目次
はじめに
第1章 日本の姉妹都市の源流を探る
長崎市とセントポール市
長崎市の行き悩み状態
セントポールが目指したもの
母の日と仙台市の姉妹都市交流
姉妹都市という名称
姉妹都市提携のイニシアチブと仲介者
構想された交流事業
幼稚園同士が提携
アメリカに対する日本人の意識
第2章 欧米の異なるアプローチ
ヨーロッパの姉妹都市の起源
独仏をつなぐ姉妹都市交流
アメリカ起源の姉妹都市
ピープル・ツー・ピープル・プログラム
市民委員会と姉妹都市
姉妹都市という名称
姉妹都市とは何か?
姉妹都市という土台
自治体は国を超えられるか
国際関係の中での自治体
第3章 日本がリードした中国の国際化
急速に発展した日中の姉妹都市
国交回復を先取りした提携の動き
姉妹都市の締結文
南京事件と姉妹都市交流
市長と異なる市の見解
外交上の対立の影響
アジアとの戦略的な交流
日中間の交流を目指す福岡市
姉妹都市でのアンテナショップ
日中自治体の温度差
中国から見た姉妹都市提携――江西省のケース
姉妹都市で育つ知日派のリーダー
第4章 自治体の対ロシア長期戦略
ロシアに対する親近感
冷戦期から始まったロシアとの交流
ロシアへ掛ける思い
新潟市
能美市
北海道のロシア戦略
北方領土への協力
稚内市
函館市
小樽市
姉妹都市交流と北東アジアネットワーク
阿波踊りでもてなす交流
第5章 激動の日韓関係の中の姉妹都市
根を張る交流の基盤
揺れ動く日韓関係
最初の姉妹都市提携
市民ぐるみの交流
百済の里の村おこし
「竹島の日」と島根県の姉妹交流
戦略的な取り組みを進める鳥取県
北朝鮮との姉妹都市
子どもたちは何を学んだか
第6章 意外に活発なイスラム圏との交流
歴史的なつながり
海難事故と姉妹都市
まちおこしのための交流
市民参加の文化交流
ムスリムとホームステイ
番外編
第7章 姉妹都市交流の効果
経済交流
まちおこし交流
課題解決型交流
東日本大震災と姉妹都市
隣国との関係改善
関係改善に向けて
第8章 姉妹都市交流を運営する
姉妹都市提携を行うには
姉妹都市交流の橋渡し役
長続きさせるための仕組みとは
交流の目的は何か?
相手側とのコミュニケーション
青年交流プログラムを企画する
参加できない学生のために
交流の費用
姉妹都市の評価
プログラムを作る
持続的な活性化のために
あとがき
前書きなど
はじめに
(…前略…)
さて、従来から一般市民に国際交流の機会を提供してきた活動に姉妹都市交流がある。現在、日本では世界各地と一七〇〇以上の姉妹都市提携が結ばれており、さまざまな交流が半世紀以上にわたって展開されている。若者に限らず、退職者や高齢者が活発にかかわっている交流も多い。著者は身近な国際交流の入口として地元の姉妹都市交流に参加することをお勧めするが、実は姉妹都市には深いルーツがある。
日本で姉妹都市交流が始まったのは一九五〇年代。日本人が海外旅行するには政府の許可が必要で、外国人の存在自体が珍しかった時代にまで遡る。その時代、当時の人々はなぜ姉妹都市交流を行おうと思ったのか? 何を期待し、またどのような交流が行われたのだろうか?
そもそも姉妹都市とは何かを考え始めるとさまざまな疑問が生まれる。なぜ姉妹都市で兄弟都市とは言わないのか? 姉妹都市提携は政府の許可は得て行うものなのだろうか?(日本と国交のない北朝鮮との間で姉妹都市締結が行われていた例がある)。
姉妹都市の最初期である一九五〇年代に行われた交流の様子を子細に観察すると、現在につながる日本人の外国や外国人に対する意識の原点が見えてくる。
(…中略…)
本書は六〇年以上の歴史を持つ姉妹都市交流の変遷を掘り起こし、その全貌を明らかにする。どのような国際交流が全国で行われているのか? さらにその交流はどのような影響を地域社会、そして世界に与えてきたのか?
姉妹都市交流について書かれた書物は一部の学術的なものを除けば世界でも皆無である。本書とともに、今まで語られることのなかった姉妹都市交流、そして国際交流の世界にあなたをお連れしよう