目次
ア
アーサー王物語/アーツ・アンド・クラフツ運動/アーユルヴェーダ/アイルランド共和国軍/アウシュヴィッツ強制収容所/アスレティシズム/アトリビュート/アマチュアリズム/アメリカ革命/アメリカン・ドリーム/アラブの春/イエス・キリスト/イギリス王室/イギリス産業革命/イギリス二大政党制/イスラーム主義/イングランド国教会/印象主義(美術)/インド系移民/陰陽五行/ウィーン改造/ウィーン工房/ウィーン体制/ウィーン分離派/ヴィクトリア女王/ヴェール/ウェストファリア条約の成立/ヴェルサイユ体制/雨月物語/歌会始/写し絵/ウラマー/ウンマ/越境の文学(外国人の日本語文学)/エッフェル塔/エリザベス2世/王立協会/大岡昇平/オスマン/伽婢子/オリエンタリズム
カ
カースト/カール5世/ガウェイン/仮名の発生/カフェ/カンタベリー物語/記紀/擬人像/強制収容/教養教育/キリスト教と日本文学/禁酒法/金ぴか時代/グランド・ゼコール/グリム童話集/グレゴリオ聖歌/啓蒙児童誌(ドイツ)/KKK/ゲーテ時代/月曜デモ/言文一致/硯友社/江文也/公民権運動/古活字版/黒人奴隷制度/国性爺合戦/国会議事堂放火事件/コミュナリズム/コモンウェルス(旧英連邦諸国)/暦/コルベール主義
サ
サダカ/サラフィー主義/三月革命/三月前期/山上の説教/三位一体/シーア派/死刑停止/私小説/四神相応/自然主義(美術)/自然主義(文学)/ジハード/ジム・クロウ法/社会ダーウィニズム/ジャズ・エイジ/ジャポニスム(ジャパニズム)/シャリーア/シャリバリ/宗教改革/周作人/銃社会/「重商主義」と日本/儒教/シュトゥルム・ウント・ドラング/障害学/ジョスカン・デ・プレ/女性参政権運動/白樺派/ジレンマ/新移民/辛亥革命/神聖ローマ帝国の崩壊/身体文化/スエズ戦争/スカーフ論争/スポーツ/聖書/聖杯伝説/全国黒人地位向上協会/戦後文学/先住民/宗牧
タ
第一次世界大戦/第五共和政/第三の新人/対テロ戦争/第二次世界大戦/中原/中華思想と王化思想/中国白話小説/朝貢/朝鮮の経済特区/庭園/天の思想/ドイツ革命/ドイツ啓蒙/ドイツ帝国創設/ドイツ・ロマン派/道教/時/独ソ不可侵条約の締結/トランセンデンタリズム
ナ
長い18世紀(1688-1815)/ナポレオン1世(ナポレオン・ボナパルト)/名前/南北戦争/南北戦争再建/日本漢文/日本の古辞書/ニューディール
ハ
ハーレム・ルネッサンス/バウハウス/バカロレア/パクス・ブリタニカ/ハックルベリー・フィンの冒険/ハッジュ/ハディース/パブリックスクール/ハラール食品/パリテ/ハワイ王朝/ハンガリー動乱/ビーダーマイアー期/様式/美術アカデミー/ビスマルク体制/秀吉惣無事令/百人一首/ビラヴィド/ピルグリム・ファーザーズ/ヒンドゥー教/ファトワー/ファンタジー/ファンダメンタリスト/フトバ/プラハの春/フランコフォニー/フランス革命/フロンティア・スピリット/聞一多/文化資本/文明化の過程/平家物語/米ソ冷戦/ベーオウルフ/ベルリンの壁崩壊/封建制と郡県制/ポカホンタス/穆木天/ポスト・コロニアリズム/本朝二十不孝
マ
マスキュラー・クリスチャニティ/マッカーシズム/マルコムX/マルチ・カルチュラリズム/三島由紀夫/ムスリム/メランコリー
ヤ
屋敷地共住集団/唯美主義(美術)/ユーゲントシュティール/有識故実/優生学/ユートピア/幽霊/ヨーガ/ヨーロッパ連合
ラ
ラファエル前派/律令制/歴史画/煉獄/ロイヤル・ウェディング/ろう文化/68年5月革命/六信五行/魯迅/ロビンソン・クルーソー/ロビン・フッド
ワ
ワイマル共和国/ワクフ/渡辺綱伝説
前書きなど
はじめに(編者)
さる有名温泉地への外国人来訪者がタトゥーを理由に入浴を拒まれた出来事は,記憶に新しい。閉じた均一的な文化の中ではそれなりに有効に機能してきた自国内スタンダードも,肉体を伴った異文化間の交流が拡大する中で,今,その根拠を問われている。「異」を例外として排除する意識は,地球規模での交流が避けられない時代にあっては,もはや存続の余地はない。多数に快適な社会生活を保障してきた一国内スタンダードの多くは,その利便性ゆえに日ごろ意識から遠ざけられているものの,「小異」を切り捨てることにその本質を有し,その事実から目を背けることは許されない段階に到っている。では,どのような方向に歩みを進めればよいのか。つい先日までモノと情報の世界だと思っていた異文化との遭遇も普通の市民が生身で交流する時代に,即効的なマニュアルなどもはや誰にも書けるはずはなく,ひとりひとりが「多文化共生」の意識を育み,その可能性をそれぞれの場で地道に模索する他ないのである。それには自文化の「偏り」をより広いフィールドで相対化する視力を鍛え上げることが不可欠である。そして,その成果を試される日は,待ったなしに迫っている。東京オリンピックの招致に際して,世界に「おもてなし」という言葉を発信した私たちには,一方向的な思い込みの接客マナーにとどまらない,双方向的な,共生の出発点という中身をこの言葉に充填させていく責任が課せられているのである。
本書は,そのような認識をもとに,多文化共生の現状と未来に関心を寄せられる方々に,出典が明確で,検証可能な知識・情報を提供することを願って構想された。収録する項目数は200余りに限定し,「引く」よりも「読む」を念頭に置いた記述に努めた。その分,巻末の索引を充実させ,必要内容の迅速な検索の便を図っている。項目の配列は50音順にして,「個人名」も「小史」も区別せずに一括し,編者の分類で事項の関連性を一方向に限定することを避けている。一見無関係な項目が隣り合うことによって,また既知の関連が切り離されることによって,読者の方々は予期せぬ発想の転換と新たな関係付けの醍醐味を味わって頂けると考えている。
本書が読者の方々の座右にあって,比較文化と多文化共生への関心をさらに意識化し,深化させる踏み石の用を果たせるならば,執筆者一同にとって望外の喜びである。