目次
日本語版への序文
1 世界のいま
世界=運命共同体
地球規模の時代
・新自由主義に死刑宣告
・グローバル化と反グローバル化を同時進行せよ
・文明の衝突、あるいは接近
2 希望への道筋
・まずは絆が必要だ
・改革しかない
・社会に蔓延する病理
・移民は敵か
・ポピュリズムがよみがえる
暮らしを充実させる
・詩情に満ちた人生を
絆の再生
若者よ、立ちあがれ!
モラルの再生
労働の再生
多元的経済に変えよ!
狂った消費活動
格差をなくせ!
教育は国家の大計
・初等教育――責任感ある教師を
・中等教育――幅広い視野を育む
・高等教育――普遍的な文化を学ぶ
・システムとして考える
生きる歓び――ときめく心をもつ
衰弱する国
よみがえる民主主義
・市民よ、「怒れ! 憤れ!」
・貪欲な金融資本主義、野蛮な国粋主義!
・歩むべき道筋
新たな政治を求める
訳者あとがき
前書きなど
日本語版への序文
われわれの相互依存社会に対して大きな責任を担い、実際に世の中を動かす、今日の世代に向けて、われわれは本書を執筆した。そのメッセージは、信頼と勇気である。
2011年の東日本大震災という、未曾有の天災ならびに人災の犠牲となった日本の国民には、とくに必要なメッセージだ。
日本国民の過酷な状況における勇敢な行動と、甚大な被害を乗り越えようとする勇気に対し、われわれは心からの敬意を表したい。
われわれは、ヒロシマ、ナガサキ、そしてフクシマのことを決して忘れない。
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ヨーロッパ、アジア、アメリカ、アフリカなど世界中で、グローバル化に対応すると同時に、地域社会の遅れを取り戻す改革が必要とされている。
きわめて貧しい人々と、特権階級と化した一握りのスキャンダラスな超金持ちとの間の、許しがたい格差をなくすための経済改革が必要とされている。
自然破壊や天然資源の過剰な利用をやめさせるためのエコロジー改革が必要とされている。
全員が民主主義の枠組みにおいて、1948年に採択された世界人権宣言で謳われた権利を享受できるようにするための社会改革が必要とされている。
そしてこれらの改革を実行し、新たにつくり出された社会において、全員が豊かな暮らしを実感できるようにするための改革が必要とされている。そのためには、さまざまな文明をきちんと知ることこそが、人間に対する理解を深めるだろう。
学問をきわめたエドガール・モランは、本書においてこれらの野望を読者に語りかける。そして共著者であるステファン・エセルは、彼の「怒れ! 憤れ!」という信念によって、本書の内容を補強する。
著者を代表して ステファン・エセル