目次
Ⅰ 解禁! インターネット選挙運動
Ⅱ インターネット選挙運動の注意点
1.インターネット選挙運動をしたら逮捕された!?
2.いつでもインターネット選挙運動をしてよいの?
Q&A
選挙運動をすることができるのは、いつからいつまで?
「選挙運動」って何?
危ないツイート、リツイート、【拡散希望】に要注意!
3.誰でもインターネット選挙運動をしてよいの?
Q&A
未成年者も、選挙に関して、できることがある!
選挙運動をすることができる犯罪者とできない犯罪者
成年被後見人は選挙運動をすることができる?
選挙事務関係者、公務員、教育者の選挙運動
4.あらゆる方法でインターネット選挙運動をしてよいの?
Q&A
ウェブサイト等を利用する方法によるインターネット選挙運動
電子メールを利用する方法によるインターネット選挙運動
5.どのような落選運動でもしてよいの?
Q&A
落選運動は、選挙運動?
毒をもって毒を制してもよいの?
インターネット落選運動に関する表示義務
6.候補者に有利なことは何を書いてもよいの?
Q&A
経歴詐称とiPS心筋移植
既成政党への不信を背景に増殖する新党と、便乗商法
経歴隠しはOK?
7.候補者の偽アカウントを作ってもよいの?
8.警告されるまでは、どのような選挙運動をしていても大丈夫?
Ⅲ インターネット選挙運動の主要なターゲットは若者?
1.インターネット選挙運動といえば、若者、若者、若者
2.インターネットの世代別利用率ってどれくらい?
総務省「通信利用動向調査ポイント」
インターネット利用率とインターネット選挙運動のターゲット
3.超高齢化社会日本、世代別人口はどれくらい?
総務省統計局「国勢調査人口等基本集計」
日本人の人口分布とインターネット選挙運動のターゲット
4.若者は投票しないっていわれるけど、世代別投票率はどれくらい?
世代別投票率とインターネット選挙運動のターゲット
参議院議員通常選挙の世代別投票率
衆議院議員総選挙の世代別投票率
投票率とインターネット選挙運動のターゲット
5.世代別人口×世代別投票率×世代別インターネット利用率
世代別の人口・投票率・インターネット利用率から導かれること
世代別投票者数の参考になる数と割合
世代別のインターネットを利用する投票者数の参考になる数と割合
6.主要なターゲットを若者にすると痛い目をみる?
7.従来の選挙運動とインターネット選挙運動のターゲットの違い
8.ソーシャルメディアの世代別利用率はどれくらい?
総務省「次世代ICT社会の実現がもたらす可能性に関する調査研究報告書」
ソーシャルメディア利用率とソーシャルメディア選挙運動のターゲット
従来の選挙運動とソーシャルメディア選挙運動のターゲットの違い
9.インターネットの向こう側
Ⅳ インターネット選挙運動と無党派層
1.増加する無党派層、無党派層はどんな人に多い?
2.無党派層から支持を得る前提となる無党派層の特徴
Ⅴ 無党派層から支持を得るためのインターネット選挙運動
1.インターネット選挙運動(インターネット)のメリット、双方向性
2.政治的有効性感覚と双方向性
双方向性を生かして、無党派層から支持を得る
迷惑メール業者化する議員
人生いろいろ、無党派層もいろいろ、無党派層の3タイプ
コストパフォーマンスを高める第三者の存在
Ⅵ インターネットで候補者イメージを発信する
1.短期的な要因によって投票先を変更する無党派層
2.ミシガンモデルの心理学的変数の長期的要因・短期的要因
3.候補者イメージを形成する情報の発信
候補者に好感をもってもらおう!
アメリカ大統領選挙で勝利したバラク・オバマ陣営のイメージ戦略
韓国大統領選挙で勝利した朴槿恵陣営のイメージ戦略
党首のイメージ戦略は特に重要
どのようなイメージを打ち出すべきか
どのようにイメージを打ち出すべきか
Ⅶ インターネットで政策を発信する
1.争点態度と無党派層の特徴
2.注目される「マニフェスト(政権公約)」、政策中心の選挙をしよう!
3.新党・新人候補者が獲得票数を伸ばすために採用するべき政策
国民の合理的選択と国民が投票するとき
新党・新人候補者が採用するべき政策・政策の発信の仕方
政策を基準として有権者に投票してもらいやすくする方法
争点隠しと原発政策
選挙における貧困ビジネスに気を付けよう!
参議院議員通常選挙の際の野党のマニフェストに気を付けよう!
4.実際の世論と乖離するネット上の世論
最良の政策と有権者のニーズ
インターネット上のアンケートの問題点、信じる者は騙される?
