目次
序論 グローバル化時代の新たなカント像【牧野英二】
第一部 カント哲学のグローバルな展開
1 フランス語圏のカント受容──「人間」以後の超越論哲学の行方【宮﨑裕助】
2 英米圏のカント研究──経験論の伝統【城戸 淳】
3 スペイン語圏のカント研究──スペイン、メキシコでの展開【ドゥルセ・マリア・グランハ・カストロ】
4 イスラーム文化圏のカント研究──イランにおける受容と展開【セイェド・アリー・マフムーディ】
5 漢字文化圏のカント研究──その受容史と意義および課題【牧野英二】
6 ロシアのカント研究──グリガ以後、一九九六年から二〇一七年まで【ダニール・アロンソン】
7 ドイツ語圏における現在のカント研究──直面する課題と論争【ハイナー・F・クレンメ】
【コラム①】夏目漱石とカント──理性批判の世界反転光学【望月俊孝】
第二部 カント哲学の新しい読み方
批判哲学への途上
8 「常識」の概念とカントの思想形成──ドイツ啓蒙思想とスコットランド啓蒙思想からの影響 【長田蔵人】
9 ヴォルフの形而上学とその批判者たち──十八世紀後半ドイツにおける形而上学の展開【佐藤慶太】
【コラム②】カントとヘーゲル──「観念論」の再検討【加藤尚武】
理論哲学の主要論点
10 身体と時間・空間論──「直観の形式」と非ユークリッド幾何学【植村恒一郎】
11 カテゴリーの演繹論と図式論──超越論的真理概念をめぐって【鵜澤和彦】
12 『純粋理性批判』の自由論──自由のとしての「いま」【湯浅正彦】
【コラム③】新カント学派とは──歴史的再検証【大橋容一郎】
実践哲学の中心課題
13 道徳法則と法の定言命法──『人倫の形而上学』と倫理学の課題【小野原雅夫】
14 純粋理性宗教と歴史的信仰の相克──『宗教論』と「隠されたアンチノミー」の存在【大森一三】
15 カントと悪の問題──人間はなぜ現に悪を為してしまうのか【中島義道】
【コラム④】カントとハイデガー──心の闇を前にして【高田珠樹】
美学と目的論の射程
16 『判断力批判』における「自然の技巧」の体系的意義──解釈学的観点から【相原 博】
17 『判断力批判』における超越論的哲学の新たな可能性──反省的判断力の根源性【円谷裕二】
【コラム⑤】パースとカント プラグマティズムとカテゴリー論【伊藤邦武】
自然哲学と晩年の思想
18 自然哲学と自然の形而上学──カント自然哲学の変遷【犬竹正幸】
19 『オプス・ポストゥムム』のコンテクスト──遺稿著作はカント最晩年の思想か?【加藤泰史】
第三部 現代の哲学からみたカント哲学
カントと応用倫理学
20 カント倫理学と生命倫理──「人間の尊厳」という価値【蔵田伸雄】
21 カントにおける生と死の倫理学──有限な理性の奇妙な運命【三谷尚澄】
【コラム⑥】カントとエコロジカルな心の問題──生態学的観点から【河野哲也】
カントの永遠平和論・正義論
22 カントの正義論と人権論の射程──リベラリズムとリバタリアニズムの間【宇佐美公生】
23 永遠平和と世界市民主義──国境を超える正義【石田京子】
【コラム⑦】カント歴史哲学と物語り論──高坂正顕・坂部恵を導きの糸に【野家啓一】
カントと現代の言語哲学
24 コミュニケーション論の現代的意義──カントとハーバーマス【舟場保之】
25 超越論的記号論と価値の超越論的論証──シェーンリッヒとコースガード【近堂 秀】
カント年譜 物語風に【菅沢龍文/小谷英生】