目次
『ユネスコ世界記憶遺産と朝鮮通信使』刊行にあたって[松原一征]
『ユネスコ世界記憶遺産と朝鮮通信使』出版を記念して[柳鍾穆]
Ⅰ ユネスコ世界記憶遺産登録、経緯と意義
「朝鮮通信使に関する記録」をユネスコ世界記憶遺産に登録――その経緯・意義・課題[仲尾宏]
1 申請までの経緯
2 登録資料の選定と申請書作成
3 登録資料とその分類
4 登録の意義と今後の課題
Ⅱ 日韓市民の相互理解から世界記憶遺産への道
対談 ユネスコ世界記憶遺産登録申請をめぐって[姜南周・仲尾宏]
1 日韓両国の朝鮮通信使研究について
2 朝鮮通信使に対する市民の理解
3 朝鮮通信使の魅力――まちづくり、地域間交流や国際交流の観点から
4 ユネスコ世界記憶遺産への両国の取り組み
5 韓国と日本のユネスコ世界記憶遺産登録申請資料の特徴
6 「朝鮮通信使に関する記録」がユネスコ世界記憶遺産に登録されることの意義
7 この記録がどう活用されればいいか
Ⅲ 朝鮮通信使ゆかりの地と登録資料
ソウル・釜山[朴花珍]
対馬・壱岐[齋藤弘征]
相島・下関・上関[町田一仁]
下蒲刈・鞆の浦・牛窓・室津[倉地克直]
大坂・京都[仲尾宏]
近江と雨森芳洲[佐々木悦也]
名古屋[貫井正之]
静岡[北村欽哉]
江戸・日光[仲尾宏]
Ⅳ ユネスコ世界記憶遺産登録資料ガイド
ユネスコ世界記憶遺産登録申請書
日本側の登録資料概要[町田一仁]
ユネスコ世界記憶遺産登録資料リスト
○日本側の登録リスト
○韓国側の登録リスト
○日本側の登録リスト詳細情報
○韓国・日本の登録資料所蔵施設
参考図書
あとがき
ユネスコ世界記憶遺産登録申請団体
前書きなど
あとがき
朝鮮通信使のユネスコ世界記憶遺産登録が、パリのユネスコ本部で承認された、という第一報がはいったのは、本書の校正作業がまさに終わろうとしていた日の深夜のことであった。このユネスコ登録がもつ意義は計り知れない。東アジアにおいて、200年余にわたる平和と相互不可侵の土台を築いていたのはこの朝鮮通信使による両国政権の不戦と対等外交の存在による。そして両国の文化が共通の漢字文化圏に属し、儒学や医学・薬学をはじめとする相互理解が容易な文化を共有していたことも200年を支えた好条件であった。
(…中略…)
本書はそのようなユネスコ登録申請作業の成果の産物から生まれた。そしてこの成果が広く世界に認識されることを通じて、私たち人類が歴史から学ぶことの大切さをあらためてかみしめたい。本書の行間からそのような 思いをくみとっていただければ、幸いである。
(…後略…)