目次
第1章 OECD国際幼児教育・保育従事者調査2018の概要と政策への示唆
1.1 調査の概観
1.2 本報告書の構成と分析の枠組み
1.3 調査対象
1.4 質問紙及び調査時期
1.5 標本サイズ、日本の参加園数、保育者数、園長・所長数
1.6 本報告書の範囲
1.7 参加国
1.8 調査実施体制
1.9 幼児教育・保育施設における子供たち
1.10 OECDによる政策への示唆
第2章 子供、保育者、保護者間のやりとり
要旨
2.1 はじめに
2.2 研究と政策エビデンスからの知見
2.3 実践を通して子供たちの学び、育ち、ウェルビーイングを支える
2.5 本調査でのプロセスの質
2.6 保育者の専門職としての信念
2.7 グループ/クラスでの活動の組立て
2.8 公平性と多様性:信念と実践
2.9 結論と政策への示唆
第3章 園長、保育者の勤務環境とその支援
要旨
3.1 はじめに
3.2 研究と政策エビデンスからの知見
3.3 幼児教育・保育の保育者の構成と保育の仕事に就く準備のための教育
3.4 保育者の専門性の向上:現職研修のニーズと内容、障壁及び支援
3.5 幼児教育・保育に携わる保育者の労働条件
3.6 プロセスの質と専門性向上、労働条件の関係
3.7 幼児教育・保育施設の園長・所長
3.8 公平さの視点:保育者の配置
3.9 結論と政策への示唆
第4章 園の環境と構造の質
要旨
4.1 はじめに
4.2 研究と政策エビデンスからの知見
4.3 幼児教育・保育施設の場所
4.4 幼児教育・保育施設の特徴と受入れ人数
4.5 施設の特徴と人的資源の関係性
4.6 施設の特徴とプロセスの質やその他の実践との関係
4.7 幼児教育・保育施設の公平性
4.8 結論と政策への示唆
第5章 ガバナンス、資金調達と幼児教育・保育の質
要旨
5.1 はじめに
5.2 研究と政策エビデンスからの知見
5.3 幼児教育・保育セクターの資金調達
5.4 幼児教育・保育施設のガバナンス
5.5 民営施設と公営施設の特性
5.6 ガバナンス、資金調達とプロセスの関係
5.7 ガバナンスと公正さ
5.8 結論と政策への示唆
付録1 各国の幼児教育・保育の概要
1 チリ
2 デンマーク
3 ドイツ
4 アイスランド
5 イスラエル
6 日本
7 韓国
8 ノルウェー
9 トルコ
付録2 付表
付表A 園の特徴
付表B 保育実践
付表C 保護者との連携
付表D 幼児教育・保育の信念
付表E 多様性
付表F 年齢・学歴・雇用状況
付表G 専門性向上のための活動(研修等)
付表H 仕事に関する満足・ストレス
付表I 財務・運営
資料 質問紙
資料1 園長・所長質問紙
資料2 保育者質問紙
前書きなど
はしがき(抜粋)
本書は、2018年に実施された「OECD(経済協力開発機構)国際幼児教育・保育従事者調査2018」(Starting Strong Teaching and Learning International Survey 2018)の国際調査結果を基に、日本にとって特に示唆のある内容・データを中心に整理・分析したものです。
国際幼児教育・保育従事者調査は、幼稚園、保育所、認定こども園の保育者及び園長・所長の勤務環境、園での実践、研修、管理運営等に関する国際比較可能なデータを収集する、2018年に初めて実施された国際調査です。各国の幼児期における教育・保育の実態、特長や課題等について、国際比較を通じた分析により政策立案や幼児教育・保育実践の改善に資することを目的としており、この度、国際調査結果を基に、本報告書を日本語で刊行し、日本の多くの方々に調査結果を提供できることは、当研究所にとって大きな喜びです。
日本では、当研究所が実施責任機関となり、文部科学省、厚生労働省、内閣府と密接に連携、協力しながら、調査の準備、実施及び分析に当たってきました。今回の調査では、2018年10月から11月にかけて、全国の幼稚園、保育所、認定こども園の中から約220園、約1,800人の保育者及び園長・所長の方々に質問紙への回答をしていただき、国際的な基準を満たすデータを収集することができました。調査の実施に当たっては、各園の担当者の方々や、都道府県・指定都市・中核市の教育委員会などの担当部局、国立大学法人に多大な御協力をいただきました。調査の実施に参加・協力いただいた全ての関係者の皆様にこの場をお借りして心より感謝申し上げます。
(中略)
我が国では、2018年4月より新しい幼稚園教育要領、保育所保育指針、幼保連携型認定こども園教育・保育要領が施行され、2019年10月から幼児教育・保育の無償化がスタートするなど、幼児教育・保育をめぐる環境は大きな変化の中にあります。また、2018年に策定された第3期教育振興基本計画において、客観的根拠を重視した教育政策の推進が、今後の教育政策の遂行に当たって特に留意すべき視点とされており、この国際幼児教育・保育従事者調査をはじめ、当研究所が実施・分析する国際調査結果への期待もますます大きくなっています。
このような中で、本書が、政策担当者や研究者、園長・所長及び保育者などの園の関係者、保育者養成に関わる関係者をはじめとする多くの方々に様々な形で活用され、質の高い幼児教育・保育環境の実現に貢献できることを期待しています。