目次
はしがき
第1章 人権とは何か
1.日頃の考え方を手がかりに
2.人権とその歴史
3.“みんなの人権”のウソとホント
4.人権の“国際化”とその落とし穴
5.言葉と思想
6.国民相互の人権と社会常識
第2章 幸福追求権
1.人権と幸福追求権
2.幸福追求権とは何か
3.自己決定権
4.幸福計算について
第3章 平等と差別
1.憲法解釈論とその周辺
2.障害者の生活手段利用権
3.差別意識の構造と表現
4.反差別の精神
第4章 ジェンダー
1.セクシャル・ハラスメント
2.フェミニズムの周辺
3.女性差別撤廃条約とその周辺
第5章 生存権
1.社会権とは何か
2.生存権とは何か
3.地球レベルの福祉
4.きわめて不利な境遇の人々
5.地球上の極貧
あとがき
前書きなど
あとがき
私は、1992年に『人権のオモテとウラ――不利な立場の人々の視点』という本を明石書店から出版した。この本は、その後数年間、増刷を重ねてきたが、今や品切れ状態にある。今回の本は、この旧著の続編に当たるものではないが、私の基本的な問題意識は、旧著のときからあまり変わっていない。今回も、旧著の場合と同様、ありがたくも黒田貴史氏にお世話になった。
この本は、そのタイトルで示されるテーマの範囲内で、私がこれまで書いてきた論文などを寄せ集めたものである(といっても、1冊の本にまとめるにあたって、必要最小限の加筆・補正・削除をほどこしてある)。そういうこともあって、この本は、統一的な物語をなしているわけではない。そこには、述べる箇所(頁)によってニュアンスや波長の違いが感じられることがあろう。「はしがき」のほかは、関心のある部分を拾い読みしていただければ光栄である。
今回の出版をもって、私の学問的人生における意見主張の集大成のひとつとし、(国際人権やジェンダー法などを含め)人権問題・差別問題関係の執筆活動に一応の終止符を打ちたい、と思う。
(…後略…)