目次
第1章 盲導犬はどんな犬
どんな犬のことを盲導犬というの?
盲導犬にはどんな種類の犬が多いの?
生まれたときから盲導犬になると決まっているの?
盲導犬は普通の犬よりも賢いの?
盲導犬はどこで生まれるの?
子犬のときはどうやって育てるの?
盲導犬はどこで訓練を受けるの?
盲導犬はどんな訓練を受けているの?
何歳から訓練するの? どれくらいの期間で一人前になれるの?
盲導犬は吠えたり噛まないように訓練されているって本当?
盲導犬はなぜ吠えないでいられるの? 吠えないためにどんな教え方をしているの?
盲導犬は噛みつかないというのは本当なの?
盲導犬は騒がずに待っていることが大切なの?
盲導犬は寿命が短いって本当なの?
盲導犬は何歳まで働くの?
引退した盲導犬はどうなるの?
盲導犬になれなかった犬はどうなるの?
盲導犬を使用できるのはどんな人?
視覚障害にはどんな種類があるの?
視覚障害者が外を歩くにはどんな方法があるの?
盲導犬を使用するのはたいへんなの?
盲導犬はどこで手に入るの? 使用者が買うの?
近くに盲導犬育成施設がない人はどうするの?
盲導犬は使用者が好きに選べるの?
訓練を終えた盲導犬は完璧なの?
盲導犬の候補犬はだれにでもすぐになつくの?
第2章 盲導犬と暮らす
盲導犬の世話は使用者が自分でしなければいけないの?
盲導犬はどこで飼うの?
盲導犬はマンションやアパートでも飼えるの?
盲導犬の食事はどんなものなの?
盲導犬の食事にはどんなことに気をつけているの?
盲導犬におやつをあげてはいけないの?
盲導犬の健康にはどんなことに気をつけているの?
睡眠時間はどれくらいなの? 寝るのも使用者といっしょなの?
盲導犬は歩き疲れたりしないの? 散歩に連れていく必要はあるの?
ストレスがたまって言うことをきかなくなったりしないの?
盲導犬の排泄はどのようにしているの?
盲導犬の排泄のコントロールはたいへんなの?
盲導犬はなぜ洋服(ダスターコート)を着用しているの?
盲導犬も人間と同じように毎日お風呂に入るの?
歯を磨いたり、爪を切ったりするのはたいへんじゃないの?
盲導犬は雨に濡れても平気なの?
いつも厳しくしていないと甘えたり普通の犬にもどったりするの?
盲導犬をときには遊んであげることも必要?
盲導犬の気持ちを読み取るコツはあるの?
第3章 盲導犬との歩き方
盲導犬と歩くのに必要な道具はなに?
どうして盲導犬には英語で指示をするの?
盲導犬は行き先までの道順を覚えていて連れていってくれるの?
初めての場所に行って迷ったりしないの?
盲導犬はどうして道の左端を選んで歩くの?
盲導犬は曲がり角をどうやって教えるの?
盲導犬は信号を見分けて教えてくれるの?
階段の上り下りはどうやって教えてくれるの?
盲導犬は自分で危険を判断して使用者に教えたり避けようとするの?
盲導犬は電車のドアに誘導してくれるの?
電車に乗るとどのように待機しているの?
盲導犬は目的の場所の前に来たら教えてくれるの?
盲導犬は自動ドアや回転ドアでも平気? エスカレーターやエレベーターは安全なの?
切符売り場やポストの場所など、どうやって覚えさせるの?
盲導犬は使用者の買い物の手伝いができるの?
盲導犬がいやがる場所はないの?
盲導犬は使用者のために自分を犠牲にすることもあるの?
第4章 盲導犬をとりまく社会
日本には現在何頭ぐらいの盲導犬が活躍しているの?
盲導犬の頭数が多い地域、少ない地域はあるの?
盲導犬の数は必要としている人に足りているの?
盲導犬は視覚障害者の社会参加に貢献しているの?
社会で盲導犬が受け入れられるまでにどんな苦労があるの?
盲導犬を広めるためや、使用者を援助するために活動している人たちがいるの?
学校や職場に盲導犬を連れていってもだいじょうぶ?
盲導犬は汚いから衛生によくないの?
盲導犬は自由を奪われて動物虐待じゃないの?
盲導犬が映画やテレビで有名になったことで理解が広まったの?
盲導犬の使用者に道や場所を聞かれたら?
盲導犬の使用者をいっしょに歩いて誘導してあげるには?
盲導犬の使用者に接するとき、注意することはなに?
