも結局は補完しあっている関係です。
私はこの街に50年近く居ますが、両方とも私が知る釜ヶ崎です。
エッセイは記録性が高いと自負しています。なぜなら、私、ありむら潜は釡ヶ崎のまち再生フォーラムというまちづくり団体の事務局長として釡ヶ崎の流れをつぶさに見てきたからです(2023年1月に交代)。というより、その源流から開拓・参画しているからです。
この本ではそのうち2012年から2023年までの、地域住民によるボトムアップ型のまちづくりの取り組み記録が日誌的に収められています。この約10年間は120年に及ぶ地域史の中でも特別な意義を持つ時間帯だったと思います。後世の研究者にも資料として役に立つことを願っています。
表紙タイトルの「めんどくさい」は褒め言葉です。「実にさまざまな角度からしっかり議論している」等の言い換えです。
「時々のマスメディアだけでなく、最近SNSでトンチンカンなフェイクニュースがひんぱんに流されてるから、そこへの対応にもなるといいわね」
おおきに。外から来て即SNSで発信する人、それを信ずる人双方に読んでほしいです。
漫画は、ありむら潜が1975年に当地に流れ着いて、ひょんなことから作品を描き始めて以降、単行本はこれで9冊目になります。よくぞ続きました。この地域の歩みと共に歩んだ作品群ですから、その中にも記録性が埋蔵されていると自分では考えています。
「エッセイ自体は2012年から2023年の期間の切り口ではあるけど、釜ヶ崎(≒あいりん地域)や新今宮駅界わいの過去・現在を正確に知るとか、「釜ヶ崎」とは何であったかとか、どうやってここまで変われたかとか、その未来は? とかを考える本になっていると思うわ。はい、みなさん、買いましょうね!」