目次
凡例
地図 チュニジア共和国と各県
序章 なぜチュニジア革命か
第1節 問題の所在
第2節 方法論としてのプロセス・ドキュメンテーション
(1)人類学的プロセス・ドキュメンテーションの手法
(2)現象の多面性・多声性・多所性と時間軸
(3)ミクロ・メゾ・マクロのレベルをつなぐ考察
第3節 本書の構成
第1章 「二つのチュニジア」と革命の背景
第1節 独立以降の開発政策の歪みと地域格差
第2節 ベンアリー・トラベルシー一族のネポティズムと盗賊政治
第3節 警察国家と言論情報統制
第4節 二〇〇八年のガフサ・リン鉱山民衆蜂起事件
第2章 チュニジア革命の始まりとベンアリー政権の崩壊
第1節 シーディ・ブーズィードでの野菜売り青年の焼身自殺
第2節 地域的デモから全国的デモへの展開
第3節 多様な市民と集団組織の参加と軍の役割
第4節 一月一四日のベンアリー政権崩壊と対外関
第3章 革命後の民主化移行と制憲議会選挙でのナフダ党勝利
第1節 臨時政府発足後の混乱と「自由のキャラバン」
第2節 「カスバ1」と「カスバ2」の抗議運動
第3節 カーイドエッセブシー臨時政権発足と各地での権利要求運動
第4節 制憲議会選挙とナフダ党勝利
第4章 ナフダ党連立トロイカ政権からカルテット仲介の「国民対話」へ
第1節 ナフダ党連立トロイカ政権と政権運営の未熟さの露呈
第2節 「イスラミスト」と「リベラル派」の対立抗争
第3節 憲法草案におけるシャリーア・ジェンダー・人権をめぐる論争
第4節 野党党員の暗殺とカルテット仲介による「国民の対話」
第5章 女性たちの活発な政治社会活動
第1節 独立以降の「国家フェミニズム」と革命後の女性政策
第2節 革命期と民主化過程で活躍した女性たち
第3節 女性の身体の戦術手段化
第4節 「国家フェミニズム」から「市民フェミニズム」への変容
第6章 新憲法制定と自由選挙に基づく新政権の発足
第1節 新憲法の制定とテクノクラート政権の発足
第2節 治安対策と過激派イスラミストの掃討作戦
第3節 国民代表者議会選挙と共和国大統領選挙
第4節 新政権の発足とテロ対策と経済的課題
第7章 市民社会の力とトランスナショナルな連携
第1節 革命後の市民社会の活発化とNGOの増加
第2節 市民による選挙監視と憲法の起草
第3節 貧困削減と雇用創出支援NGO
第4節 マイノリティの権利要求・差別反対運動
終章 チュニジア革命の意義と今後の展望
注
あとがき
略語一覧
付録1 革命後の政権と首相・政府主席のリスト
付録2 年表
参考文献
索引
前書きなど
序章 なぜチュニジア革命か
(…前略…)
第3節 本書の構成
以上のような主題と方法論に基づいて、本書は以下のような章立て構成をとっている。
まず第1章は、「『二つのチュニジア』と革命の背景」と題し、チュニジア革命の背景要因の一つともなった地域間格差について、それが特に独立以降の政府の偏った開発政策によっていたこと、またベンアリー政権の光と闇について論述する。(……)
第2章「チュニジア革命の始まりとベンアリー政権の崩壊」では、具体的にチュニジア革命がどのように始まり、どのような地理的広がりを見せていったのか、時間的な経過に加え、革命に参加していった多様な地域の、さまざまな年齢層や境遇の人々からの聞き取り内容を交えて、そのプロセスを多所的に多声的に跡付けていく。(……)
第3章「革命後の民主化移行と制憲議会選挙でのナフダ党勝利」では、革命後、まさに手探りで始まった民主化移行とは、どのようなものであったのか。内陸の町の民衆を中心に始まった「自由のキャラバン」の動き、「カスバ1」「カスバ2」の異議申し立て運動、さらに多所的に多発的に広がった自由の名の下での権利要求運動や諸集団の衝突、またカーイドエッセブシー臨時政府下で旧憲法の停止と法改革を推進する「革命の目的達成のための高等機構」の設置などについて記述していく。(……)
第4章「ナフダ党連立トロイカ政権からカルテット仲介の「国民対話」へ」では、制憲議会選挙で勝利したナフダ党が、世俗主義左派系の二党と連立を組んで発足させたトロイカ政権期について論述する。(……)
第5章「女性たちの活発な政治社会活動」では、革命の過程、そして民主化移行期には、女性たちや女性団体による実に活発な活動が顕著にみられたことから、特に民主化過程で重要な役割を果たした女性たちの活動を紹介する。(……)
第6章は、「新憲法制定と自由選挙に基づく新政権の発足」と題し、「国民対話カルテット」による仲介で新憲法の制定後、ナフダ党からテクノクラートのマフディ・ジュムア政権への移行、そして新憲法下での国民代表者議会選挙と大統領選挙、その決選投票を経て、新大統領の就任と新政権発足に至るまでの過程を明らかにする。(……)
第7章は、「市民社会の活動とトランスナショナルな連携」と題し、革命とその後の民主化移行期において、市民団体や市民が果たしてきた重要な役割について述べる。(……)
終章では、本論で述べてきたチュニジア革命の背景、始まり、その後の民主化への五年余りの歩みを踏まえて、この革命と民主化の意義とまたその特徴について考察する。そしてそれを踏まえた上で、今なお残る課題を指摘し、今後の連帯や協働に向けての可能性について展望を述べる。