目次
序論 文学からの視覚文化論に向けて (庄司宏子)
第 I 部 歴史のなかの絵画
第1章 顔と服装と人種 (富山太佳夫)
イギリス人は異人種をどう描いたか
一 顔の色、肌の色──大英帝国のなかの人種
二 絵画に描かれた人種──人種差別の記号
三 観相術──人種の顔から国民の顔へ
四 写真──動く体、動く表情
五 「黄色い人」とは誰か?
第2章 〈沈黙した身体〉を視るまなざし (庄司宏子)
一九世紀視覚文化の一考察
一 シンパシーのまなざし
二 シンパシーとメスメリズム
三 視覚のテクノロジーの登場──観相学、催眠、麻酔、写真術(ダゲレオタイプ)
四 トマス・イーキンズの手術絵とアウラなき身体──〈沈黙した身体〉の変容
第 II 部 文学と絵画──アール・ヌーヴォーからポストモダンへ
第3章 世紀末ウィーンの思想と芸術 (三浦國泰)
グスタフ・クリムトの幻の絵画をめぐって
一 ウィーンの都市改造と建築様式
二 学部寓意画《哲学》
三 学部寓意画《医学》
四 音楽的間奏と学部寓意画《法学》
五 「絵画と文学との限界論」とクリムトの絵画──あるいは世紀末ウィーンにおけるポストモダンの胎動
第4章 〈目の失敗〉の物語 (阿部公彦)
ウォレス・スティーヴンズとハワード・ホジキン
一 私たちは見ることが下手なのか?
二 スティーヴンズと目の作法
三 「雪の男」のぎらぎらさ
四 線の画家たち──ハワード・ホジキンを中心に
第 III 部 物語の絵画化
第5章 絵で語るということ (木谷眞理子)
信貴山縁起絵巻について
一 旅の絵
二 未知の力
三 尼公の巻の絵を読む
四 鑑賞者の関わり
第6章 『源氏物語』のマンガ化 (山田利博)
古典をマンガ化するとはどういうことか
一 本章が対象とする作品について
二 牧美也子『源氏物語』
三 大和和紀『あさきゆめみし』
四 「カノン」(?)としての『あさきゆめみし』
五 源氏マンガ研究の今後
あとがき
人名・事項作品名索引