目次
まえがき
第1章 B型肝炎被害者の声
1 予防接種と幼少時・青年期の経験
2 就労と治療、身体的・精神的・経済的負担
3 パートナーや家族との関係
4 自分と子ども――母子感染
5 病の進行と死への不安
6 遺族としての思い
7 未来と期待
第2章 B型肝炎被害とは何か
1 集団予防接種によるB型肝炎ウイルス感染
2 調査から
3 病気の進行・医療費増大
4 母子感染・家庭問題
5 考察
6 まとめ
第3章 遺族の被害
1 遺族調査
2 承認論の視点から見た遺族ケアの哲学的考察――HBV遺族調査を踏まえて
第4章 学生へのメッセージ
1 当事者講義の学習効果
2 考察
第5章 座談会:研究のこれまでとこれから115
「病」について
「家族」について
「教育」について
「差別」について
資料
資料1 ご本人用調査票
資料2 ご遺族用調査票
資料3 学生用調査票(事前・事後)
参考文献
あとがき
前書きなど
まえがき
研究の特色
本書は、終戦直後から40年間続いた集団予防接種などの注射器具回し打ち(以後、連続使用)でB型肝炎ウイルス(hepatitis B virus:以後、HBV)に感染した方々への全国調査にもとづく研究の記録です。
「国内最大の感染症といわれるウイルス性肝炎」のうち、集団予防接種が原因でHBVに感染した被害者は40万人以上と推定され、その被害救済と恒久対策の早期実現が日本社会に求められています。中でも、感染被害者(以後、当事者)とご遺族の方々が直面してきた生活困難を明らかにし、支援のあり方を検討することは喫緊の課題となっています。
本書の構成
本書は、大きく5部に分かれています。まず第1章として、当事者とご遺族から寄せられたお声の一部を載せました。第2章では、B型肝炎被害の概要と、当事者の方々の生活困難を検討しました。第3章では、ご遺族への調査をもとに心身及び経済的困難を分析し、遺族ケアを論じています。第4章では、当事者の方々による出前講義をもとに教育の効果と可能性を検討しました。第5章では、座談会による調査結果の読み解きと研究課題を話し合いました。また、巻末にはアンケート調査に用いた質問紙を掲載しました。
(…後略…)