目次
一 地方自治体による侵害
二 報道・出版機関による侵害
三 医療機関による侵害
四 教育機関による侵害
五 企業・団体による侵害
六 個人・近隣による侵害
七 戦前の国家政策等による人権問題
八 戦後補償問題
九 国際的人権問題
前書きなど
刊行にあたり
この度、一九五〇年以来今日まで、当連合会が人権侵犯事案について勧告・要望等を行った事例集が、全五巻に分冊して刊行される。第一巻から第三巻までは、当連合会が一九七七年と一九八七年に「人権事件警告・要望例集」(当連合会人権擁護委員会編)としてまとめたものの復刻版であるが、特に第二巻、第三巻については、広く一般の読者に普及させるためのものとしては初めての出版になる。そして、第四巻、第五巻については、この度の出版を機会に、一九八八年以降の事例を新たに編集し収録している。戦後新たな民主国家として出発して六〇年を経た今、本事例集が刊行され、これまでの人権侵犯事例の全歴史を振り返ることができることは、大変意義深いことと考えている。
本書を手に取られた方は、膨大な数の人権侵犯事例を目の前にし、人権擁護と社会正義の実現を使命とする当連合会が、変化の激しい社会で生じる多種多様な人権侵犯事案に、常に光を当ててきたことを理解していただけると思う。当連合会も、過去の活動を改めて振り返り、多様な価値観が尊重される現代社会において益々重要になるその役割を自覚し、今後も人権擁護のため不断の努力を行う決意を新たにしたところである。
本事例集の刊行は、数々の解決困難な人権侵犯事案を調査・研究し、報告書をまとめられた歴代の人権擁護委員の努力なくしてはあり得なかった。関係者各位に心から感謝と敬意を表する次第である。本書が多くの人に活用され、新世紀における人権擁護活動の指針となることを期待する。
二〇〇五年一〇月
日本弁護士連合会
会長 梶谷 剛