目次
序 章 障害者福祉の動向
第1節 措置制度から利用制度への転換
第2節 障害者基本計画
第3節 重点施策実施5ヶ年計画
第4節 いくつかの問題点
第5節 支援費制度への移行
第1章 現代社会と障害者福祉概念
第1節 障害の概念
第2節 家族と障害者
第3節 社会と障害者
第2章 ノーマライゼーション思想とその展開
第1節 ノーマライゼーション思想の源流
第2節 ノーマライゼーション思想の展開
第3節 イタリアの障害者教育
第3章 障害者の実態とその援助
第1節 実態の把握の方法
第2節 具体的内容
第4章 障害者福祉の行政と法制度
第1節 障害者基本法
第2節 リハビリテーション
第3節 障害児福祉サービスの体系と内容
第4節 法による施策
第5章 障害者福祉とNPO活動
第1節 障害者福祉における民間活動の意義
第2節 自立生活センターが提供する福祉サービス
第3節 知的障害者更生施設と共同作業所の事例
第6章 保健・医療・福祉の連携と援助活動
第1節 組織・専門職
第2節 連携のあり方
第3節 障害者福祉におけるサポートシステム─障害者に対する相談援助活動
第4節 援助過程の具体的事例
第7章 障害者の権利擁護(アドボカシー)
第1節 権利擁護の必要性とその背景
第2節 わが国における権利擁護の取り組みとその経緯
第3節 アドボカシーの実際と今後の課題
《編者以外の著者一覧》
清野佶成、阪田憲二郎、落合俊郎、松山光生、川住隆一、山本昌邦、岩切昌宏、和泉秀雄、新崎国広、大池幸一郎、中井滋、石橋正浩、田中誉樹、小野真由美
前書きなど
障害者福祉における制度は、2003(平成15)年4月から支援費支給制度へと移行した。 障害者にとってこの制度が、本当に有益なものになるのであろうか? 必要なときに、いつでもどこでもだれでも、適切な福祉サービスが受けられるのか? 社会情勢と相まって、福祉サービスは充分に受け取れる状態なのか? 介護保険制度とは、どのように関連してくのか? 多くの疑問が湧いてくる。 我々は今から『障害者福祉概説』を学ぶ。それぞれの章が、独立して構成されているので、1章ずつ、前から進めてもよいし、途中から学び進めてもよい。本書を手にした人のなかにはボランティア活動等に参加している人も多いことであろう。障害者の生活問題とは、何か? この人にとって、今何が必要なのか? この本を参考にしながら考えてほしい。答えは、すぐには見つからないかもしれない。しかし、考えるきっかけを見つけてほしい。 本書は章ごとに一人の執筆者とせず、各分野での専門家を選んで執筆してもらった。そのため、論調がやや不統一で、力点に多少のずれが生じているかもしれない。しかし、執筆者はいずれも専門的に研究しつづけ、その分野の第一線で活躍している。実践を何よりも大事に考え、その人々から学びつづけている者である。 キーワードをもりこみながら、障害者福祉の現状を事実に基づいて述べる者。当該の分野を歴史的な足跡をたどりながら、体系的に述べる者。海外の動向に視点をおいて、わが国の障害者福祉の現状と課題を分析する者。その執筆内容は迫真性を帯び、読む者をひきつけるものと確信する。 1990年代以降、障害者福祉に関する重要な法や制度の改正がつづいている。細心の注意を払い、最新の情報を掲載するように努めたが、旧来の事実の記述があるため、混乱の恐れもある。きたんのない批判・ご指摘を編著者までいただければ幸甚である。 もちろん本書は、「社会福祉士養成講座」の分野の出題基準の項目にも沿って編集されている。索引の用語などを活用して、学習を進めていってほしい。 自分自身が障害をどのように見るのか? 障害をもって自分の人生を全うするとはどんなことか? 障害そのものを問うのではない。障害の問題は、社会的な問題なのである。はじめに 編著者