目次
まえがき
序 章 憲法が息づく社会を(福島みずほ)
第1章 家族のなかの私
1 少子高齢化社会にみる「嫁学」(樋口恵子)
2 結婚・離婚そして私の家族(安藤幸一)
3 家族のかたちと国のかたち(舟橋 正)
4 家族の「治外法権化」を止めよう(大村芳昭)
5 一人ひとりを大切に(本多須美子)
6 女性の頼もしい味方(吉野靜恵)
7 家族の崩壊に手を貸す「改悪」(大友康博)
8 「男女共生社会」を築こう(小針英子)
9 新たな親密圏のあり方——憲法二四条の意味するところ(中里見博)
10 健やかに子どもが育つために(倉形玲子)
第2章 男女平等への道しるべ
1 日本の憲法は世界のモデル——私が書いた二四条(ベアテ・シロタ・ゴードン)
2 「男女平等」を探して(佐藤香代)
3 私たちのための憲法であり続けてほしい(宇敷香津美)
4 目に見えない二つの道(紙田智美)
5 生活スタイル権(伊藤忠良)
6 男女ともに働きやすい社会を(遠藤みち)
7 二四条は女四代の夢と希望(飛鳥井佳子)
8 本当に変えるべきもの(石田知花)
9 家族の崩壊を促さないために(大友優子)
10 平等の精神を子どものうちから伝えよう(萩谷孚彦)
11 男女平等は一人ひとりの幸せ(森本亜希子)
12 両性の平等は私たちの砦(樋口典子)
13 平等をかたちに(卯月佳子)
14 憲法を英文で読んで育てる「主権者教育」(成田智志)
15 軽くて、柔軟で、温かい翼(鈴木秀洋)
第3章 家制度への挑戦と家族のこれから
1 戸籍と家族(榊原富士子)
2 戸籍のない米国で生まれた子どもを持って(松井佳代子)
3 憲法から民法への贈り物(二宮周平)
4 家制度に翻弄された母の人生(金田はるの)
5 民法改正(鍛冶千鶴子)
6 夫婦別姓は男女平等への試金石(坂本洋子)
7 別姓で取り戻した私の結婚(山川さくら)
8 二四条に後押しされた私の結婚(渋谷正子)
9 母への悔恨(中村興子)
10 非暴力を貫く——希望を持ち続けるために(戒能民江)
第4章 個人のライフスタイルを支えて
1 個人の生き方にペナルティを課す「独身税」という発想(斎藤貴男)
2 「依存症」で葛藤する私たちの道しるべ(衿野未矢)
3 非婚のシングルマザー・婚外子と個人の尊厳(赤石千衣子)
4 自由な家族生活・個人生活を(平岡章夫)
5 同性愛者の家族の価値(永易至文)
6 同性のパートナーシップを考えよう(尾辻かな子)
7 自分らしさを大切に(小野寺さよ子)
8 愛しい女性たちのあゆみ(椎野和枝)
9 無名の人々こそ憲法にコミットしよう(大塚英志)
第5章 バックラッシュをこえて
1 なぜ男女平等規定が狙われるのか(竹信三恵子)
2 「憲法二四条」改定への七つの疑問(松本侑子)
3 「オレがしあわせにしてやる!」って言われても……——「改憲くん」に黙ってついていけない理由(本山央子)
4 なぜジェンダーフリーバッシングが起きているのか(橋本ヒロ子)
5 「二四条」のあとさき(久保田眞苗)
6 宝物を託された我々が、今すべきこと(沼井哲男)
第6章 平和を愛する
1 戦争と差別の時代を生きて(清水澄子)
2 父の遺骨を母のそばに置いてやりたい(田中 圀)
3 昭和二〇年に生まれて(山下清子)
4 平和と平等は手を携えてやって来る(山内惠子)
5 「普通の近代国家」を超えるプロジェクトとしての日本国憲法——九条と二四条の一体的把握(君島東彦)
6 平和と平等のシンボル(尾崎かおる)
7 国家主義への道へ戻らぬために(輿那覇武)
8 二四条と九条の改憲は許さない(吉武輝子)
あとがき
資料
年表
前書きなど
