目次
巻頭言 九州年号(倭国年号)から見える古代史[古賀達也]
特集 失われた倭国年号《大和朝廷以前》
Ⅰ 倭国(九州)年号とは
初めて「倭国年号」に触れられる皆様へ[西村秀己]
「九州年号(倭国年号)」が語る「大和朝廷以前の王朝」[正木裕]
コラム① 九州王朝の建元は「継体」か「善記」か[古賀達也]
九州年号(倭国年号)偽作説の誤謬――所功『日本年号史大事典』『年号の歴史』批判[古賀達也]
九州年号の史料批判――『二中歴』九州年号原型論と学問の方法[古賀達也]
『二中歴』細注が明らかにする九州王朝(倭国)の歴史[正木裕]
コラム② 『二中歴』九州年号細注の史料批判[古賀達也]
コラム③ 「白鳳壬申」骨蔵器の証言[古賀達也]
訓んでみた「九州年号」[平野雅曠]
コラム④ 同時代「九州年号」史料の行方[古賀達也]
コラム⑤ 九州年号「光元」改元の理由[古賀達也]
『書紀』三年号の盗用理由について[正木裕]
コラム⑥ 「告期の儀」と九州年号「告貴」[古賀達也]
コラム⑦ 「元号の日」とは[合田洋一]
Ⅱ 次々と発見される「倭国年号」史料とその研究
九州年号「大長」の考察[古賀達也]
コラム⑧ 北と南の九州年号(倭国年号)[古賀達也]
コラム⑨ 『肥後国誌』の寺社創建伝承[古賀達也]
「近江朝年号」の研究[正木裕]
九州王朝を継承した近江朝廷――正木新説の展開と考察[古賀達也]
コラム⑩ 「宇佐八幡文書」の九州年号(倭国年号)[古賀達也]
越智国・宇摩国に遺る「九州年号」[合田洋一]
コラム⑪ 和歌木簡と九州年号(倭国年号)[古賀達也]
コラム⑫ 日本刀と九州年号[古賀達也]
「九州年号」を記す一覧表を発見――和水町前原の石原家文書[前垣芳郎]
納音付き九州年号史料の出現――熊本県玉名郡和水町「石原家文書」の紹介[古賀達也]
納音付き九州年号史料『王代記』[古賀達也]
コラム⑬ 神奈川県にあった「貴楽」年号[冨川ケイ子]
兄弟統治と九州年号「兄弟」[古賀達也]
コラム⑭ こんなところに九州年号![萩野秀公]
コラム⑮ 東北地方の九州年号(倭国年号)[古賀達也]
天皇家系図の中の倭国(九州)年号[服部静尚]
『日本帝皇年代記』の九州年号(倭国年号)[古賀達也]
安土桃山時代のポルトガル宣教師が記録した倭国年号[服部静尚]
資料
1 二中歴
2 海東諸国紀
3 続日本紀
付録
古田史学の会・会則
「古田史学の会」全国世話人・地域の会 名簿
編集後記
前書きなど
巻頭言 九州年号(倭国年号)から見える古代史
(…前略…)
古田学派における倭国(九州)年号研究は、古田武彦氏の九州王朝説の提唱以来、全国各地の研究者により活発に進められてきた。その第一段階は諸史料に残された九州年号の調査探索であり、その集大成として『市民の古代』第十一集(市民の古代研究会編、新泉社、一九八九年)に「特集『九州年号』とは何か」が掲載された。次いで第二段階では九州年号の「年号立て(各年号の正しい順番と文字。暦年との対応など)」、すなわち原型論についての研究がなされた。その結論として、九州年号群史料としては現存最古の『二中歴』「年代歴」に見える九州年号が最も原型に近いとする説が最有力となり、さらに『二中歴』から漏れた「大長」年号が七〇一年以後に実在したことも明らかとなった。そして第三段階では、九州年号と九州年号史料に基づく九州王朝史研究へと発展した。その成果がミネルヴァ書房から刊行された『「九州年号」の研究―近畿天皇家以前の古代史―』(古田史学の会編、二〇一二年)として結実したのであるが、本書はその続編あるいは姉妹編に相当する。
本書は近年の九州年号研究の最先端論文を収録するにとどまらず、コラムとして各地の研究者による様々な九州年号関連記事も掲載した。この狙いは読んで面白いというだけではなく、読者にも九州年号研究の一翼に加われるという思いを共有していただける様々な切り口紹介という側面も有している。
(…後略…)