目次
第1章 ラーメンの源流
(1)メソポタミア文明
(2)麺ロード
(3)中国で「麺」誕生
(4)日本の麺文化史
(5)屋台と中国人
第2章 ラーメンの誕生と広がり
(1)ラーメンの誕生[1]
(2)ラーメンの誕生[2]
(3)即席ラーメン
(4)国民食
(5)現代の屋台
第3章 ラーメンの分類
(1)総説
(2)スープによる分類
(3)麺による分類
(4)トッピングの多彩さ
(5)郷土ラーメン(ご当地ラーメン)
(6)地域ラーメン
(7)ニューウェーブから前衛派まで
(8)ラーメンのきょうだいたち
第4章 アジアの麺文化
(1)麺文化と箸とアジアのアイデンティティー
(2)アジア各地の麺料理
第5章 ラーメンのいとこ《餃子》
(1)アフガニスタン生まれの餃子
(2)中国の餃子食文化史
(3)ロシアとイタリアの餃子
(4)水餃子・焼き餃子
第6章 ホモ・ラーメンズ
(1)社会学的概念
(2)人はなぜラーメンにひかれるのか
(3)ラーメン賞味法
(4)雑誌やグルメ本にみる評語
(5)ラーメンの嗜好傾向
第7章 ラーメンと文芸作品
A 小説
(1)井上光晴『ラーメン・パパの話』
(2)井上光晴『ラーメンおじさん』
(3)村松友ミ(示+見)『雪と風鈴』
(4)向田邦子『阿修羅のごとく』(「虞美人草」)
(5)その他の小説類
B 随筆
(1)安度眩『ラーメン礼賛』
(2)その他
C 短歌・俳句・川柳
(1)短歌
(2)俳句
(3)川柳
D 映画
(1)小津安二郎『一人息子』
(2)小津安二郎『お茶漬の味』
(3)その他の映画
E 歌謡曲
(1)『チャルメラそば屋』
(2)『ラーメンどんぶり流れ唄』
(3)『ラーメン天国』
(4)その他
第8章 ラーメンの健康学
(1)栄養価値
(2)マイナス要素への対応
(3)疾病とラーメン
第9章 ラーメン店の経営
(1)ベンチャービジネス
(2)起業のプロセス
(3)起業と経営
(4)コンサルタントへの相談
(5)フランチャイズ制
(6)自己資金のない場合
(7)市場規模
(8)海外のラーメン店
第10章 外食産業
(1)「外食」の概念
(2)市場規模
(3)ビッグビジネス
(4)成長
第11章 ラーメンの文化経済学
A ラーメンによる町(村)おこし
(1)町(村)おこしとは何か
(2)町(村)おこしの基礎概念
(3)町(村)おこしの実践
(4)文化としてのラーメン
(5)ラーメンによる町(村)おこしの実例
(6)ラーメンのテーマ施設と催事
B 文化経済学
(1)経済学の歴史
(2)文化経済学の誕生
第12章 ラーメンが拓く未来
(1)進化するラーメン
(2)飛べ! ラーメン
(3)スローフードとラーメン
(4)結びに代えて
前書きなど
「ラーメン」を論じたい。 アジアに特有の麺文化の中でラーメンは最も元気があり、代表とするにふさわしいからである。 ラーメンに関する歴史・概念・内容・分類・賞味・表現・参画・経済・展望を、正面から、あるいはからめ手から取り上げていく。これらの知見が一つの考え(信念)に貫かれた体系をなしていると認められるなら、文化麺類学の一部門としての「ラーメン学」が成立することになる。もとよりそれを期してのことである。 「一つの考え」とは、「ラーメンがすぐれて文化を体現した食べ物であり、社会や経済に影響を及ぼしつつある」という認識と、今後「麺文化全体をリードして交流の輪を広げるとともに、世界の食料事情の帰趨にもかかわってくるであろう」という展望である。 また、ラーメンを通して読み取ることのできるさまざまな人生相・社会相がある。その中から本質的なものを抽出して考察したい。素材が普遍的なものだけに共感を得やすいという利点がある。 ラーメンはしばらく麺類全体のリード役であり続けるであろう。したがってラーメンを論ずることは文化麺類学の大宗を論じることでもある。学祖石毛直道先生を差し置いて気後れしないでもないが、勇を鼓して進めてみたい。 なお、文中「支那」や「朝鮮」の語をそのまま記すことがある。当時使われていたという歴史的事実として諒解されることを願う。まえがき 著者