目次
はじめに
1 チャイルドラインってどんなことしているの?
2 チャイルドラインとは? 堀正嗣・つばさ
3 悩みに出会う・自分に気づく 住友剛
4 受け手が体験する「ゆらぎ」 笹倉千佳弘
5 子どもたちからみたチャイルドラインOSAKA
6 電話というメディア空間で子どもと出会う 井上寿美
7 受け手のためのQ&A
子ども情報研究センターへのお誘い
チャイルドライン全国の仲間たち
資料
おわりに
前書きなど
チャイルドラインを知っていますか? うれしくて誰かに話したくてたまらないとき、話し相手がほしいなと思ったとき、不安や恐怖でどうしたらいいかわからないとき、あなたは、誰に気もちを伝えてきましたか。友だち? 親? 先生? おばあちゃん? おじいちゃん? となりのおばちゃん? チャイルドライン? そう、チャイルドラインは、子どもが話したいと思ったことをありのまま話していい“子どものための電話”です。 思い出してみてください。「たすけて!!」と声をあげたとき、それを問題だと決めつけたり、規制・管理しようとしたり、治してあげようとさえするおとなはいなかったでしょうか? 勇気を出して話をしたのに、「生意気だ」「子どもは黙ってなさい」「そんなことぐらいで悩んでどうするの」「あなたにも悪いところがあったんじゃない?」「とにかくガンバレ!!」って言われて、「こんなことだったら言わなければよかった」と思ったりしたことはありませか? チャイルドラインOSAKAの主催団体は、子どもの人権を守るために活動している民間の非営利団体、子ども情報研究センターです。センターには、子どもの人権侵害にかかわってさまざまなSOSが寄せられています。そして、これに対して、具体的にどんな支援ができるのだろうと考えるなかで、次第に、従来の指示やお説教ではなく、「当事者である子どもの声を聴くこと」「子どもが問題解決の主体であることを大切にすること」が重要であるとわかってきました。チャイルドラインは、ありのままの子どもの気もちを受けとめることを大切にしたいと考えています。子どもが本来もっている力を信じて、子ども自身が問題と向き合い、自己決定や意見表明することを援助していく“子どものエンパワメント”を支える電話としてはじまったのです。 チャイルドラインOSAKAは、当初、“一〇代のためのアクセスライン”と名づけ、思春期真っ只中の中高生の声に耳を傾ける電話として、二〇〇〇年一月と五月に二回のスポット電話を実施しました。子どもたちからの「今度はいつするの?」「もうおしまいなの?」という声とその生きている力に触れ、二〇〇一年一月より、“チャイルドラインOSAKA”と名称を改め、一八歳未満の子ども専用電話として、毎週金曜日、午後三時から九時の間、常設電話として開設するに至りました。電話を受けるスタッフは、養成講座を修了した市民です。スタッフ同士、お互い支え合いながら、子どもからの電話を待っています。 ちなみに、チャイルドラインは、子どものSOSを受けとめる子ども専用電話として世界中で運営されています。日本では、一九九八年三月に最初のチャイルドライン、せたがやチャイルドラインが実施されました。それから五年、各地で急速に広がり、二〇〇三年三月現在、二五都府県で四三のチャイルドライン団体が運営されています。一九九九年一月には、日本のチャイルドライン定着のために、NPO法人「チャイルドライン支援センター」が設立され、全国規模のキャンペーンの企画や交流会の実施、企業への広報支援への働きかけがおこなわれるようになりました。電話という、身近な媒体がもたらす人と人とのつながり、支援の輪が世界的に注目されているのです。 「チャイルドラインOSAKAにかけてみたいな……」「あのとき、チャイルドラインOSAKAがあったらな……」「チャイルドラインOSAKAに関わってみたいな……」、そんなふうに感じてくださる方の輪が広がることを願って、ここにチャイルドラインOSAKAをお届けします。はじめに