目次
まえがき〔松園万亀雄〕
『世界民族モノ図鑑』エリア・マップ
1 身につける
ウリチ族の女性用晴れ着/クリールアイヌの鳥皮衣/クリールアイヌの腰帯/トリンギット族の儀礼用マント/ニヴフのアザラシ皮上衣/マオリの外套/ルカイの衣服/モンゴルの頭飾りと髪飾り/オーストラリアの真珠貝のペンダント/アイヌの首飾り/モンゴルの男性用長靴と靴下/フランスの女性用木靴/バイニング族の仮面/メキシコのトラ仮面
コラム1 ティンガティンガ
2 たべる・いれる
ニューギニアの食物貯蔵用土器/アベラム族の装飾土器/ピーロ族の土器/アコマの彩色文土器/ティモール島の彩色土器/ペルーのかざりヒョウタン/カメルーンのヒョウタン製容器/ニューギニアの食物用木鉢/古代アンデスの酒器/彝(イ)族の漆器/イスファハンの大やかん/イランの托鉢用鉢/ナナイ族のシラカバ皮製容器/アイヌの煙草(たばこ)入れとキセル差し/ウイルタの煙草(たばこ)入れと財布/アンデスのコカいれ袋と腰帯/レガ族の呪医の薬袋/カプシキ族の小物いれ/セネガルのブリキ製かばん
コラム2 サルワの板絵
3 はたらく・たたかう
イランの天秤(てんびん)ばかり/フィンランドのウマの軛(くびき)/日本の背中あて/フランスのブドウつぶし機/フィンランドの糸取り棒/マオリの倉庫/トルコの脱穀具/ニューギニアの盾(1)/ニューギニアの盾(2)/ニューギニアの盾(3)/ボルネオ島の盾/ソロモン諸島戦闘用船首かざり/戦闘部隊アサフォの軍旗
コラム3 焼きもの「屋根の教会」
4 かなでる・あそぶ
トンバックの寄せ木細工/日本の振鼓(ふりつづみ)/ソロモン諸島の砂時計型太鼓/ウイルタのシャマン太鼓/ラテンアメリカのハープ、アルパ/カイロのカーヌーン/カメルーンの親指ピアノ/馬頭琴(ばとうきん)/アフガニスタンのヒチャック/ボリビアのチャランゴ/ジャワの影絵人形/インドの影絵人形/ミャンマーのあやつり人形/マレーシアの凧
コラム4 フォン族の綿織物
5 すまう
江南の農家/モンゴルの天幕/日本の大和棟(やまとむね)民家/サモアの民家/サマルカンドの女性の部屋/インド民家の壁画/ザンジバルの扉/バンソ王国の扉枠/カティ族の入り口かざり/カザフの天幕のかざり帯/タジクの壁かけ/アスマット族のかざり板/カメルーンのついたて/キルギスのじゅうたん/エジプトの装飾ランプ/エチオピアのインジェラ用テーブル/フォン族の壁かざり/ラム島のイス
コラム5 イヌイットのタペストリー
6 うまれる・とつぐ・とむらう
カヤン族の赤ん坊背負い具/朝鮮半島の子ども用晴れ着のたびと靴/ノルウェーの乳母車/イアトムル族の仮面/クバ王国の仮面/ペンデ族の仮面/ズールーのビーズ製ケープ/グジャラートの花嫁衣装/タジクの花嫁衣装/韓国の婚礼衣装/ボルネオ島の婚礼用肩かけ籠/北西インドの婚礼用刺しゅう飾り/マランガン彫刻/ニューアイルランド島の仮面/沖縄の厨子甕(ずしがめ)/トバ・バタック族の柩(ひつぎ)/ルーマニアの墓標
コラム6 毛糸絵「聖地ウィリクタへの旅」
7 のる・いどうする
ヤミ(タオ)の舟/マドゥラ島の漁船/サンタン船/カナダの丸木舟/ブーゲンヴィル島の櫂(かい)/トロブリアンド諸島のカヌー船首飾り/ヤムナ島のカヌー船首飾り/タイの牛車/フィリピンの乗り合いバス、ジープニー/インドのオート・リキシャ
コラム7 砂絵「七人姉妹の物語」
8 いのる
インドの山車(だし)/ジャガンナータの山車(だし)/踊るシヴァ神像/ブータンの携帯用仏壇/韓国の聖母子像/エチオピアの十字架/エチオピアの石板製十字架と石刻画/エジプトのコーラン用キャビネット/カメルーンのコーランを学ぶ筆記用具/イランのコーラン台/ハイダの祭儀用壁飾り/カアバ神殿の垂れ幕/ヒンドゥー儀礼の灯明台/ボリビアのエケコ人形
コラム8 北部タイの経文箱
9 魔をはらう
イバン族のサイチョウ像/ニューギニアのワニの彫刻/沖縄のヤカジ/タジクのお守りいれ/アラペシュ族のマグサ(木へんに眉)/トゥカノ族の仮面/モートロック諸島の仮面/ニューギニアの神像つきのイス/コロンビアの大耳つき仮面オレホン/道祖神の仮面/ポルトガルの装飾用聖壇と行列人形/アチック・コレクションのだるま/イボ族の彫像
コラム9 石製彫刻「我が精霊と踊る」
あとがき〔印東道子〕
執筆者紹介
前書きなど
まえがき 『月刊みんぱく』は、創刊号から二〇〇四年三月号まで、国立民族学博物館(みんぱく)の所蔵品を中心にしたさまざまな「もの」の表情を表紙にしてきました。 そこには、世界の人びとの手になるおおらかで素朴なもの、精妙な技法がつくりあげた細工品など、豊潤な色調の造形美が雅趣あふれる写真で紹介され、雑誌の顔になってきました。 それぞれの写真には、文化人類学者のくわしい解説がついています。「みんぱく」を中心とする文化人類学者たちが、現地での興味ぶかい体験談をちりばめながら、それがどの社会のどんな人によって制作され、どのようにつかわれてきたのか、実用的な用途、象徴的な意味合いなどを、わかりやすく解説しています。これらの写真と解説を『月刊みんぱく』の表紙の役目だけで終わらせてしまうのは、じつに惜しい。 ひとつひとつの展示標本が実際に作られ、つかわれた現場を想像してみましょう。すると、その「もの」から人の暮らしのありようがパノラマのようにわたしたちの心に向けて放射されてきます。博物館というのは、たずねたこともない、ちょっとしか知らない遠くの人々の人生について、わたしたちの想像力を鍛錬してくれる場なのです。「みんぱく」には世界の諸民族が日常的につかってきた生活道具がたくさん展示されていますから、なおいっそう、そのことがあてはまるといえます。わたしたちは小さいときから、遊びや仕事のなかでいろんな道具に慣れ親しんで育ってきました。だから、ほかの民族の道具や生活用品を目にしても、製法や用途や自然環境と人との関係など、あるていどのことは想像することができるのです。 このたび、その表紙写真のなかから約一四〇点を選んで、単行本にすることになりました。意表をつく形や配色の味わいを堪能し、その背景にある精神のはたらきの共通性や摩訶不思議を想像しながら、この図鑑を世界各地でくりひろげられている多彩な生活世界への案内板として役立てていただきたい、というのが本書刊行のねらいです。二〇〇四年一一月国立民族学博物館館長 松園万亀雄