目次
第1章 多文化社会とマイノリティ
メルティングポット・サラダボウル/公民権運動/アファーマティブ・アクション/黒人奴隷制度/日系アメリカ人/アパルトヘイト/難民/被差別部落/セクシュアル・マイノリティ
関連用語
アメリカ合衆国/合州国 カミングアウト 国内避難民(IDP) ジム・クロウ 人種分離主義 戦時日系人強制収容賠償補償請求運動 排日移民法 ポジティブ・アクション マイノリティ ワスプ
参考文献・資料
第2章 移民と日本人
移民国家/日本人移民/ハワイ移民/アメリカ移民/ブラジル移民/一世・二世・三世/移民政策
関連用語
棄民政策 出移民/入移民 植民 蒼氓(そうぼう) 出稼ぎ・デカセギ プッシュ要因/プル要因
参考文献・資料
第3章 在日外国人
在日コリアン/中国帰国者/日系ブラジル人/留学生・就学生/研修生/国際結婚/DV/難民政策
関連用語
アフガン難民一斉収容 印僑 ODP(合法出国計画) 華僑・華人 帰化 在留特別許可 中国・瀋陽事件(日本総領事館駆け込み事件) ハーフ/ダブル
参考文献・資料
第4章 教育
識字/夜間中学/日本語教育/民族学校/ニューカマーの子どもたちの教育/バイリンガル教育/開発教育
関連用語
一条校 加配 義務教育 センター校 中華学校 特別枠入試 日本語教育能力検定試験 日本語教室 日本語能力検定試験 入試特別措置 阪神教育事件(4.24阪神教育闘争) ブラジル人学校
参考文献・資料
第5章 政府・自治体
自治体の外国人施策/医療保険制度/社会保障法と外国人/公務員の国籍条項/外国人の参政権/外国人登録/在留資格/戸籍/ODA
関連用語
外国人市民代表者会議 外国人集住都市会議 国際NGO 国際連合(国連)国籍法 JICA(国際協力機構) 重国籍 出入国管理及び難民認定法(入管法) 多文化共生社会基本法案 「地域共生」についての浜松宣言及び提言 難民条約
参考文献・資料
第6章 市民運動・NPO
戦後補償/民族差別と市民運動/外国人労働者/市民・市民権/阪神淡路大震災と外国人/ボランティア/エンパワーメント/NGO・NPO
関連用語
外国人地震情報センター サードセクター 三国人発言 税制優遇措置 多言語放送局 特定非営利活動促進法(NPO法) パブリック・コメント
参考文献・資料
資料編
資料1 G7諸国における1951年難民条約の適用
資料2 世界150ヶ国での難民受け入れ数 比較
資料3 2001年難民認定の一次審査における認定率
資料4 セクシュアル・マイノリティに関する動き
資料5 国際結婚の夫または妻の国籍
資料6 DV関連年表
資料7 女性差別撤廃条約第4回及び第5回報告書に対する委員会の最終コメント
資料8 DV被害者が外国人の場合の通報義務の解釈について
資料9 医療保険制度
資料10 在留資格一覧
資料11 在留資格別外国人登録者数の推移
資料12 国籍(出身地)別外国人登録者数の推移
「多文化共生」関係法令等一覧
1 国際連合憲章[抄]
2 世界人権宣言[抄]
3 経済的、社会的及び文化的権利に関する国際規約(社会権規約)[抄]
4 市民的及び政治的権利に関する国際規約(自由権規約)[抄]
5 あらゆる形態の人種差別の撤廃に関する国際条約(人種差別撤廃条約)[抄]
6 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約(女性差別撤廃条約)[抄]
7 児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)[抄]
8 難民の地位に関する条約[抄]
9 日本国憲法[抄]
10 国籍法[抄]
11 出入国管理及び難民認定法(入管法)[抄]
12 外国人登録法[抄]
13 法例[抄]
14 地方自治法[抄]
15 健康保険法[抄]
16 国民健康保険法[抄]
17 生活保護法[抄]
18 教育基本法[抄]
19 学校教育法[抄]
20 外国人に対する国民健康保険の適用について(1992年3月31日厚生省保健局国民健康保険課長通知)
21 「地域共生」についての浜松宣言(2001年10月19日)[抄]
前書きなど
