目次
監訳者序文 自閉症へのクライン派・タスティンの精神分析アプローチ——自閉症の発達精神病理(木部則雄)
シリーズ編者序文(モニカ・レイニャド,ディディエ・アウゼル)
序章(ディディエ・アウゼル,マリア・ロード)
第1章 自閉症と精神病(アン・アルヴァレズ)
第2章 時間,空間,そしてこころ—自閉症の子どもたちの心理療法(ブリッタ・ブロムバーグ)
第3章 象徴性と具象性—精神病の青年の精神分析的心理療法(ジュリア・ペスタロッチ)
第4章 自閉症児のスプリッティング—心的バイセクシュアリティ(ディディエ・アウゼル)
第5章 「自閉症児のスプリッティング—心的バイセクシュアリティ」への論評(スザンヌ・マイエロ)
第6章 ジュヌヴィエーヴ・ハーグとの会話(欧州精神分析的心理療法機構カン会議 2001年9月/進行:ヘレン・ダビンスキー,アレクサンドル・ダビンスキー)
第7章 レイモンド・カーンとの会話(欧州精神分析的心理療法機構カン会議 2001年9月/進行:フランソワ・マーティ)
参考文献
索引
編者と寄稿者
監訳者と訳者
前書きなど
本書は2001年にフランスのカンにおいて開催された会議の児童期および青年期の精神病・自閉状態への精神分析的心理療法の成果を論じたものである。ここには英国のみならず、欧州の国際的に著名な精神分析の心理臨床家たちの寄稿が掲載され、この主題への独創的な展望を提供している。寄稿者の多くはメラニー・クライン、フランセス・タスティンの業績によって深く影響を受けている。近年、脳の画像化という新しいテクノロジーが登場し、神経生理学と発達心理学の重要な研究が急速に発展してきているが、寄稿者たちはこうした研究結果が優れて援助となり得るものであると気づき、臨床的・理論的に患者を理解する際にそれを生産的に利用している。こうした意味で、本書は難攻不落な自閉症という砦を理解するための新たな精神分析の試みの書である。