目次
緒言
女性研究者支援センターの設立と京都大学の男女共同参画(尾池和夫)
女性研究者の心のよりどころに(松本紘)
女性研究者支援『京都大学モデル』の実践をとおして(稲葉カヨ)
女性研究者に期待する(塩田浩平)
第 I 部 京都大学の挑戦 男女共同参画推進室と女性研究者支援センター
京都大学における男女共同参画のあゆみ(伊藤公雄)
京都大学女性研究者支援センター活動中(登谷美穂子)
病児保育室の活動状況(山中康成/足立壯一)
子育てと女性研究者(江南健志)
京都大学の女性ポストドクター(今田絵里香)
第II部 京都大学の女性たち 世代を超えて
1.史料に見る京都大学の女性たち」(保田その)
2.[パイオニアに聞く]
アイ・プロジェクトの創始者 室伏靖子先生
数学と茶道の融合 大塚香代先生
3.[女性教官懇話会]
京都大学女性教官懇話会の成立と理念(瀬尾芙巳子)
矢野事件のころ(小野和子)
4.[研究者になる!]
迷いながら研究者(松下佳代)
大学の外にも研究職はある(押川文子)
研究者になる(横山美夏)
工学部の女子学生が増え始めた頃(神吉紀世子)
刺激的な研究の世界(新山陽子)
失敗しても後悔しない(松本泰子)
研究に生かされて(鈴木晶子)
女性研究者として生きるためのアドバイス(山根久代)
回り道を重ねて(岩ヵ奈緒子)
好きなことを仕事に(久家慶子)
5.[働きながら介護]
母と私の先の見えない日々(清水慶子)
看取りという仕事(Beruf) 在宅ホスピスの経験を通して(鈴木晶子)
6.[学びながら育児]
めんどり学部活動紹介(前田治子)
第III部 男女共同参画社会と大学
科学分野に女性研究者をリクルートする 分野ごとの解決策(Phoebe S. Leboy)
女たちのネットワーク(坂東昌子)
女性医師のキャリア形成 問題点と支援のためのアクションプラン(武曾恵理)
企業戦略としてのダイバーシティ・マネジメント(内永ゆか子)
しなやかに、たおやかに、そして自分らしく 組織と自身の活性化に向けて(村田恒子)
雇用形態の多様化と処遇格差をどう捉えるか 正社員の画一化から正社員の多様化へ(久本憲夫)
第IV部 データに見る京都大学の男女共同参画
「京都大学男女共同参画推進に関する意識・実態調査」から
京都大学男女共同参画企画推進委員会(落合恵美子編集)
京都大学女性教官に関する実態調査報告書(1984年)
京都大学女性教官懇話会
京都大学女性教員研究状況調査報告(1996年)
京都大学女性教官懇話会
編集後記(登谷美穂子/今田絵里香/落合恵美子)
執筆者一覧
前書きなど
編集後記(一部抜粋)
京都大学女性研究者支援センターができたとき、ほっとしたのを覚えている。京都大学にいると、キャンパスを歩いていても、研究会に出ていても、どこにいても、男の人が多数派だ。それで、わたしはときどき、「わたしはここにいていいんだろうか」と不安になることがあった。センターができたことによって、「あなたはここにいてもいい」と、大学に保障されたように思った。京都大学が、「女の人を支援します」「どうぞ遠慮なく研究に励んでください」と、公然と宣言したわけである。こんなに力強いことはないと思った。
落合恵美子先生に誘っていただき、この本の編集のお手伝いをさせていただくことになった。引き受けたのは、本が刊行されることによって、「大学が応援してくれている」と、一人でもたくさんの女の人が思えるようになってほしいと思ったからだ。もちろん、京都大学に所属していない女の人にも、そして女の人と共に生きようとする男の人にも、京都大学における男女共同参画事業、及び、男女共同参画社会を目指して奮闘する多数の女の人・男の人のことを知ってもらい、「あなたは一人孤独に闘っているのではない」ということを知ってもらいたいと思った。もちろん京都大学の男女共同参画事業には批判すべき点もある。それも含めて、世に問うてみたいと思っている。
(…後略…)