はじめに 私たちがこの本をまとめようと考えたきっかけは、多文化共生センターの討論の中で、皆何気なく使っていることばが、ひとりひとりまったくとらえ方がちがっていたことが明らかになったことにあります。ことに外国から「輸入」されたことばなどは、意味そのものに共通理解がないことが多く、長い間互いに大きな誤解をしていたことに気づかないということもありました。 そうした中で、2003年初頭から関西を中心に各地のボランティアやスタッフの有志が集まり、日常活動の中で多く使われることばの共通理解を得て互いに確認をするために用語集作成プロジェクトを立ち上げることになりました。最終的には、7人の編集委員が集まり、1年以上にわたって毎月2回定期的にミーティングをもち、試行錯誤、討議を重ねた結果がこの『多文化共生キーワード事典』です。 本来、用語集として始まったこのプロジェクトに、「事典」という身に余るタイトルを冠したのは、私たちが今回の出版を単なる出発点ととらえており、今後も定期的に改訂版を出すことによって、自主的な市民活動の必要不可欠なツールとして育てていくことを、大きな将来的目標と考えているからです。 多文化共生センターの前身は、1995年の阪神淡路大震災に際し、被災した外国人への情報提供を行うために設立された「外国人地震情報センター」という同年10月に創立された特定非営利活動法人(NPO)です。現在、大阪、京都、兵庫、広島、東京にその拠点を置き、多文化・多民族、多様な人びとが互いに学びあい、ともに豊かに生きることのできる社会をめざして様々な活動を展開しています。今回のプロジェクトは、こうした地方の活動を横につなぐ役割も果たしてきたと言えます。「事典」の名称を、センターの名前から取ったということも、そうした経緯の中では自然の流れだったように思います。そして、上述しましたように、この「事典」が多文化共生センターという1つの団体を大きくこえて、草の根の市民活動全体にとって有用なツールとしての広がりをもった出版活動になっていくことを、私たちは心から願っています。 多文化共生ということばは、実は1冊の本では語りつくせない多彩で深い内容をもっていることは明らかです。本来ならば、「多文化」と「共生」、あるいは、「多文化共生」そのものを、キーワードとして取り上げるべきですが、私たちはあえてこの「事典」全体を通して、これらのことばの内実を考えていくことにしました。そのために、「事典」でありながら、章立て構成をすることによって内容的な流れを作り、この大きな課題を追求することにしたのです。 全体の構成としては、第1章「多文化社会とマイノリティ」、第2章「移民と日本人」では国際的な人の流れによって生みだされる新しい社会のあり方、いわば多文化社会や移民に焦点を合わせています。第3章「在日外国人」、第4章「教育」では、日本国内における「国際化」に関連する用語を集めました。中でも、教育の問題は、もっとも重要な分野だという理解から1つの章すべてをこれにあてています。第5章「政府・自治体」では、そうした社会の変化に対する、自治体の在日外国人施策など行政側からの対応をまとめ、そして、第6章「市民運動・NPO」では、私たち市民活動の立場からの取り組みや、その課題と展望に関わる用語を集めています。 「事典」というかたい名前はついていますが、この本が内容的にはひとつひとつ楽しんで読める「読み物」となることを私たちはめざしました。そして、上述しましたように、その読み物はまだ始まったばかりです。同時にこの「事典」は、私たちの中に存在する様々な「ちがい」を、「豊かさ」に変えていこうとする人びとにとって、ほんとうに役に立つコミュニケーションの道具となることもめざしています。それは、時代の進展とともに新しいキーワードを付け加え、進化し続けていく道具です。まだまだ未熟な「事典」ですが、ともかく創刊号です。これを読み、このプロジェクトに参加してみたいという方を私たちは心から歓迎します。より多くの人の手で、多文化共生の内実をひとつひとつ確認し、新しい時代の創造に参画していくきっかけになれば、と願っています。2004年5月1日編集委員会を代表して 安藤 幸一