目次
特集 児童福祉法と虐待対応
特集にあたって(二宮直樹:本誌編集委員)
座談会
吉田恒雄(駿河台大学法学部)
石塚かおる(児童養護施設つばさ園)
武藤素明(児童養護施設二葉学園)
佐藤隆司(神奈川県厚木児童相談所:本誌編集委員)
二宮直樹(愛知県知多児童・障害者相談センター:本誌編集委員)
司会・川崎二三彦(子どもの虹情報研修センター)児童福祉のこの10年を振り返る——児童家庭相談/社会的養護の現場からの報告
児童福祉法改正
児童福祉関係法の変遷——1997年以降の動きをめぐって(竹中哲夫:日本福祉大学名誉教授)
里親制度
里親制度と児童相談所——里親と「協働」する里親制度(佐藤隆司:神奈川県厚木児童相談所子ども支援課長補佐)
里親制度促進のための課題——子ども支援+子育て支援としての位置づけを(村田和木:ノンフィクション・ライター)
里親家族支援は進むのか——児童福祉法改正と里親支援事業の未来(和泉広恵:日本女子大学人間社会学部講師)
施設内虐待
施設内虐待の構造的問題とその克服に向けて(黒田邦夫:児童養護施設クリスマス・ヴィレッジ)
児童福祉施設で生活する子どもたちの人権を守るために(野津牧:名古屋短期大学保育科教員)
施設内虐待の構造と施設改善——こうして施設内虐待はなくなった(関貴教:児童養護施設職員)
市町村児童家庭相談
市町村における子ども家庭相談の展望——地方都市、郡部での取り組みから(堀善一:岐阜県西濃子ども相談センター所長)
児童相談所と市町村児童家庭相談窓口との連携(小川衛子:大阪府中央子ども家庭センター主査〈前箕面市子ども家庭相談室専任参事〉)
市町村における児童家庭相談の実態と今後の課題——「亀山市子ども総合支援室」の取り組みを参考に(志村浩二:亀山市保健福祉部子ども総合支援室長〈臨床心理士〉)
当事者の語り
若松寮に行けてよかった(澤村真由美)
プライマリー——確かな居場所ができた今、思うこと(関戸敏夫)
世界は、愛で満ちていてほしい(鎌田成美)
研究報告
子どもの権利擁護と援助指針(神戸賢次)
児童養護施設における子育て短期支援事業——利用家族の実態と支援のあり方(越後美由紀)
愛知県における児童問題史研究——関係史資料目録の作成(第1報)(小川英彦)
現場実践レポート
虐待を受けた子どもたちと虐待者の特徴——「児童虐待実態調査」から見えてきたもの(立松照康)
生活治療を目指して——情緒障害児短期治療施設での取り組み(山口薫)
高校生の暴力に職員のチームワークで取り組んで(永井健)
子育てを通して子どもに教えられたこと——里親歴9か月「ありのままの姿を受け入れる」まで(高松暁子)
児童養護施設における子どもの課題と支援(安形元伸)
エッセイ
先生には言わない……(早苗麻子)
大人の成長の場としての施設(綱川弘樹)
書評
『私はソーシャルワーカー——福祉の現場で働く女性21人の仕事と生活』(二木光子)
『心とことばの起源を探る—文化と認知』(伏見真里子)
『あんぱんまん』(キンダーおはなしえほん傑作選8)(荻由美子)
『しつけと体罰—子どもの内なる力を育てる道すじ』(山田暁美)
『しあわせな明日を信じて——作文集 乳児院・児童養護施設の子どもたち』(吉村譲)
『自殺って言えなかった。』(サンマーク文庫)(伊藤龍仁)
海外の社会福祉事情〈第2回〉
ネグレクト大国アメリカ(山野良一)
児童養護・児童相談に関する新刊リスト
『日本の児童福祉』バックナンバー
BOOKEND
全国児童養護問題研究会(養問研)のご案内
全国児童相談研究会(児相研)のご案内
読者のひろば
編集後記・次号予告
前書きなど
編集後記
昨年のゴールデンウィーク。『子どもと福祉』編集委員は、「多くの人に読んでほしいけど、こんな内容で大丈夫ですかね」「福祉の現場に携わる人、児童福祉に興味のある人に読まれるものになったかな」などと、胸中は創刊号に寄せる期待と不安で緊張の連続でした。
刊行後、編集委員の心配はどこ吹く風で、読者の皆さんに「現場のことがリアルに書かれていて参考になりました」「児童福祉現場に携わる皆さんの“想い”が伝わりました」などの感想を頂戴することとなりました。
読者の皆さん、ありがとうございました。
そして、1年後のゴールデンウィーク。編集委員は「改正、改正、のんびりしていると乗り遅れる、そんな感じですね」「第2号の座談会のテーマはわかるんだけど、ほんとうに最近の変化は半端なもんじゃないね」などと、あれこれ今度は第2号の編集に七転八倒状態です。
養問研と児相研の共同編集誌『子どもと福祉』は幅広く児童福祉に興味のある高校生、大学生、会社員、主婦、医師、教員……、とにかく、児童福祉現場の実情と課題を具体的に伝えることをコンセプトに企画しており、第2号の特集は「児童福祉法と虐待対応」として児童福祉法を巡る状況を振り返ることとしました。
十年一昔。実に重要な改正が行われ、児童家庭福祉の実施体制は大きく変わりました。今回の児童福祉法改正のポイントは、里親制度、要保護児童対策地域協議会の機能強化、家庭支援機能の強化、年長児の自立支援策の見直し、施設内虐待(被措置児童等虐待)の防止などです。『踊る大捜査線』の青島君曰く「事件は会議室で起きてない! 現場で起きてるんだ」のとおり、第2号は創刊号以上に臨場感溢れる現場の実践報告満載となりました。
最後に、編集委員一同、明石書店編集部の深澤孝之さんと神谷万喜子さんには適切なご助言をいただくとともに、多大なご支援を賜りましたことを感謝申し上げます。(佐藤隆司)