盲導犬にしてはいけないことは?
盲導犬の訓練士になるにはどうしたらいいの? 資格や条件があるの?
訓練士以外で盲導犬のために役立てることはなにがあるの?
前書きなど
あとがき
私は、盲導犬はもっとも人間社会で生活することに適応し、順応した動物たちではないかと、つねづね感じています。
それなのに私たち盲導犬使用者は、よく周囲の方に「盲導犬には触れたり、声をかけたり、口笛を吹いたりしてその仕事を邪魔しないでください」と、盲導犬から遠ざけるかのようなお願いをしています。ここでぜひ誤解しないでいただきたいのですが、私たち盲導犬使用者に声をかけていただくのはまったく問題ありません。とくにもし困っている様子を見かけたら、「何かお手伝いしましょうか?」と勇気を持って呼びかけていただければ本当に助かるのです。
ではなぜ仕事中の盲導犬に声をかけないでくださいと繰り返しお願いするかと言うと、文字通り仕事中の盲導犬には使用者の命がかかっているため、盲導犬も真剣に仕事をしなければならないからです。盲導犬は基本的に人が好きで好きでたまりません。またそのような犬でないとよい盲導犬になることができません。だからこそ仕事中の盲導犬を見かけても、声をかけたり、体に触ったり、エサを与えようとして、盲導犬の集中を乱さないであげていただきたいのです。せっかく犬がいろいろな誘惑をがまんして一生懸命仕事をしているというのに、人間のほうががまんできないでいるとしたらどちらが偉いのかわからないことになってしまいますから!! また他人の持ち物や体にむやみに触れないのと同じように、盲導犬は使用者の体の一部と同じですから、むやみに触れないでいただきたいのです。
さて、本文中でもご紹介したように、現在盲導犬の育成は、全国にある九協会一一施設で行われています。しかし、じつはこの九つの協会は、法人が設立された時期や経緯、規模、視覚障害についての考え方、犬の訓練方法や訓練に対する考え方、技術水準など、まったく違う別々の組織なのです。
よくその名前からか「日本盲導犬協会」が各協会を代表し、全国の中心的な役割を果たし、ほかの盲導犬育成施設がその下部組織となっていると勘違いされている方が多いのですが、日本盲導犬協会を含めて国立の機関はなく、すべてが独立した対等な民間の特定公益増進法人です。
また盲導犬が行う仕事についても、ある育成施設では道の左側通行だけでなく右側歩行を行っていたり、一頭の盲導犬を夫婦や親子で使用するタンデムと呼ばれる方法を教えているところ、仕事を教えるときに犬にごほうびを与えているところなどさまざまです。また盲導犬と白杖(はくじょう)の併用を勧めているところや、初めての場所には盲導犬と出かけないほうが安全だとしているところ、犬のストレスになるので盲導犬を叱ってはいけないとしているところ、危険なため全盲者には原則として盲導犬を与えないとしているところ、できるかぎり盲導犬と使用者だけで外出するのではなく、介助者といっしょに外出することを推奨しているところまであり、とてもひとくくりにはまとめられません。
このような理由から、とてもすべての育成施設について網羅的にご紹介することはできないため、本書は筆者が卒業したアイメイト協会を基準に執筆しています。ただ筆者は本書をアイメイト協会から委託されて執筆したわけではありませんし、本書を通じてアイメイト協会だけのPRをしようとしているわけでももちろんありません。筆者としては、本書を通じて純粋に盲導犬の現状を一人でも多くの方に知っていただきたいだけです。
一般の読者の方にはまったく関係ないことを長々と書いてしまいましたが、そのような理由から、これまで盲導犬に関する全般的なことを紹介した本があまり発行されてこなかったのだと思います。そこで私は今までに『盲導犬ハンドブック』(文藝春秋、二〇〇二年)や『わかる! 盲導犬のすべて——138のQ&Aで疑問に答えます』(明石書店、二〇〇四年)を執筆して来ました。
そして今回、盲導犬に関する解説書としては三冊目に当たる本書を読者の皆さんにお届けできることになりました。
私は今までに三頭の盲導犬といっしょに生活してきましたが、「盲導犬はすばらしい!」と実体験から本当に感じ、本書を執筆しました。
本書を通して一人でも多くの方が、盲導犬と私たち使用者が置かれている現状について正しくご理解いただき、今後ますますのご協力をいただければと願っています。そして本書が読者の方の盲導犬について理解していただくための一助となれば幸いです。
平成一九年七月 著者