目次
序文
第1章 ADHD評価スケールの概要
本書の目的
ADHD Rating Scale-5の背景と解説
実施方法と採点方法
第2章 因子分析
一般的な方法
標本および方法:家庭版の因子分析
○参加者
○実施方法
標本および方法:学校版の因子分析
○参加者
○実施方法
家庭版および学校版の症状スケールの検証的因子分析
○結果
○考察および結論
家庭版および学校版の機能障害スケールの検証的因子分析
○結果
○考察および結論
第3章 標準化および標準データ
標準データの作成:標本および方法
○ADHD Rating Scale-5家庭版
・参加者
・測定法
・実施方法
○ADHD Rating Scale-5学校版
・参加者
・測定法
・実施方法
標準データの作成:結果
○ADHD Rating Scale-5家庭版
○ADHD Rating Scale-5学校版
ADHDの症状評価と機能障害評価の関係
性別,年齢,人種/民族による差
○ADHD Rating Scale-5の症状評価
・親による症状評価
・教師による症状評価
・性別,年齢,人種/民族による症状評価の差のまとめ
○ADHD Rating Scale-5の機能障害評価
・性別,年齢,人種/民族,症状評価による機能障害評価への効果のまとめ
ADHDの状態に関する疫学
○全般的な発生率
○年齢および性別による発生率への影響
○人種/民族間による発生率の差
○発生率のまとめ
第4章 信頼性と妥当性
標本,方法,結果:内部一貫性
標本および方法:再テスト法による信頼性,基準関連妥当性,評定者間一致率
○参加者
・教師による評価
・親による評価
・評定者間一致率
○測定法
○実施方法
再テスト法による信頼性および評定者間一致率
○児童期フォームの評価
○青年期フォームの評価
教師によるADHDの症状評価と判定基準尺度の関係
親によるADHDの症状評価と判定基準尺度の関係
教師によるADHDの機能障害評価と判定基準尺度の関係
親によるADHDの機能障害評価と判定基準尺度の関係
標本および方法:判別的妥当性
○参加者
○実施方法
親および教師による評価の判別的妥当性
予測妥当性
○臨床現場での予測
・不注意サブスケールの予測妥当性
・多動性-衝動性サブスケールの予測妥当性
・結論
○学校現場での予測
・不注意サブスケールの予測妥当性
・多動性-衝動性サブスケールの予測妥当性
・結論
考察および結論
第5章 診断およびスクリーニングを目的としたスケールの解釈と使用
ADHDの診断
ADHDのスクリーニング
最適なカットオフスコアの選択
ADHDRatingScale-Ⅳの臨床的有用性の調査
臨床現場における予測
○臨床現場における不注意サブスケールの臨床的有用性
・単独の情報提供者に基づく予測
・複数の情報提供者に基づく予測
○臨床現場における多動性-衝動性サブスケールの臨床的有用性
・単独の情報提供者に基づく予測
・複数の情報提供者に基づく予測
○結論:臨床現場における予測
学校現場における予測
○学校現場における不注意サブスケールの臨床的有用性
・単独の情報提供者に基づく予測
・複数の情報提供者に基づく予測
学校現場における多動性-衝動性サブスケールの臨床的有用性
○単独の情報提供者に基づく予測
○複数の情報提供者に基づく予測
○結論:学校現場での予測
事例
○ダーネル
○ジェニファー
○ロバート
○マリア
第6章 治療成績の評価を目的としたスケールの解釈および使用
治療成績の臨床的有意性の評価
事例
付録 評価スケールとスコアシート
注意と行動評価フォーム家庭版:子ども向け(5~10歳用)
注意と行動評価フォーム家庭版:青年向け(11~17歳用)
ADHD評価スケール-5家庭版:男子用症状スコアシート
ADHD評価スケール-5家庭版:女子用症状スコアシート
ADHD評価スケール-5家庭版:男子用機能障害スコアシート
ADHD評価スケール-5家庭版:女子用機能障害スコアシート
注意と行動評価フォーム学校版:子ども向け(5~10歳用)
注意と行動評価フォーム学校版:青年向け(11~17歳用)
ADHD評価スケール-5学校版:男子用症状スコアシート
ADHD評価スケール-5学校版:女子用症状スコアシート
ADHD評価スケール-5学校版:男子用機能障害スコアシート
ADHD評価スケール-5学校版:女子用機能障害スコアシート
評価スケールの日本語訳作成
参考文献
あとがき
著者紹介
監修者紹介
翻訳者紹介
評価スケール翻訳者紹介
前書きなど
序文
注意欠如・多動症(ADHD)は,小児期に認められる最も一般的な神経発達障害の1つであるが,メンタルヘルスや教育現場の専門家がADHDの可能性のある子どもや青少年のアセスメントを行う際,その難しさに直面することが少なくない。『DSM-Ⅳ精神疾患の診断・統計マニュアル』(アメリカ精神医学会,1994)が出版されたのを受け,私たちは,臨床家がADHDの症状の頻度や程度を速やかに判断できる簡便な調査票(ADHD Rating Scale-Ⅳ)の作成に着手した。このADHD Rating Scale-Ⅳは1998年の刊行以来,多数のアセスメントや調査研究で利用されてきた。さらに,医療やメンタルヘルス,教育現場の専門家により,スクリーニング,診断アセスメント,治療成績の評価といった多方面の実務で広く採用されている。
『DSM-5』(アメリカ精神医学会,2013)の刊行後,私たちは同スケールを次の2つの点で改訂した。第一に,青少年や成人のアセスメントにも対応できるようにADHD症状の文言が改変されたことから,本スケールの家庭版と学校版に,年長者に適した文言を用いた青年期フォームを追加した(つまり,発達段階に応じた症状が説明されるようになった)。第二に,ADHDの評価においては遂行機能の障害が重要な意味を持つことから,スケールに2組の機能障害項目を設けた。1組は不注意の症状に伴う機能障害を評価し,2組は多動性-衝動性の症状に伴う機能障害を評価する。こうした内容面の変更のほか,地域,人種/民族的背景,社会経済状況において米国人口を的確に反映する2種類の標準標本(親による評価の標本と,教師による評価の標本)から広範なデータも収集した。本書では,刷新されたスケールの併存的妥当性に関する情報を掲載し,さらに,スクリーニング,診断,治療の評価を目的としたこのスケールの臨床的有用性に関する包括的なデータも提示する。
(…後略…)