目次
はじめに
飼育栽培された種の起源
1 イヌ Canis familiaris
森のなかのオオカミ
凍てつく遠い過去
イヌの故郷を明らかにする
最初の接触
友好的なキツネと謎めいた法則
特異な品種
2 コムギ Triticum
大地のなかの亡霊
ロブスターが考古学的発見をなし遂げる
ヴァヴィロフの果敢な探究
三日月と鎌
ここか、そこか、いたるところか
気温と祭祀施設
レヴァントからソレントへ
3 ウシ Bos taurus
角の長い獣の謎
フォームビーの足跡
オーロックスを狩る
レイヨウの乳と磨いていない歯
壺のかけらと牛飼い
骨と遺伝子
小さくなる雌牛の謎
育てられ、広められ
オーロックスを蘇らせる
4 トウモロコシ Zea mays mays
新世界に至る道
旧世界のトウモロコシ
カボットとマシュー号
遺伝子の航海
アメリカの起源
途方もない顕著な多様性
5 ジャガイモ Solanum tuberosum
太古のジャガイモ
埋もれた宝
「三つの窓がある洞窟」と未解決の謎
ジャガイモの女神と、山と海沿いの品種
カルメル会の修道士とジャガイモの花束
ご馳走と飢饉
6 ニワトリ Gallus gallus domesticus
明日のニワトリ
ロスリンの研究者
どちらが先か?
太平洋のニワトリ
西洋の初期のニワトリ
7 イネ Oryza sativa
世界を養う
怪物の創造
ゴールデンライスに黄金の未来?
世界的スーパー作物の地味な起源
冬来る
イネの歩み
濡れた足と乾いた農地
8 ウマ Equus caballus
ゾリータという名のウマ
新世界のウマ
旧世界のウマ
飼いならす
最初の乗用馬
近縁の親類とありえたかもしれない歴史
豹紋とウマの顔
9 リンゴ Malus domestica
ワッセイリング
天の山の中腹で
リンゴの考古学
遺伝子が明かすもの
10 ヒト
バスク教授の、見事なまでの、原始的で、猿に似て、中頭で、顎の突き出た、野蛮で、脛骨が扁平な、野性のHomo calpicus
ヒトの起源を明らかにする物語
日光・山頂・病原菌
新石器革命
共進化と歴史の道筋
乳と遺伝子
自己家畜化した種
新石器時代の遺産
野生
謝辞
訳者あとがき
参考文献
索引
前書きなど
(あらすじ)
古来、人間(ホモ・サピエンス)は狩猟採集民として、実や種を摘んだり、野生動物を狩ったりすることで食物を得、ありのままの世界を享受し、生きてきた。やがて人間は農耕・牧畜をはじめ(新石器革命)、ここから人間と自然とのかかわり方は大きく変わっていくことになる。
人間は他の野生種を飼いならすことで、人口増を支えることができ、文明や社会を発展させることができるようになった。一方で、拡大する人間の活動は、地球規模で自然界・生態系に大きな影響を及ぼすようにもなっていく……。
食べ物として、あるいはペットや家畜として、あたりまえのように現代人の生活の中にあるこれらの種と、人間のきつく結ばれた関係を明らかにするとともに、われわれ人間の自然・野生とのかかわり方のあるべき方向を模索する、われわれ自身のための物語。