まえがき 憲法二四条というと、みなさんは何を思いつくでしょうか。 憲法というと遠いなあと思う人もいらっしゃるでしょうし、二四条って何だったっけと思われる人もいるでしょう。 でも、憲法が、家族のなかの個人の尊厳と男女平等を規定し、戦前の家制度などを変えるために大きな役割を果たしてきたと聞くと、うーんと身近になるのではないでしょうか。 最近、立法されたドメスティック・バイオレンス防止法(DV防止法)なども憲法二四条の趣旨からもできたものであるとか、選択的夫婦別姓の導入や、婚外子差別撤廃や、子どもの権利なども、憲法二四条と関係があると聞くと、これまたうーんと憲法二四条が身近になるのではないでしょうか。 ところで、憲法改正の議論のなかで、この憲法二四条改正の提案が出てきて、びっくりし、かつ怒っています。 とんでもありません。 戦後積み上げてきたさまざまなものを、ぶち壊していこうという提案なのですから。 憲法二四条の明文の見直しだけでなく、憲法前文に、日本の文化と伝統を担うものとして家族を位置づけるべきだという提案もなされています。 戦争をしないと定めた憲法九条を変えて、戦争のできる国にするためには、「家族のなかの個人の尊厳と男女平等」ではなく、「国家のための家族」にする必要があるのだということも痛感しています。 また、憲法二四条の見直しの提案は、男女平等の動きに対するバッシングとも関連があります。 これは大変だということで、憲法二四条の意義を確認し、二四条改正の動きにストップをかけようとの動きも広がっています。 そこで、『みんなの憲法二四条』という本を作ろうと思いたちました。 「私の憲法二四条」を集めたら「みんなの憲法二四条」になります。 ベアテ・シロタ・ゴードンさんにも頼もうと、企画はどんどん広がっていきました。 また、「みんなの憲法二四条」なのだから、年齢、性別、有名無名を一切問わず、原稿を公募しようということになりました。 多くの新聞が取り上げてくれて、公募の原稿がどんどん集まりました。一通、一通に、思いが込められていて、一時は、全部掲載しようかとも思ったくらいです。しかし、公募原稿だけで、七〇通以上も集まったので、全部掲載をすると、ぶ厚い本になってしまいますので、一部しか掲載できなかったことは本当に残念です。 本作りを通して、改めて、「みんなの憲法」ということをヒシヒシと感じました。 この本は、さまざまな立場から「私の二四条」を語ってもらいました。 第1章「家族のなかの私」では、樋口恵子さん、憲法学者の中里見博さんに書いてもらいました。 第2章「男女平等への道しるべ」では、ニューヨーク在住のベアテ・シロタ・ゴードンさんに書いてもらいました。 第3章「家制度への挑戦と家族のこれから」では、弁護士の榊原富士子さんと民法学者の二宮周平さんに、憲法や民法、戸籍などとの関係を、坂本洋子さんには選択的夫婦別姓の導入について書いてもらいました。また、鍛冶千鶴子さんが、一九八四年に『女の戦後史1 昭和二〇年代』の本のなかで書かれた文章も再録しました。戦前、戦後の動きがコンパクトによくわかると思います。戒能民江さんには、二四条を暴力の関係から論じてもらいました。 第4章「個人のライフスタイルを支えて」では、斎藤貴男さんに独身税の話を、作家の衿野未矢さんには、「依存症」で葛藤する女性たちの話を書いてもらいました。ゲイの問題に取り組む永易至文さん、シングルマザーの問題に取り組む赤石千衣子さんは、いわゆるマイノリティの立場から二四条を論じています。まんが原作者の大塚英志さんの切り口も楽しんでください。 第5章「バックラッシュをこえて」では、竹信三恵子さんが、憲法二四条の見直しがされていることを生き生きと語っています。作家の松本侑子さんには、改憲への疑問点をわかりやすく書いてもらいました。二四条を変えさせない運動をしている本山央子さん、ジェンダーフリーバッシングに詳しい橋本ヒロ子さん、「憲法」を愛する女性ネットの久保田眞苗さんにも論じてもらいました。 第6章「平和を愛する」では、女性運動を実践する清水澄子さん、憲法学者の君島東彦さん、作家の吉武輝子さんには、九条と二四条について書いてもらいました。 そして、これらの各章には、公募に寄せてくださった人たちのたくさんの文章が、宝石のように輝いています。 若い人、戦前の家族を知っている人、男性、女性、マイノリティのそれぞれの立場から、その人にしか書けない思いや体験を書いてくれています。 こんなに豊かに、こんなに多角的に、こんなに激しく、こんなに切々と二四条を語れるのだと、私は嬉しくなりました。 どうかあなたも「私の憲法二四条」を考えてみてください。