ブログのコメント欄はどうするべきか?
インターネット上の評判を気にする政治家
5.ネガティブキャンペーンの国民にとってのポジティブな効果
インターネット上で行われるネガティブキャンペーン
インフォームド・コンセントとネガティブキャンペーン
利益をもって利益を制す! 闇鍋選挙はお断り!
6.動画による政策の発信
興味がないテレビ番組と興味がない政策動画、「嫌なら見るな」?
細かく、細かく、細かく!
短く、短く、短く! 効果抜群!? 100万回以上再生された動画
Ⅷ 自分の政策やイメージを発信する必要性が高いのは誰?
1.同じ政党のライバルに勝つ!
2.利益団体の組織力低下を補うことができるインターネット選挙運動
Ⅸ インターネットと投票
1.「国会議員が身を切る政策」に国民が騙されない2つの方法
「国民に負担を強いるのであれば、まず、国会議員が身を切るべきだ」
マニフェストを比較する方法
共通政策集を見る方法
大>小? or 大<小?
2.候補者さん、候補者さん、あなたは国会議員のときに何をしていたの?
謎解きはディスプレイの前で
国会会議録・質問主意書から知る国会における議員の活動
Ⅹ おわりに
あとがき
資料1 公職選挙法の一部を改正する法律案
資料2 公職選挙法の一部を改正する法律案に対する修正案
前書きなど
あとがき
インターネット選挙運動を解禁する2013年4月の公職選挙法改正をふまえた、インターネット選挙運動に関連する選挙運動規制。
総務省「通信利用動向調査ポイント」等の複数の統計データをふまえた、インターネット選挙運動のターゲットを誰にするべきかということ。
無党派層の特徴や有権者の投票行動等に関する政治学の理論をふまえた、インターネット選挙運動によってどのようにうまく有権者から支持を得るかということ。
選挙制度等の制度をふまえた、インターネットを使用してどのように上手に投票するかということ。
以上が、本書の主要な4パートである。もちろん、HP・様々なソーシャルメディアの特徴をふまえて述べた。また、過去の実際の事例を念頭に置いた具体例をふまえながら、わかりやすく述べた。
つまり、本書は、インターネット選挙運動に関することに特化したものなのである。
一部分で、インターネット選挙運動に関して述べたに過ぎないものではない。もちろん、インターネット選挙運動は選挙運動の方法の1つであるので、本書で述べたことをそのまま、あるいは、応用して、従来の方法による選挙運動に生かすことは可能である。
本書をそのようなものにしたのは、2013年4月の公職選挙法改正前には、そのようなものを書くことができなかったからである。
もちろん、インターネット選挙運動のターゲットを誰にするべきか、インターネット選挙運動によってどのようにうまく有権者から支持を得るか、といったような本書のテーマに、「政治ってそういうものなの? 政治はもっと純粋であるべきでしょ」という違和感を覚える方はいるであろう。
そのような違和感は理解できるが、スピンドクター(情報操作の専門家)、スピーチライター(演説等の原稿を執筆する専門家)、インターネットの専門家等が政治・選挙に深く関わっている欧米の動向をふまえると、日本においても、今後、そのようなことがますます重視されるようになっていくと考えられる。
だから、有権者はそれを覚悟して、それに対応する必要がある。
日本において、インターネット選挙運動は、産声をあげたばかりである。
そのため、効果的なインターネット選挙運動をするための試行錯誤の日々を、政党・政治家・候補者は送ることになるであろう。
例えば、今後、政党・政治家・候補者がその支援者の集まるSNSを立ち上げることが増加すると予想される。そしてもちろん、そのSNSは様々なものになるであろう。匿名性に限っても、リアルの党員・後援会の会員に類似したネット上の支援者で構成される匿名性が低いものから、匿名性が高いものまで、様々なものが考えられる。匿名性が低いと、すなわち、そのSNSに参加するために氏名、住所、電話番号、メールアドレス、生年月日等を登録しなければならないと、そのSNSに参加するためのコストが増加するので、参加者が増加しにくいというデメリットが生じる可能性がある。逆に、匿名性が高いと、しばしば指摘されるインターネットに伴う匿名性を原因とする問題が生じやすくなる。インターネット上のサービスを利用するにあたって、ユーザーが、匿名性を構成する要素のうちどれを重視しているかというデータ・分析はあるので、それをふまえて、SNSをどのようなものにするかという検討をする必要がある。
効果的なインターネット選挙運動をするために考えるべきことはいくらでもある。
というように、現在、あとがきを執筆しているわけであるが、もちろん、現在の状況に至るまで、本書に関することを全て自分自身だけでしたというわけではない。多くの方々のご協力があって、現在の状況に至っている。
(…後略…)