目次
第5版への序文
第5版日本語版の出版に寄せて
Part 1 概念的アプローチ
第1章 過去50年間の児童青年精神医学の進歩
第2章 分類
第3章 神経発達障害:概念上の問題
第4章 臨床評価と診断の定式化
第5章 原因仮説を検討するための疫学的および縦断的方法
第6章 サービス立案のための疫学利用:概念上のアプローチ
第7章 子どもの証言
第8章 精神保健問題を持つ子どものケアと治療における法律問題
第9章 臨床医が知っておくべき統計に関する問題と手法
第10章 医療経済学
第11章 脳の形態画像や機能画像から何が分かるか?
第12章 発達精神病理学の神経生物学的展望
第13章 発達と精神病理:ライフコースの観点
第14章 気質とパーソナリティ
第15章 社会文化集団・民族集団と精神病理
第16章 神経精神薬理学の基礎
第17章 臨床神経生理学
第18章 心理療法:概観と主な問題点
Part 2 臨床評価
第19章 臨床場面での構造化面接と観察評価法の利用
第20章 臨床における評価尺度の使用
第21章 臨床場面における心理学的評価
第22章 身体的診察と医学的検査
Part 3 精神病理の影響
第23章 遺伝学
第24章 行動の表現型と染色体異常
第25章 心理社会的逆境とレジリエンス
第26章 急性生活ストレス
第27章 親の精神障害と身体疾患の影響
第28章 子どものマルトリートメント
第29章 子どもの性的虐待
第30章 脳障害とその精神病理への影響
第31章 難民と亡命希望の子どもたちの精神病理
第32章 施設養育と里親養育
第33章 養子縁組
Part 4 臨床上の症候群
第34章 注意と活動の障害
第35章 児童青年期の素行障害
第36章 精神作用物質使用と精神作用物質使用障害
第37章 児童・青年期のうつ病性障害
第38章 児童青年期の双極性障害
第39章 不安障害
第40章 自殺行動と自傷
第41章 摂食障害
第42章 心的外傷後ストレス障害
第43章 強迫性障害
第44章 チック障害
第45章 統合失調症とその関連障害
第46章 自閉症スペクトラム障害
第47章 発話と言語の障害
第48章 読字および他の特異的学習困難
第49章 知的障害
第50章 パーソナリティ障害
第51章 サイコパシー
第52章 性同一性障害と性障害
第53章 乳児期と就学前期の子ども(0~5歳)の行動上の問題
第54章 睡眠障害
第55章 剥脱と関連するアタッチメント障害
第56章 尿もらしと便もらし
第57章 身体疾患の精神医学的側面
第58章 HIV/AIDSの精神科的側面
第59章 特定の感覚障害を持つ子どものメンタルヘルス
Part 5 治療へのアプローチ
第60章 コミュニティに根ざしたサービス
第61章 対象を定めた予防介入の有用性についての明確化と最大化
第62章 行動療法
第63章 認知行動療法
第64章 養育プログラム
第65章 家族面接と家族療法
第66章 精神力動的治療
第67章 身体的治療
第68章 少年の非行
第69章 集中治療について:入院、デイケアおよび訪問診療
第70章 小児のコンサルテーション
第71章 精神保健問題を持つ児童青年へのサービス提供
第72章 プライマリヘルスケアにおける精神科医療
第73章 遺伝カウンセリング
第74章 特別教育
監訳者あとがき
索引
執筆者一覧
監訳者および翻訳協力者一覧
前書きなど
第5版日本語版の出版に寄せて
Rutter.s Child and Adolescent Psychiatry 5th edition が日本語に翻訳され、本書に私の寄稿文が掲載されることは至上の喜びである。私は長年にわたって多くの日本の児童精神科医や研究者を指導してきたことを光栄に思っており、同時に私自身も彼らから多くのことを学んできた。長年にわたり日本人との共同研究、特に自閉症スペクトラム障害の分野におけるいくつもの共同研究に参加してきたことについても嬉しく思っている。本書の第1版が日本語に翻訳されたときに私は大きな満足感を覚えたものだが、その約40年後に第5版が新しく翻訳されるということは、継続の大きな力を示すものである。
第4版までと同様、第5版は先行の版よりも内容が飛躍的に更新されたものになっている。新しい著者が増え、新しい章も追加されている。第5版の最たる特徴は、臨床や研究において重要と思われる分野の発展を予想し、アプローチの仕方をより概念的にしようと狙ったことである。この狙いはまた、国際的で学際的な編者チームによる科学と臨床の効果的統合を提供することにもなった。もちろん、児童精神医学の疾患に関してより多くの知見を得て理解を深めるためにやるべきことはまだまだ残されているが、この第5版が示すように、多くのことがすでに成し遂げられているのである。