目次
日本語版序文
監訳者解説
まえがき
要約
第1章 移民の子どもの教育政策:意義と概要
第1節 はじめに
1.1 背景
1.2 各章の概要
第2節 移民の教育政策とその政策手段
2.1 政策目標の明確化
2.2 法令の制定
2.3 予算配分
2.4 資格や質保証の枠組み
2.5 カリキュラムやガイドラインと教授法
2.6 教員の職能開発:研修と支援
2.7 意識向上のための広報活動
2.8 モニタリング、調査、評価とフィードバック
第3節 提言
3.1 画一的政策の限界
3.2 包括的アプローチと役割分担
3.3 一般的な施策と対象を限定した施策との均衡
第2章 移民の子どもをとりまく主要な課題と可能性
第1節 移民の教育政策に影響を与える背景要因
1.1 移民の増加と多様化
1.2 経済および財政の悪化:移民の教育への影響
1.3 移民政策
1.4 教育制度
1.5 その他の背景
第2節 教育成果の分析と政策への提言
2.1 移民の子どもの学力状況
2.2 移民の子どもの学力を向上させる要因
2.3 政策への提言
第3章 学校改革のための政策と実践
第1節 移民の子ともの言語支援
1.1 政策的課題
1.2 政策立案者が留意すべき点
1.3 実現に向けた提案
1.4 政策的対応の事例
第2節 移民の子どものための学習環境
2.1 政策的課題
2.2 政策立案者が留意すべき点
2.3 実現に向けた提案
2.4 政策的対応の事例
第3節 学校・親・地域の恊働
3.1 政策的課題
3.2 政策立案者が留意すべき点
3.3 実現に向けた提案
3.4 政策的対応の事例
第4章 教育制度改革のための政策と実践
第1節 移民の集中と偏在への対応
1.1 政策的課題
1.2 政策立案者が留意すべき点
1.3 実現に向けた提案
1.4 政策的対応の事例
第2節 移民の教育政策における予算配分の方法
2.1 政策的課題
2.2 政策立案者が留意すべき点
2.3 実現に向けた提案
2.4 政策的対応の事例
第3節 移民の教育政策に対するモニタリングと評価
3.1 政策的課題
3.2 政策立案者が留意すべき点
3.3 実現に向けた提案
3.4 政策的対応の事例
付録1 OECD移民教育政策評価プロジェクトの概要
訳者あとがき
表/図/Box
前書きなど
OECD諸国の多くでは、移民の子どもは質の高い教育を受ける機会が限られているため、ネイティヴの子どもに比べて中途退学率が高く、学力が低い傾向にある。したがって、移民の子どもの教育は、政策上の優先課題となっている。
移民の統合に関する調査は、労働市場に関するものは幅広く行われているが、移民の子どもの教育成果に関する国際的な調査はほとんどなされていない。また、移民の子どもの学力向上につながるような政策や実践を明らかにする試みもほとんどない。そこでOECDでは、移民教育政策評価を行い、政策担当者が移民の教育政策を立案・実施するための手がかりを提供することとした。
移民教育政策評価を実施したのは、主に、オーストリア、デンマーク、アイルランド、オランダ、ノルウェー、スウェーデンである。また、これらの国が蓄積してきた移民教育の実践を調査した。本書では、移民の子どもとネイティヴの子どもの教育へのアクセスや就学状況、学力を比較分析し、確かなデータに基づく政策上の提案を示すこととした。本書は、政策担当者にとって実践的で簡潔な手引きとなることをめざしている。教師やスクールリーダー、親、地域コミュニティなど、移民を受け入れるすべての人々にも関心を持って迎えられるであろう。