目次
はじめに
第1部 日本のポップカルチャーと若者
〈序論〉ポップカルチャーをジェンダーの視点で考える(木村涼子)
1 空気を吸うようにジェンダーを学ぶ
2 ジェンダーの視点からのポップカルチャー研究
3 ポップカルチャーにおける男女の非対称性
4 ポップカルチャーの「受け手」研究から「担い手」研究へ
5 おわりに
マンガ、アニメ、コスプレ──揺らぐ性別分化の現状と課題(押山美知子)
1 はじめに
2 マンガ
3 アニメ
4 コスプレ
5 おわりに
ポケモン化する若者たちの理想と現実(原田曜平)
1 はじめに
2 若者のソーシャル・メディアネットワーク
3 ケータイネットワークが生み出す男女平等意識
4 性差の垣根を越えて広がる「ポケモン」
5 「落ちていかない」ことに価値を見出す若者たち
6 不景気が阻害する「ポケモン」男女平等効果
7 おわりに
「着うたクイーン」から「踊る少女軍団」へ──ひとり聴くJ-POP、みんなで聴くK-POP(小泉恭子)
1 はじめに
2 歌姫の誕生
3 「自分を歌う少女」の系譜
4 「着うたクイーン」現象
5 K-POPの「踊る少女軍団」
6 おわりに
セイフクファッションにみるジェンダー(古賀令子)
1 ポップカルチャーとファッション
2 ポップカルチャーと女子学校制服
3 女子学校制服の変遷
4 マンガ/アニメに描かれる制服
5 アイドルと制服
6 コスプレと制服
7 ファッションとしてのセイフク
8 セイフクとジェンダー
〈展望〉「越境アイデンティティ」の時代──ポップカルチャーと現代の若者(佐伯順子)
1 多様化するポップカルチャー
2 ジェンダーの境界の固定からゆらぎへ
3 デジタル世代のコミュニケーションとジェンダーの越境
4 女性表現の可能性を広げるポップカルチャー
5 「かわいい」文化の功罪──日本文化「固有」の差別的要素
6 ジェンダー平等への国際的インパクト
7 硬直化した旧世代を超えて
8 越境アイデンティティ──若者世代とジェンダー平等の可能性
○マンガ 漫画家生活25NEN(山田圭子)
第2部 海外レポート
韓国のポップカルチャーと若者(キム・ヨンジュ)
1 ポップカルチャーと若者
2 韓国のポップカルチャーの歴史と若者
3 デジタル時代のポップカルチャー
台湾における日本の女性ファッション誌の広まり(屋葺素子)
1 はじめに
2 女性ファッション雑誌の広まり
3 女性ファッション誌の内容比較
4 おわりに
○コラム 椎名林檎の音楽とジェンダー(熊田一雄)
セーラームーンはニューヨークの夢となるか?(高松麻里)
1 はじめに
2 アメリカのポップカルチャーにみるジェンダーバイアス
3 ポップカルチャーと女性
4 おわりに
ル・ジャポンがカッコいい──フランスで受容される日本のポップカルチャー(杉本バウエンス・ジェシカ)
1 フランスでのクール・ジャポンブーム──その原点
2 女子力の先駆者
3 ゴスロリファッションと対抗文化「フランガ」の誕生
○コラム マンガ読者の「居場所」としてのミュージアム(表智之)
索引
執筆者紹介
前書きなど
はじめに
1990年代から日本のマンガ、アニメやゲームは世界の子どもや若者をとりこにすると同時に、「ポップカルチャー」という言葉は、日本のマンガ、アニメ、ゲーム、ポップスを総称するジャンルを表す言葉になりました。日本発のポップカルチャーは、「クールジャパン」と言われ世界の若者から熱い注目を集めています。
今やポップカルチャーは、インターネットや携帯電話の普及に伴いブログ、ツイッター、ゲーム、音楽配信など多様化し、一大産業に成長しています。日本のポップカルチャーが持つ影響力・浸透力は、若者の生き方、価値観、考え方、ジェンダー観などに大きな影響を及ぼしています。
そこで、北九州市立男女共同参画センター・ムーブは、ムーブ叢書『ジェンダー白書8 ポップカルチャーとジェンダー』を企画し、マンガ、アニメ、ゲーム、ケータイ、ネット、ポップス、ファッションなどの面からポップカルチャーにアプローチし、それぞれジェンダーという切り口から現代の日本と海外の若者像を浮き彫りにする試みをいたしました。
本書が、一般読者をはじめ、男女共同参画センターの事業や男女共同参画行政に携わる方々、ジェンダーに関心のある学生や研究者の方々のお役に立つことを、そして男女共同参画社会の実現に向けての一助となれば幸いです。
最後に、本書の刊行にあたりお世話になりました執筆者のみなさまと関係者の方々に心から感謝とお礼を申し上げます。
2012年2月 北九州市立男女共同参画センター・ムーブ所長 吉崎邦子